※前回のヴェルディの記事はこちら(7節・山口戦、3-1)
※前回の秋田の記事はこちら(10節・水戸戦、1-0)
天皇杯1回戦(5月23日)出場のため、リーグ戦は15節が前倒しされ、そこから10日空いた秋田。
その15節(山口戦・1-1)では正GKの田中が一発退場となってしまい出場停止、代わってGKを務めるのは新井栄聡。
天皇杯では不覚を取ってしまった(vs北海道十勝スカイアース・1-1でPK戦で敗戦)ものの、リーグ戦では多少のアクシデントがあっても、一体感を下に戦い続ける事でしょう。
この日はヴェルディが相手という事で、典型的な「ポゼッションvsカウンター」の図式となる事受け合いなカード。
どんなチームでも、秋田が相手の際には「ボールを持たされる状況での戦い」がカギとなるのが今季のJ2の絵図。(あるいは先にリードを奪い逆に秋田にボールを持たせるか)
しかしヴェルディは元来ボール保持が主体のクラブで、長所同士がぶつかり合う形が戦前から予想される事となりました。
そんな予想の通り、序盤からボールを動かしにかかるヴェルディでしたが、秋田のプレッシングの前にそれは果たせず。
逆に秋田が攻撃機会を得ると、スローインによる連続攻撃というお馴染みの形に持ち込みます。
前半5分、左サイドから普光院がロングスローの体勢を取るも、フェイントで手前へ投げ入れたのち戻しを受けてクロス。
ファーサイドで鈴木が折り返したもののシュートまでは持ち込めず、しかし今度は右からスローインとなり。
次は普通のスローを選択し、沖野から低いクロスが入るとDFのクリアがこぼれ、エリア内左で拾った茂がシュート。
GKマテウスがセーブするも、跳ね返りを詰めた齊藤がシュート、これもマテウスがかき出しますが尚も中村が追撃。
ヴェルディ・若狭がクリアするも、ゴールラインを割ったと判定されてゴール。
泥臭さ満点の、秋田らしい得点となり先制に成功します。
秋田がリードを奪った事で、ヴェルディサイドにポゼッションが偏るのに拍車が掛かる展開に。
それでもヴェルディは殆ど好機を作れず、依然として秋田ペース。
13分には左サイドで普光院が倒されてフリーキックを得、ここからセットプレー攻勢に。
FKでのキッカー普光院のクロスがクリアされ左コーナーキックとなると、キッカー鈴木はグラウンダーでエリア手前へと送り、輪笠がミドルシュートを放つというサインプレー。(ブロックされ右CKに)
尚もセットプレーは続き、最後はロングスローのこぼれ球を加賀がボレーシュートにいくもミートせず。
それでもプレッシャーは相当なもので、続く18分には敵陣深めで齊藤がボール奪取し、普光院がミドルシュートを放つもGKマテウスがセーブ。
さらにCKとなり、クロスが流れた後の二次攻撃を経て稲葉の左手前からのクロスが上がり、中村がバックヘッドで合わせますが枠を捉えられず。
ひたすら好機を作っていく秋田。
一方のヴェルディ、パスはある程度回るものの中々好機を生み出せない状況が続き。
前半も半ばを迎えた24分、ようやくヴェルディらしいパスワークが生まれ。
敵陣でサイドチェンジを繰り返したのち、右から深澤→加藤→佐藤優平→山口と渡って左に移り、山口がクロス。
ファーサイド奥で山下がスライディングで折り返し、中央で小池が合わせるという流れるようなフィニッシュでゴールネットを揺らし。
小池の今季9得点目が生まれ同点に追い付いたヴェルディ、それと同時に飲水タイムへと入りました。
悪夢の新潟戦(5節・0-7)以降、ほぼ五分の成績(4勝2分4敗)で推移しているヴェルディ。
敗戦はいずれも上位クラブが相手(琉球・京都・甲府・磐田)であり、中位以下へと収まる流れが日増しに強くなっている感があります。
佐藤凌我が完全にセンターフォワードに収まり、この日は深澤が右サイドバックに入るなど、苦しい台所事情にあっても新人抜擢の気概は貫かれています。
「事情が苦しいから若手を使っているんだ」という見方も正しいでしょうが、育成路線がブレずに行われている(と思われる)のは好材料。
それでも、強豪相手に手も足も出ないという成績が示されている通り、それだけでは昇格は夢のまた夢なのは明白。
仮に若手が育っても、(前年の藤田譲瑠チマのように)直ぐに上のカテゴリに引き抜かれてしまうという事象もあり、J2の常連という位置から脱出出来ない状況。
財政的にも苦しさを露呈している現状もあり、解決策は見出せないですが、今は耐えるしかないのでしょうか。
同点に追い付き、ブレイクも挟まれた事で、パスワークも冴え始めるヴェルデイ。
福村・平を欠く最終ラインには前述の深澤の他、センターバックにはンドカ・ボニフェイスが定着、若狭が緊急的にCBに入る形と合わせて穴埋め。
左SBには山口を当てはめるという、開幕時とは大幅に入れ替わりを見せている現状。
その山口が高めの位置を取り、逆サイドの深澤が中央に絞り、3枚の最終ラインを底辺とするビルドアップが主体。
