※前回の徳島の記事はこちら(2節・鹿児島戦、1-2)
<水戸スタメン> ※()内は前節のスタメン
<徳島スタメン>
- 水曜(3/13)にルヴァン杯1回戦が挟まる。(長野戦・1-5)そこからの継続起用は、石尾・橋本の2名が連続スタメン。西野・玄・杉本が途中出場。
- ルヴァン杯で敗退したため、1回戦で退場となった坪井は今節出場停止に。
- 1節(甲府戦・1-5)で負傷交代した内田航平の詳細が発表され、全治3ヶ月との事。
- ユース所属の尾上・武田・福田・増井が2種登録選手となり、前節(秋田戦・1-2)から登録される。
オフには総計9人もの新人選手を獲った水戸。
その大部分が大卒選手であり、当然彼らに掛かるウェイトは結構な部分を占める事に。
試合が進む毎にその割合を増やし、この日は牛澤・石井・長尾・久保と総計4人がスタメンに名を連ねました。
開幕節こそ勝利した水戸ですが、以降はその若さが弱点となってしまったか。
そもそも開幕節は相手がフィジカル集団のいわきであり、ロングボール主体でそのプレッシングを避ける立ち回りを徹底しての結果(1-0)という事で評価のし辛い内容であり。
そして次節以降は甲府・仙台と、オーソドックスかつ強度の高いクラブ相手に力負けの格好と、(失礼を承知で)ある程度納得の経緯を歩んでいるのではないでしょうか。
この日は目下最下位の徳島と、オーソドックスながらその力に疑問符が付くチームが相手なので、ある程度の結果が求められる試合となり。
その徳島は成績もさる事ながら、内田航の故障に続き永木・西谷がベンチ外と至れり尽くせりといった惨状。
前回の記事では触れなかったものの、期待の新戦力なはずの左サイドバック・橋本が、開幕節で甲府に狙い撃ちにされていたのもプランを大きく狂わせ。
ロングボールの逆ターゲットとして徹底攻撃に遭い、大量失点に繋がった影響で過去2戦はベンチ外に。
成績による序列交代はどのチームでも恒例行事ですが、チーム固めをしなければならない段階で、スタメンを激しく入れ替える事となれば当然ながらその作業は遅れ。
そしてルヴァン杯も燦々たる大敗で終え、この日をもって負の連鎖が一周したかのように、スタメンに戻ってきた橋本。
入りは一進一退の攻防ながら、前半4分にファーストシュートに辿り着いたのは水戸。
右サイドから攻めるも長尾の縦パスが遮断された事で、拾い直しを経てサイドチェンジを選択、落合のそのフィードを石井がスペースへ落とし。
そして拾った野瀬がドリブルで左ポケットを突いてシュート、ブロックに遭うも拾った落合がさらにミドルシュートと連撃。
GKスアレスにキャッチされるも、低迷に喘ぐ相手に対し上々の立ち上がりに見えました。
しかし9分徳島は最終ラインからの繋ぎで、右から前進→戻して作り直し→左から前進というプロセスで好機。
高田颯がドリブルに入ると、その内側のハーフレーンで橋本が駆け上がるという動きもあり、左奥に進入してクロスまで持っていく高田颯。
ブロックされてコーナーキックを得ると、そのままキッカーの位置にその橋本と高田颯の2人が並び、変化を意識させてから(高田颯が離れたのち)橋本がクロス。
これは跳ね返されるも、高田颯が繋いで再度橋本のクロスがファーに上がると、渡が合わせヘディングシュート。
水戸ディフェンスは渡に3人が付いていたものの対応が遅れ、シュートがゴールネットを揺らします。
ようやく新戦力の橋本を活かす形からの、ファーストシュートで先制点を挙げた徳島。
その徳島は、これまでの散々な内容を受け、ビルドアップは(島川が降りて)3枚の最終ラインでの繋ぎを徹底。
その分初めから上がり気味となるSBは、ともに内側を取る「偽SB」の立ち回りで、西野が杉森より高い位置にいるというJ3・沼津のようなシステムにも見え。
そしてプレッシングで危なくなればGKに戻してロングフィードと、とにかく安全策を採るという立ち回りへとシフトしたようでした。
これにより、やっとやりたい事が朧気ながら見えて来たという格好に。
一方水戸はリードされた事で、自身もボールポゼッションを高めての攻撃を、半ば余儀なくされる状態を強いられ。
こちらもボランチ1枚が降りての3枚の最終ラインからの繋ぎと、基本フォーメーションもビルドアップの根底の形もミラーゲームというカードとなり。
