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DAZN観戦 2023年J3リーグ第31節 奈良クラブvs福島ユナイテッドFC

2023-10-17 16:03:14 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

今季からJに参入した、奈良のホームスタジアムを未だ観ていなかったと思いつつ視聴。

そのロートフィールド奈良は電光掲示板が無く、選手名はピッチ脇のボードによる表示(に加え、選手の顔写真が添えられていた)という、昔風の味がふんだんに残された環境となっており。
こうした状況から、いかに上位カテゴリに向けて規模を上げていくかが、J2ライセンスが無い状況では当面の課題でしょう。(今季のライセンス審査発表は未だ先ですが)
それにも拘らず、成績的にはJ2昇格も夢では無い位置をキープしているというのが逆に悩ましくもあり。
来たる時に備え、粛々とバックボーンを整えつつ……という姿勢の下、サッカーでも確固たるスタイルを築いている最中といった1年目でしょうか。

そんな状況の、奈良のホームへと乗り込んだ福島。
奈良が前回(23節・FC大阪戦、1-0)観たような、サッカーの形を落ち着けながら……という姿勢を取るのを突き、立ち上がりから果敢に敵陣でサッカーを展開します。
スルーパス中心に深さを取り、獲得した左スローインから好機を作る、という攻撃を繰り返し。
特に前半2分、スロワーの田中が奈良のブロック間を直接通して投げ入れ、雪江ポストプレイ→吉永ダイレクトでスルーパスという繋ぎをしたのが効いた感がありました。(走り込んだ森晃には繋がらず)

こうして押し込んだのちに、ポゼッションを確保しての攻撃も巧くいき。
迎えた7分、最終ラインからのパスワークで運んでいき、一度はポストプレイで降りてきた雪江が右サイドで柴田のスルーパスに走り込んで低いクロス。
これが寺村のクリアミスもありファーサイド・ゴールに近い位置で田中が収める絶好機となると、中央へのヒールパスを吉永が2タッチでポストプレイし、受けた森晃がシュート。
しかしこの至近距離でのフィニッシュをGK岡田がセーブと、紙一重で凌いだ奈良。
出来れば森晃はダイレクトで撃ちたかった場面でしたが、相手ミスも絡んでの好機故に判断が難しかったでしょうか。

決定機を逃した福島ですが、以降も攻撃権を支配。
アンカーシステム気味だった前回(28節・相模原戦、1-1)とは異なり、オーソドックスなドイスボランチの体勢による5-2-3の守備隊形を採っていました。
攻撃時は、ボランチの片割れで出場している吉永がサイドに張り出しパスワークに絡む姿勢は変わらず。
これにより三角形ならぬ、四角形にも見える形でパスを繋いで隙を見出すビルドアップが目立ちましたが、その中でのダイレクトパスがやや乱れがちにも映り。
好機はセットプレーからで、11分には左奥でのスローインから、直接ポケットに投げ入れた所を雪江ポストプレイ→田中シュートと素早くフィニッシュに。(桑島がブロック)
17分には同じく左奥で今度はフリーキック、キッカー森晃のクロスをニアサイドで大武が合わせヘディングシュート。(枠外)

劣勢の奈良、ポゼッションを確保したい序盤でしたが反対の流れを強いられ。
この日は前回と違って中島が降りてくる頻度は抑え気味となり、アンカー(森田)のスタイルを保ってのビルドアップに努めていた感があり。
その一方で前線が流動的で、桑島が中に絞って縦パスを受けに来る動きが最も目立っていたでしょうか。
それでも中々アタッキングサードまで運べないという状況。
最初の攻撃機会である3分に、加藤がドリブルで剥がして敵陣に持ち込むというシーンがありましたが、流れの悪さに伴い加藤が自ら運ぶ頻度が多くなっていたこの日。

一方で守備時は、山本宗をトップにした4-4-2の布陣を取るのは以前と同様であり。
しかし前線の可変具合により、福島ボールに切り替わった際にスムーズに移行できていない感がありました。
ゲーゲンプレスの色を強めていたものの、それに伴い球際に強くいく意識も高まり反則も増え。
27分には森晃のボールキープに対しチャージした寺村が警告を受けてしまい。