抜擢されている深澤ですが、自らが上がって好機に絡むという事は無く。
そのため左サイドを主体とし、右へ展開されるのは中盤にボールが出てから、という攻撃。
パスを散らす役目の佐藤優の他、端戸が繋ぎ役として機能。
CFの役目を佐藤凌に奪われた格好の今季の端戸ですが、前線と最終ラインの橋渡しを演じるのが新たな役目となりそうなこの日の動きでした。
飲水タイム後は攻撃権を支配し、1点目を奪った小池は尚もゴールを狙い。
32分には山口が左サイドからエリア内へ進入してマイナスのクロスを入れ、クリアされたボールをシュート。(枠外)
アディショナルタイムには左サイドでボールを持った小池、佐藤凌とのワンツーで中央へ向かったのちミドルシュート。(ゴール左へ外れる)
果敢にフィニッシュシーンを作り、それが後半にも繋がっていく事となります。
結局1-1のまま前半を終え、ハーフタイムにヴェルディは端戸→井出に交代。
自ら突破も出来る井出を加え、変化を与えにいったでしょうか。
その思惑通り、キックオフからボールを支配し攻め上がるヴェルディ。
井出のシュートがブロックされて(後半1分)も尚パスを繋ぎ、攻撃権を支配していきます。
秋田は防戦一方を強いられ、激しく動かされるボールに悪戦苦闘気味ですが、何とか凌ぎ。
そして攻撃権を得た際は全力で応えるという姿勢。
しかし11分、相手クリアを拾って右サイドでボールを持つも、最終ラインに戻して作り直す事に。
秋田らしくないレアなシーンに、やや違和感を覚えたこの場面。(その後好機には繋がらず)
15分に秋田は2枚替え、FW2人を揃って交代。(中村・齋藤→吉田伊吹・井上)
直後の16分に右サイドからのFKを得て、キッカー普光院のクロスを中央で吉田伊が合わせシュートするも枠外に。
しかしその後は再びヴェルディペースと、完全に試合の流れが出来上がり。
ンドカ・若狭のCBでの繋ぎから好機を作っていくヴェルディ。
試合を動かしたのは今まで自ら上がる事の無かった深澤の存在で23分でした。
右サイドからの攻撃を選択した若狭から、佐藤優の縦パスが送られると山下がスルー、これに深澤が走り込み。
一旦は奪われるも奪い返した深澤、拾った山下が右奥からカットインして中央へとパスを出し、井出がダイレクトでシュート。
封印していた(?)右翼からの攻撃で、勝ち越し点を挙げる事となりました。
前半同様、ヴェルディのゴールの直後に飲水タイムが挟まれ。
秋田はさらに2枚替えを敢行し、沖野・茂→久富・武に交代。(井上がFW→左サイドハーフへシフト)
直後は秋田のペースになりかけ、鈴木のロングスローから繋ぐ場面も見られましたが、ヴェルディの最初の攻撃で突き放される事となります。
最終ラインから今度は左サイドで攻撃、佐藤凌のポストプレイも交えつつ前進し、一旦はエリア内へのスルーパスがクリアされるも尚も繋いで山口からクロス。
これに合わせたのが小池で、彼にしては珍しいヘディングシュートでネットを揺らし、本日2点目のゴールで通算10点目。
パスワークに加わっていた佐藤凌に代わってターゲットを務めたこの場面の小池、これ以上無い結果が生まれる事となりました。
2点差となり嫌でも攻めなければならなくなった秋田。
30分、敵陣で押し込んだ状態で、こぼれ球を拾いにいった稲葉がヴェルディ・井出に引っ張られて反則。(井出に警告)
ここから再度セットプレー攻勢、FK後の左CKでキッカー鈴木のクロスをGKマテウスがパンチング、その跳ね返りを久富がボレーシュート。
GKマテウスが弾いたボールがゴールバーに当たり、尚も跳ね返りを加賀がシュートにいくもミート出来ず。
際どいシーンを作りましたが、ここでモノに出来なかったのは非常に痛かった。
この直後、ヴェルディは佐藤優→梶川へ交代。
その後も諦めずに攻める秋田ですが、ビハインドの展開になるとやはり苦しさは隠せません。
41分には自陣からのFKで、鈴木が直接シュートを狙う(GKマテウスキャッチ)など、苦境の中で何とかもがくような場面も見られました。
AT直前にはスローインから攻勢を掛け、44分には武がエリア内左からシュート(ブロック)、45分には輪笠のエリア内左からのグラウンダーのクロスを稲葉がシュート(枠外)と攻め立てるも実らず。
一旦ヴェルディがボールを持つと、そのパスワークで攻撃権を取り返すのに難儀し、時間を使われてしまい。
ATの最中、空中戦でンドカと吉田伊が激突し、吉田伊は起き上がれずに交代という事態も発生してしまいます。(飯尾が交代で出場)
結局3-1のまま、ヴェルディが勝利に辿り着きました。
秋田はこれで今季2度目の4戦未勝利ですが、天皇杯も含めると5戦であり最長に。
やや停滞感を覚えてしまいそうな流れで、次節は上位・琉球との対戦を迎えます。
ヴェルディとは対称的に、上位相手にも屈しないという姿勢を見せる事が出来るでしょうか。
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