しかしSBは特に難しく考えず、ワイドに張るのが基本というスタイル。
水戸がボールを回していく中で、次第に左サイドで優勢になり。
ワイドでパスを受ける石井に対し、徳島はSBの西野が前に出るという対応を余儀なくされるシーンが目立ち始めます。
「偽SB」システムの影響でしょうか、杉森が守備面でも下がり、中に絞る野瀬を監視する役回りとなり。
当然その分石井が空く状況が増える故の現象で、これを足掛かりに攻める水戸。
21分にはその石井が奥を突いてグラウンダーのクロスを入れ、ニアに入り込んだ落合が合わせシュートするもGKスアレスがキャッチ。
チーム全体も左を意識し始めたか、右サイドハーフの甲田も中央寄りでのプレーを目立たせ。
27分にはその甲田が中央突破を経て、ペナルティアークからシュートしましたが西野が身体を地へ投げ出してブロックで防ぎ。
崩されながらも、何としても勝ち点が欲しいという渇望感を露わにする徳島の守備対応。
水戸の攻勢を浴びるなか、徳島の攻撃はほぼ成り立たなくなり、浮き球が巧く繋がった末にSHの突破力頼みという状況に。
40分、杉本のミドルパスを右ワイドで受けた杉森、そのままドリブルで奥を取って斜めのカットインでポケットを突きに掛かり。
ディフェンスに遭い右CKとなると、ここでも高田颯・橋本の2人が立ちショートコーナーからパス交換、その後橋本がポケットを突きに掛かりましたがクロスは精度を欠いて終わります。
それでもボール保持が長く続く水戸も、ダレてきたか思うように好機を作れなくなった事で終盤は徳島の時間帯に。
といっても観ていてスカッとするような攻めはあまり見られず、アディショナルタイムに左サイド深めでボールキープするという、重要ながらも地味な立ち回りの方が目立っておりました。
結局0-1のまま前半終了の運びとなり。
巻き返したい水戸はカードを切り、野瀬→山﨑へと交代。
山﨑も新人なので、これで5人とさらにウェイトを高めて後半に臨む事に。
その山﨑がトップ下に入り、落合が右SH・甲田が左SHとなった水戸の2列目。
変化の効果で入りから押し込み、後半2分に左CKを得て、クロスをGKスアレスがパンチングで跳ね返した所を長尾がミドルシュートを放って脅かし。(ゴール右へ外れる)
しかし6分、徳島は島川がクリア気味に裏へとロングパスを送ると、走り込む渡より先にGK松原が跳び出してクリアの体勢に。
ここであろう事か、ボールのバウンドに合わせ損なう形でミスキックしてしまう松原、短くなったボールを拾った西野が無人のゴールへシュートを放ちます。
それでも距離があった事から、ゴール左へと逸れていき命拾い。
これ以外に徳島は攻撃場面を作れないまま推移。
つまりミスがありながらも水戸の反撃体制は継続しているという事であり、その流れで迎えた9分。
例によって長いポゼッションによる攻撃で、道中前田の縦パスが遮断されるもこぼれ球を拾って尚も継続としぶとく攻め込み。
そして右サイドで細かく繋いだ末に中央→左と逆へ展開し、石井の奥からのクロスをファーで落合が折り返し、地面に落ちたボールをすかさず甲田がシュート。
ゴール左へと突き刺さり、奇しくも前半の徳島と同じ時間での得点で同点とします。
こうなると、勝利に1点が必要となった徳島は殆ど攻撃出来ていない状況が重くのしかかり。
11分に杉本がドリブルで左ポケットを突きに掛かるもディフェンスに阻まれ。
逆に12分、水戸はロングパスを収めた久保がボールキープ、付きにいった徳島センターバック2人を(ヒールパスの空振りのような動きで釣ったのもあり)振りきってそのままGKと一対一に。
そして放たれたシュートをGKスアレスがセーブと、辛うじて防ぐその姿にこれまでの苦しい戦いが脳裏に浮かぶような展開を強いられます。
何とか流れを変えるべく、16分に杉森・渡→中野・ブラウンノアへと2枚替えを敢行。
18分の徳島、一旦攻撃が途切れるも敵陣深めで中野が奪い返して継続。
中央への戻しを経て、橋本がミドルシュート気味に足を振り抜くと、これがエリア内への杉本への丁度良い縦パスに。
受けた杉本がワントラップでGK松原と正対するという願っても無い状況となりましたが、放たれたシュートは松原がセーブ。
双方ともGKとの一対一をモノに出来ずに終わり。