このままでは被害が広がるのみと判断したか、ポジションを微調整する奈良。
中央でのプレーが目立っていた桑島を、山本宗の居たインサイドハーフ(兼トップ下)へと移し、ウイングは右に浅川・左に山本宗。
これによりトランジションの際にも気を使う事が減ったでしょうか。
また福島のサイド攻撃を阻めずにいたのを受け、トップ下が前に出ずの4-5-1で守備をする事が目立つようになります。

以降の奈良は、目立っていた加藤の前進も絡ませながらの、左サイドに人を集めたのちにサイドを変えての攻撃に活路を見出し。
高めの位置で受けた寺村がそのままアーリークロスを送り、34分には山本宗の落としを経て中島がボレーシュート。(枠外)
36分には中央で浅川がヘディングシュート(枠外)と、ようやくフィニッシュに辿り着ける流れを得ます。

そして前半最後のシュートは奈良で44分。
右サイドから斜めの縦パスの連続で運んでいき、中島がハーフレーン→ポケットへのスルーパス。
走り込んだ桑島のクロスはブロックされるも、拾った酒井の戻しを受けた森田が中央からシュート。
ブロックされた跳ね返りを中島がミドルシュート(大武がヘッドでブロック)と連撃を放ったものの、決められず。

結局スコアレスのまま前半が終了。
奈良は山本宗がポジションをサイドに移したのを受けてか、微調整すべくハーフタイムで西田と交代して後半に臨みました。

代わって左WGに入った西田から、連続してクロスが入れられたのが後半3分の事。
しかしそれを跳ね返し続けた福島がカウンターに持っていき、森晃のスルーパスに田中が走り込んだものの、戻った浅川のディフェンスで阻まれ。

激しい切り替わりを予感させる入りとなると、その通りに敵陣でのパスカットから好機を連続して作る福島。(4~5分)
福島優勢を予感させたものの、続く6分に最終ラインからの前進を経て浅川がミドルシュートを放った奈良。
ブロックされてコーナーキックとなると、クロスの跳ね返りを拾い続けた末に、左ポケットを取った浅川が4本目のクロス。
これを鈴木がヘディングで合わせたものの、ゴール上へと外れ。

しかし8分自陣での柴田のドリブルに対し、西田が後ろから引っ張る形で反則を犯した結果警告を受け。
更に10分、敵陣でパスカットに成功した西田でしたが、こぼれ球を拾った上畑に対しスライディングで倒してしまいまた反則。
2枚目を受けても可笑しくないシーンでしたが、何とか注意に留まり命拾いとなりました。

この西田の姿勢に引っ張られるように、中盤で激しい奪い合いにより幾度もトランジションが発生したのが12分。
その末にタッチを割るという具合に、互角の様相となってきた試合展開。
前半は5-2-3・5-4-1といった守備体制の福島も、後半になると前回同様の、森晃が最前線に上がっての5-3-2を選択したのもそれに拍車を掛けていたようでした。(11分に森晃→長野へと交代)

奈良は14分に西田・寺村が相次いで遠目からミドルシュートを放つ攻撃。(前者はブロック・後者は枠外)
前半好機が少なかったのを受け、積極的な意識を高めていたでしょうか。
16分には左スローインからの戻しを経て、森田が薄くなっていた中央を持ち運び、そのままミドルシュート。
福島ディフェンスの寄せが甘かったのもあり、決まったかに思えましたが惜しくもゴール左へと外れて先制はなりません。

ここから福島へとペースが切り替わり。
左右のセンターバックも前に出てのパスワークに対し、奈良は防ぎにいった結果再び反則を量産させる流れとなってしまいます。
これにより得たFKで脅かさんとする福島、18分に右サイドからのFKでキッカー上畑のクロスを、中央で跳ぶ大武を越えた奥で堂鼻がヘディングシュート。(GK岡田キャッチ)
20分にも敵陣で奪ってのショートカウンターの流れを(中島の)反則で止められると、FKの前にベンチは2枚替え。(塩浜・雪江→宮崎・澤上)
ここも上畑のクロスに大武が跳ぶも惜しくも合わずと、大武というターゲットが活きる展開になっていきます。
(奈良は23分に森田→可児へと交代、中島がアンカーに回る)

