<いわきスタメン> 4-4-2
GK 坂田
RSB 嵯峨 CB 江川 CB 家泉 LSB 日高
RSH 岩渕 DH 山下 DH 宮本 LSH 山口
FW 有馬 FW 有田
<松本スタメン> 3-3-2-2(3-1-4-2)
GK ビクトル
RCB 野々村 CCB 大野 LCB 常田
RWB 下川 DH パウリーニョ LWB 外山
IH 安東 IH 菊井
FW 小松 FW 横山
後半戦最初の山場と言わんばかりの上位対決。
そのはずでしたが、松本がウィルス禍に苛まれたため2週間後に順延となったこのカード。
19節を敗戦(八戸戦・0-1)という結果で犠牲(?)にしたうえで、臨戦態勢を整え改めていわきとの一戦に臨む。
そのはずでしたが、今度は名波浩監督がウィルスの毒牙にかかってしまい、結局天王山のこの試合には姿を現せず。
代役は、高校時代の先輩である三浦文丈コーチが務める事となりました。
リーグ前半の長野戦(当時書いた記事)で、「判定に何も言うな」といった指示をハーフタイムに送っていた名波氏。
この日も上位対決という重要な一戦もさる事ながら、フィジカルを前面に押し出すサッカーを展開するいわきが相手という要素も加わる事で、一層そんな精神が試される内容となりました。
初めてのJリーグの舞台で、現在堂々の首位に立っているいわき故に、ピッチ内を取り巻くホーム(といってもJヴィレッジスタジアムを代用している現状ですが)の環境もこの重要な一戦に相応しいものとなり。
それを背負ういわきは、この日も立ち上がりから堂々とした戦いを披露します。
常にベクトルを前に向けた攻撃で、アクシデント続きの状況である松本を圧倒していき。
前半2分に右サイドのスローインからパスワーク、有馬のカットインを経て中央へ渡り、こぼれ球を山下が繋いで山口がシュート(枠外)と先制攻撃。
4分にもGK坂田のロングフィードから敵陣で空中戦、エリア内への落としに有馬が走り込んでシュート(枠外)と攻め立てます。
しかしこの際に有馬が足を痛めてしまい、幸いプレーを続けるも不安要素を抱えての入りとなり。
松本は相手の圧に押される状況もあり、粘り強く守ってカウンターというサッカーを貫く、というよりはそうせざるを得なかったでしょうか。(メンバー的には、前半のいわき戦とほぼ同等の布陣)
小松をターゲットにしたロングボールはいわきのフィジカルの強さを前に機能せず、もっぱら横山の裏抜けに依存する立ち回りとなり。
しかし目立ったのはオフサイドの量産であり、主体的に攻撃リズムを生み出す事は出来ず。
頼みは外山を軸とした左サイドからの前進のみ、といった攻撃となりました。
足の痛みにも負けず、以降も松本ゴールへと迫るいわき・有馬。
18分には山口の前進を(松本・安東に)反則で止められ、得た左サイドでのフリーキックを素早くリスタート、送られたエリア内左へのスルーパスを岩渕がシュート。
GKビクトルがセーブした跳ね返りを詰めた有馬でしたが、シュートは枠を捉えられず。
続く19分にも右サイドでのスローインからの攻撃、岩渕のエリア内へのパスを有田がポストプレイ、受けた有馬はカットインからシュートするもこれも枠外に。
何本も矢を放っていったものの、活躍はそこまでで22分に再度倒れ込んでしまった有馬、続行不可能となってしまいます。
同じFWの位置に谷村が投入され、巻き直しを強いられるいわき。
アクシデントに苛まれても、フィジカル面で相手を圧倒するのは不変であり。
松本は30分に安東が(いわき・宮本との)デュエルで痛んで倒れ込むなど、そちらの方面で厳しさが伺えるシーンが目立ち。
そして多少のコンタクトでも笛が鳴らない事で、フラストレーションも溜まり気味となり、特にアンカーを務めるパウリーニョの苛立ちが気になるといった戦い。
そんな展開はいわきにとってはしめたもので、以降も好機を作り続け。
32分は日高の中盤でのパスカットから攻撃、一旦奪われるも逆の右サイドまで張り出して再度ボールを奪った日高、そのままカットインでエリア内を突きシュート。(松本・大野がヘッドでブロック)
41分にはこぼれ球を拾いにいった岩渕が松本・パウリーニョのスライディングを受けて倒れ、反則・パウリーニョに警告・良い位置での直接FKという3点セット。
右ハーフレーンという位置から放たれた、キッカー嵯峨の直接シュートが右から巻いてゴールを襲ったものの、GKビクトルが間一髪セーブ。
押しまくり、その副産物であるセットプレーからもゴールを脅かすという理想的な攻撃を続けたいわきでしたが、スコアを動かす事が出来ず。
一方機能不全気味の松本の攻撃は、45分にクリアボールを収めた小松からのスルーパスで横山が裏を取り、エリア内を突くという2トップの特性が活かされたシーンが終盤になって披露。
これが決まれば、「何度も(横山のオフサイドという)厚い壁に挑み続けた成果が……」という感涙ものの流れでしたが、GK坂田の好判断のブロックでシュートは放てなかった横山。
結局これが唯一の決定機となり。
アディショナルタイムの最終盤にはいわきのコーナーキックから、上空へのこぼれ球を抑えたGKビクトルがいわき・谷村と交錯した事で、外山が谷村に手を挙げた事が契機となってあわや乱闘といったシーンが生まれてしまいます。
手を出したのが散々苛立っていたパウリーニョでは無かったのが意外でしたが、既に警告を貰っていたため自重したようであり。
