※前回の熊本の記事はこちら(27節・山口戦、1-0)
※前回の栃木の記事はこちら(25節・ヴェルディ戦、0-1)
<前節からの変更>
熊本=左サイドの2人を変更。左ウイングバックを藤田→田辺・左ウイングを坂本→東山へと入れ替え。上村が8試合ぶりのベンチ入りと、前節の敗戦から微調整。
栃木=ボランチの片割れが谷内田→磯村、以上1人の変更に留まる。三國ケネディエブスが(福岡へ)レンタルバックでチームを去ったものの、リーグ戦ではベンチ外続きだったため特に影響は無いだろう。
補強で根本・高萩を加えた事もあり、チーム力は格段に安定味を増してきた栃木。
7月を1敗(3勝2分)で乗り切り、運動量が命のチームにとってキツくなる8月の戦いを迎え。
この日のも、熊本の主体的な攻撃を自慢のプレッシングで遮断しつつ、訪れる決定機をモノにせんとする戦いを立ち上がりから敢行。
前半4分にクリアボールを根本が収めにいき、こぼれ球を拾った高萩の前進から、パスを受けた根本がミドルシュート(枠外)と先制攻撃を見せます。
しかし熊本もすぐさま(同じく4分)、杉山の右サイドのドリブルから中央を経由し、田辺が東山とのワンツーでエリア内左を突いてシュート(ブロック)とやり返し。
アンカーの河原を消してくる相手の対策への対策として、WBを河原の脇に位置させて出口を作るという立ち回りは変わらず。
ただしこの日は逆サイドのみ(最終ラインから左へ展開しようとすれば、右WBの三島が中に絞るといった形)に留まっており、栃木のプレッシングに対してある程度自身の繋ぎを貫かんとする姿勢を確保していたでしょうか。
10分過ぎ辺りから、栃木が敵陣でのパスカットを頻発させて好機を作っていくシーンが増えていき。
しかし成果は13分の高萩のミドルシュート(GK佐藤優也キャッチ)ぐらいで、熊本も奪われた際は素早いトランジションでショートカウンターを阻止する立ち回りを徹底させます。
どちらともいえない流れのなか、18分に熊本は自陣でのフリーキックを素早くリスタートし右サイドへ展開。
そして杉山がワイドからのカットインを経て、絶好のシュートレンジで放たれたミドルシュート。
これが豪快にゴール左へと突き刺さり、文字通りゴラッソと言うしかない先制点が生まれました。
この得点を境に、熊本はリードと共にペースも掴む事となり。
リードされた以上どうしても主体的な攻撃の割合を増やさなければならない栃木ですが、熊本のプレッシングを受けて思うようにボールを運べず攻撃機会を失っていき。
逆に敵陣で細かなパスワークを展開する熊本の攻撃に手を焼き、反撃体制を整えられません。
飲水タイム(25分)後も大まかな流れは変わらず。
栃木は33分に敵陣で鈴木がパスカットに成功するも、右サイド奥でスルーパスを受けた黒﨑はクロスを上げられず。
そんな栃木の良くない流れを受け、直後から熊本の攻撃が全開になるシーンが描かれます。
自陣深め左でのパスワークで栃木のプレッシングをかわしていく熊本、イヨハ理ヘンリーのミドルパスを東山が落として無事脱出すると、尚も細かいパスで前へ運ぶ→最終ラインに戻すという攻撃を繰り返しながら全体で前進。
そして全員が敵陣に入るという理想的なビルドアップを完成させます。
パスを繋ぐ事約1分半という長時間を経て、最後は河原の裏へのミドルパスがオフサイドで終わったものの、これでほぼ栃木の戦意を削いだといっても良かったでしょう。
そうして迎えた37分、最終ラインから右サイドへと渡ると人数を掛けてパスを繋ぎながら中央へ向かい、竹本の浮き球に杉山が走り込み。
そしてペナルティアークからダイレクトでのシュートが放たれると、1点目に匹敵するように豪快にゴールネットを揺らし。
鮮やかなパスワークを締めるべくの追加点を齎した杉山。
一方持ち味の堅守がパス&ムーブにより完膚なきまでに崩されてしまった栃木。
気を取り直して自身も最終ラインからのビルドアップを試みますが、スローインを絡めて好機を作るのが精一杯。
42分に再び敵陣で鈴木がボール奪取するも、拾った高萩は熊本のネガトラを受けて速攻する事が出来ず、結局ボールキープののちに戻して作り直しに。
攻守ともに厳しい展開を強いられます。
逆に熊本は、ハットトリックを狙わせようとしたのか、その後杉山の裏抜け狙いを頻発させ。
杉山がエリア内で受ける惜しい場面もありましたが、やや余裕も感じられるその攻撃ではフィニッシュに繋げられず。
2-0のまま前半を終える事となりました。
ハーフタイムを挟み、双方選手交代を敢行。
熊本は前節スタメンの坂本を投入(東山と交代)と、予め決められていたかのようなカード。
一方追い掛ける立場の栃木は、スイーパー(中央センターバック)のカルロス・グティエレスに代えて大森を投入。
これで鈴木・大谷をCBとした4バック(4-2-3-1)へとシフトし、入った大森は左サイドバックとなり、WB2人は黒﨑が右SB・福森が左サイドハーフとなりました。
前節(徳島戦・1-1)のように、途中での布陣変更で活路を見出さんとする栃木。
しかしペースを掴むには至らず、前半同様に心理的余裕を得た熊本のプレッシャーに攻守とも苦戦が続きます。
最後尾からショートパスで前進を試みるも、やはり熊本のプレスの前に思うように繋げられず。
隙を見て縦パスを前線に通しても、受けに来た選手に対する熊本ディフェンスの寄せが激しく、ボールキープ出来ずに終わり。
そして得意の前線でのボール奪取も、前半と同じく熊本の素早い戻りによりショートカウンターに繋がらず終わり。