そして26分、右からの上畑のクロスがブロックされ、今度はCKに持ち込んだ福島。
これまで再三大武を狙っていたのを逆手に取るように、キッカー上畑はニアサイドにクロスを送ると、柴田の潰れを尻目に長野が脚で合わせ。
ニアを破る格好でゴールネットに突き刺さり、セットプレーの流れで仕留めきって先制点に辿り着きました。

追う立場となった奈良。
後半も半ばを過ぎている時間帯で、このままでは「ボールを持たされる展開」に持ち込まれる危惧が現実味を帯び。

しかし29分。
その通りに自陣~中盤でパスを繋いでいくも、右サイドで寺村が中央へとミドルパス。
桑島の手前でカットされるも、セカンドボールを西田が拾った事で守備陣形が乱れた所を突く奈良。
西田のパスをエリア内中央で受けた浅川が左へ横パスを叩き、託された酒井がダイレクトでシュート。
ゴールに突き刺さり、早期に同点に追い付く事に成功します。

その勢いのままに、続く30分にも好機に持ち込む奈良、浅川のディフェンスでのこぼれ球を拾った加藤がこの日再三見せるドリブルに入り。
そして中央へパスを送ると、ワントラップでエリア内に切り込んだ桑島のシュートがゴールを襲います。
しかし体勢を崩しながらのシュートだった事が災いし、威力に欠けた末に右ポストを叩いてしまい、惜しくも勝ち越しはならず。

32分に、福島の左からのクロスをダイレクトでキャッチしたGK岡田、その際に足を痛めてしまったようで治療を受け。
このブレイクで奈良の勢いは弱まりを見せ(岡田は無事にプレー続行)、長野の反撃に。
35分に敵陣で奪ってショートカウンターに持ち込み、上畑の縦パスを受けた澤上がシュートを放つもGK岡田がキャッチ。
39分にも素早い運びから左ポケットを突いた長野がカットインシュートを放つも、これもGK岡田にキャッチされ決められずと、岡田の無事ぶりを確かめるような攻めに終始してしまいました。
その間に双方最後の交代を敢行し、奈良が37分に桑島・酒井→片岡・森俊介。
福島が38分に上畑・柴田→樋口・古林と、双方2枚替え。
福島はこの交代で樋口の1トップとなり長野・澤上がシャドー、吉永・宮崎がボランチと微調整したうえで、再び5-4-1の守備体制を取り始め。

40分に右サイド遠目からのFKを得た奈良、キッカー中島のクロスは中央でワンバウンドするボールに。
これを鈴木が跳び込んで合わせ、右へ中途半端に浮いたボールを片岡が脚で合わせシュート。
しかしサイドネット外に終わり決めきれず。

均衡した流れで迎えた最終盤、試合を決めるのは思いきった変化か、あるいはちょっとしたミスか。
45分の奈良、左サイドを繋いでいき森俊が加藤とのワンツーでカットインを変化を付け。
これで崩しかけたものの、その後の寺村へのパスをカットされてしまい福島のカウンターに。(長野→田中へのスルーパスが繋がらず)

勿体無い攻めとなってしまった奈良ですが、選択権はその手中にあったようで。
その後突入したアディショナルタイムも、安易なパワープレイには入らず最後方からパスを回していく姿勢を貫き。

そして最後方の鈴木が右へパスを送ると同時に最前線に走り込み、寺村のアーリークロスを後方から合わせにいくシーンを作ります。
しかし叩きつけたヘディングシュートはGK山本海がキャッチと、巧く変化で意表を突いたものの結果は付いてきませんでした。

結局1-1のまま試合が終了し、引き分けに終わり。
奈良は堅い守備とボールポゼッションにより、ゲームをコントロールする下地は見せたものの勝ちきれず。
組織力満点のチームが「あとは個の力が課題」という状況に陥るのをなぞる様ですが、それを解決するにはグラウンドレベルのみでは難しく。
気の遠くなる話ですが、じっくり力を蓄える他無いといった感じでしょうか。

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