しかもどちらの好機も偶発性が高い流れでのものだったため、その後好循環を齎せなかったのも痛かったでしょうか。(22分に水戸は甲田・久保→新井・安藤へと2枚替え)
その後は泥仕合の様相が強くなり、19分にはこぼれ球を追い掛けた西野が、スライディングで牛澤を激しく削ってしまい反則・警告。
27分には水戸の右サイドからのFK、キッカー落合のクロスが跳ね返されたのちも繋いで二次攻撃。
新井が左サイド奥を抉ってクロスを送ると、村田のファーでの折り返しを経て合わせにいったのは安藤。
こぼれ球になるも飯泉が押し込み、ネットを揺らして逆転か、と思われましたがその前に安藤のハンドを取られてノーゴール。
映像で見た限りでは、安藤は警告を受けかねないような腕の上げ方をしており、醜悪ぶりが目立つ結果となりました。(なおノーカード)
29分に徳島がカードを切り、高田颯→カイケへ交代すると、布陣でも判断に悩むような絵図となり。
CBを補充したため3バックへシフトした徳島(実際カイケは指を3本立てる仕草を取っていた)ですが、いざ守備時になると橋本は2列目に残ったままで、カイケが左SBとも取れるような立ち位置に。
つまりは5バックシステムは採らず、守備時は4-4-2という形と推測します。
なお島川がアンカーとなり、3バック時には3-3-2-2(3-1-4-2)のような布陣に。(杉本がFW、玄がシャドー)
そして35分に水戸も村田・落合→寺沼・高岸へ交代すると、こちらも大きく変わる布陣。
3バックへとシフトし、長尾が右CBの位置に。
前田がアンカーという具合に、徳島の布陣に合わせる意味合いといった采配だったでしょうか。
36分に水戸の好機、石井のロングパスを左奥で受けた安藤から細かく繋ぎ、高岸がカットインでエリア内を突きに掛かり。
徳島ディフェンスも固く、こぼされて混戦となるなかで拾った山﨑がシュートしましたがブロックに阻まれ。
その後の繋ぎも凌いだ徳島、カウンターに持ち込み橋本が中央突破を図りましたがこれもエリア手前で防がれて終わり。
双方決定打が生まれずという流れですが、時間が進むとさらに酷くなり、この攻防以降はお互い敵陣で繋ぎのミスが目立つようになり。
37分に徳島が最後の交代、橋本・杉本→児玉・柿谷へと2枚替え。
これで中野が左WB(橋本と同じく最終ラインには降りず)に回る最終布陣となるも、さしたる効果は無く。
どちらも振るわない今季の成績だけに、相応しいといえば相応しい内容ですが、接戦にも拘らず盛り上がりよりは残尿感が強いといった終盤戦となります。
その状況を打破しようと、水戸は43分に左から石井がロングスロー。
こぼれ球を混戦のなか飯泉がシュート(ブロック)と、フィニッシュを生み出したものの重い雰囲気は変えられません。
同点のまま突入したAT、徳島がクロス攻勢の流れを作り。
それでも、合わせにいったブラウンノアが長尾を倒してしまい反則で終わるなど、不穏な空気は相変わらず。
しかし水戸は、最後までそれに身を任せてしまったのが拙かったでしょうか。
敵陣深めでボールカットした児玉に対し後追いの形で高岸がチャージしてしまい反則、これによりエリアからすぐ手前での直接FKに。
壁形成の中で、その前に位置取る柿谷のマリーシアぶりに苛立ちを見せるなか、蹴られた中野のシュートはその壁の間を通してゴールを襲い。
これをGK松原がセーブし、ホッとしたのも束の間、その後再び山﨑の(石尾に対する)反則で徳島のFKに。
今度は右サイドからでキッカー中野は当然ながらクロスを選択すると、今度もこれを直接防ぎにいったGK松原。
しかしパンチングのために振り上げられた両手の拳は、まさかのミスでゴール方向へ弾くものとなってしまい、そのままゴールへと吸い込まれるボール。
信じられないようなオウンゴールが劇的弾となる、いかにも試合の流れ通りの得点という感じでした。
そしてそのまま1-2で試合終了。
ようやく今季初の勝ち点を得た徳島ですが、内容的にはこれまでの負の要素を払拭出来たとは言い難く。
良薬となるかも疑わしいものでしたが、関係者全員とりあえずは安堵といった所しょうか。
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