唯一可能性が感じられたのが黒﨑のドリブルでしたが、これも前線まで運んだのちに熊本・河原のディフェンスに阻まれる事2度と、効果的に好機に繋げられません。
そして追加点への下地が出来上がったかのように、後半9分の熊本の攻撃。
最終ラインでの繋ぎから、右サイドで送られたミドルパスを高橋が走り込んでポストプレイ、拾った杉山がすかさず中央へ送り。
受けた竹本がエリア内へ切り込んだのち左へパスと、栃木ディフェンスを綺麗に切り裂いた末に坂本がシュート。
栃木・黒﨑がブロックするも、跳ね返りを河原がダイレクトでミドルシュートを放ち、エリア内で栃木・磯村が頭でブロックと際どい凌ぎを強いられた栃木。
尚も続くCKからの二次攻撃、竹本のミドルシュートをGK川田がセーブするも、左CKとなりさらに継続。
キッカー田辺のクロスをファーサイドで菅田がヘディングシュート、これもゴールを襲い栃木・矢野のブロックで何とか防ぎ。
既に反撃どころでは無い、というような展開を強いられます。
交代効果を何ら得られないまま、14分に栃木は再度カードを切り。
高萩・根本→西谷・宮崎へと交代し、矢野・宮崎を2トップとしての4-4-2へとシフト。
……と思ったのですが、右SHに入る筈の西谷が、本職のボランチの如く中央でスタートする場面が目立ちフォーメーションが判別し辛い状態に。
3バックに戻したうえで、3ボランチ(西谷・神戸・磯村)にしての3-5-2ともとれる西谷の立ち位置でしたが、両サイドは特に弄っていないので4バックのまま。
一方熊本も、直後の15分に竹本→上村へと交代。
16分に再び熊本が決定機を得、右サイドからのパスを中央で受けた田辺がドリブルしエリア内左へラストパス、受けた坂本が溜を作ったのちシュート。
これもGK川田がセーブと、一向にゴールを脅かされ続ける栃木。
何とか反撃したい所で、18分に右サイドのスローインからの繋ぎを経て、西谷がそのままサイドからシュートを放ち。(GK佐藤優セーブ)
無理目ながらも一本相手ゴールを脅かし、希望を繋ぎます。
その後も熊本の攻勢を受けつつも迎えた23分、自陣から大谷縦パス→矢野ポストプレイを経て受けた西谷がドリブルと、やっと縦パスから好機を作り。
西谷が熊本・菅田に反則で止められるも繋がってアドバンテージとなり(のちに菅田に警告)、一旦はサイドチェンジのパスが遮断されるも尚も拾って継続、スルーパスに走り込んだ矢野がグラウンダーでクロス。
しかしGK佐藤優にダイレクトで抑えられ、乾坤一擲の攻撃でもゴールを奪えず。
24分に挟まれた飲水タイムを経て、再び栃木は選手交代し黒﨑→大島。
一方の熊本も、高橋・田辺→ターレス・藤田へと2枚替え、坂本がCF・杉山が左WGへとシフトします。
ターレスは前回観た際の強烈なプレーと同様、裏へのパスに走り込む場面が見られるも、リードしている事もあり無理な切り込みは見せず。
右サイド奥で受けたのちバックパスという、ボールキープを重視してのプレーが目立ちました。
一層ポゼッションの意識が高まる熊本に対し、栃木は果敢に前からボールを奪いにいくしか残された道は無く。
しかしその意識故に、28分には鈴木が熊本・上村をアフターでスライディングで削ってしまい、反則・警告を受けるといった粗っぽさに引くようなシーンが目立つ事となり。
依然としてペースは掴めません。
31分ついに最後の交代を敢行。
磯村→植田へ交代すると共に、3バックの布陣へと戻し。
最初は2トップを維持した3ボランチ気味の3-5-2のようでしたが、時間が進むにつれて宮崎を頂点としての3-4-2-1、つまり最初の布陣へと移行します。
左右のCBも果敢に攻撃参加し、厚くなったサイドからの攻撃に活路を見出すも状況は厳しく。
フィニッシュは、35分に福森が左からカットインでシュートを放った(枠外)ぐらいに終わります。
そして熊本の決定機が目立つのは相変わらず。
40分敵陣中央エリアからすぐ手前という位置でターレスがボール奪取、そのままGKと一対一を迎えてシュートするも、GK川田の前に出てのセーブに阻まれ。
41分には再び敵陣で河原のパスカットから、拾った藤田が杉山とのパス交換を経てミドルシュート、しかしこれもGK川田がセーブ。
これがリードしている状態ならば、「チームを救うビッグセーブ」と表現される事間違いないこの日の川田のプレーでしたが、そんな守護神の存在も反撃の機運を高められず終わる事となりました。
その後も熊本のCK攻勢に入られるなど、攻撃機会を得れないままアディショナルタイムに。
そしてそこでも際立ったのが熊本のパスワークによるボールキープで、必死に遮断しようとする栃木の姿勢も空しく、敵陣左サイドでひたすら細かくパスを繋ぐ熊本。
そして齎されたのは、西谷の熊本・三島に対するアフターチャージによる反則・警告という結果となり、熊本がFKの体勢を作る間に目安時間(4分)が経過。
もはや時間稼ぎの必要性も無いと言うような、キッカー河原のシュート気味のクロス(GK川田がパンチング)で試合は締められる事となりました。
2-0のスコア以上に完勝という内容を演じた熊本。
夏の補強は殆ど行わなかった(FC東京から平川を獲得したのが8/10)だけに、鍛え上げられたメンバーによるチームの完成度が際立つ結果となりました。
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