結局外山・谷村の両名に警告が出された事で落ち着き、そのまま前半を終えました。
何とか攻め手を増やしたい松本は、HTで小松→ルカオへと交代。
ターゲット役を一回り強化させて挑んだ三浦コーチ。(といっても事前に名波氏が決めていた可能性もあり)
そのルカオのパワーを活かし、セットプレーから押し込む入りの松本。
後半2分に右からのスローインをエリア内で受けたルカオ、トラップからバイシクルにいったものの空振りしてしまい。
得たCKでもショートコーナーを選択するも、受けた横山がすぐさま奪われてしまうなど、結局そこからリズムを作る事は出来ませんでした。
そうなると再び幕が開けるいわきの大攻勢。
サイド奥まで切り込み、そこから放たれる低いクロスが松本エリア内を脅かすシーンを量産していき。
迎えた10分、宮本のボールカットから右サイドで前進し、岩渕のパスを受けた有田がエリア内右からシュート。
ブロックされるも尚も繋ぎ、今度はエリア手前から嵯峨がシュートするも再びブロックされ、エリア内左へこぼれたボールをさらに繋いで日高が奥へと切り込み。
そして送られた低いクロスに有田が跳び込み、分厚い攻撃の末にゴールか、と思われましたが僅かに合わず。
前半と同様に劣勢を強いられる松本は15分に2枚替え、安東・菊井→前・山本へと交代。
しかし以降は反則でFKを与えてしまうシーンが続くなど、いわきのフィジカルへの対応に四苦八苦。
セットプレーで押し込まれ続け、焦燥を深めかねない流れとなります。
しかし21分、パウリーニョのロングパス(クリア?)が直接横山に渡り、そのままエリア内を伺わんとする所をいわき・江川に倒され反則。(江川に警告)
松本サイドはエリア内としてPKを主張するも、判定は僅か外でFKとなり。
右ハーフレーンという位置から、キッカー外山が直接狙ったもののアウトサイドでのシュートがゴール左へと外れてしまい。
反則で危機を招いた事で委縮するかと思われたいわきサイドでしたが、流れは変わらず。
24分に今度は岩渕がパウリーニョにスライディングで倒され反則(2枚目を受けやしないかヒヤリとさせるシーン……)となった事で、いわきの直接FKに。
中央やや左の位置から、キッカー日高が直接狙うも大きく枠を外してしまい。
しかしその後の28分、今度は自陣からのFK。
このタイミングで2枚替えを敢行(有田・岩渕→鈴木・杉山)したうえで、キッカー山下がエリア内右へと放り込み、そして家泉が折り返し。
ファーサイドで谷村が合わせに行きましたが、それを嘲笑うかのように、ボールはダイレクトで左ゴールポストに当たってしまい跳ね返り。
遠い位置からのFKが、際どいシーンを生み出す結果となりましたが結局先制とはいきませんでした。
その後松本の疲労によりオープンな展開……というよりは、ロングボールによるカウンター狙いの松本と、縦に速く攻めたいいわきの意思が織り成されたでしょうか。
結果、単なるボールの蹴り合いのような展開が描かれる事となり。
相手のスペースが空いた事が、皮肉にもスピードアップ=雑な攻めを生んでしまったようであったいわき。
そんな時間がしばらく続いた末に、33分に松本ベンチが再度動き。
パウリーニョ→住田へと交代し、アンカーの交代とともに布陣をやや弄ります。
<後半33分以降の松本> 3-4-2-1
GK ビクトル
RCB 野々村 CCB 大野 LCB 常田
RWB 下川 DH 前 DH 住田 LWB 外山
IH 山本 IH 横山
FW ルカオ
スペースを消すように、ドイスボランチへとシフトし固める体勢を取り。
それでもいわきの圧力の前に反則を量産してしまう流れは変わらず、36分にはカウンターを止めようとしていわき・杉山を倒してしまった常田が警告を受け。
39分には最後の交代を敢行。
横山→佐藤へと交代、佐藤がそのままシャドーに入った事で、中盤4枚もすべてボランチタイプの選手となり完全に守備を固める体勢に入ったでしょうか。
40分に再び松本・佐藤の反則でいわきのFKとなり、そこからCK攻勢に突入。
2本目の左CKでキッカー山下のニアサイドへのクロスが合わず、中央へ流れた所を家泉が足で合わせるも、ミートしなかった事で混戦状態に。
そこから吉澤(山口と交代で出場・40分)や嵯峨がシュートを狙うも跳ね返され、掻き出されたボールから家泉がミドルシュートを放ちましたがゴール右へと外れ。
何本も得たセットプレーで、シュートも数多放ちましたが(総数23本)結局ゴールが生まれる事は無く。
ATに突入し、いわきの勢いも削がれた所で、松本が「やりたかった攻撃」(試合後の三浦コーチ談)であるサイドチェンジをしながら敵陣での攻撃を展開。
それでも時間が決定的に足りず、やはり相手の長所を消しながら自身の良い味を出すというのは、コンディションで後れをとる状況では厳しいものがあったでしょうか。
結局その後いわきは鈴木が反則で警告を受け、松本もルカオが反則ののちの異議で警告を貰うなど、反則がファクターの一つといった試合展開は最後まで変わる事は無く。
0-0で引き分けに終わり、松本は首位奪回は果たせずといった結果ながら、苦しい試合で勝ち点1を得たという印象の強い試合となりました。
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