ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

天皇杯 JFA第101回全日本サッカー選手権大会 北海道コンサドーレ札幌vsソニー仙台FC in札幌厚別公園競技場

2021-06-11 18:24:50 | サッカー観戦記

今年は通常に近い形のレギュレーションで、全J1クラブは2回戦から参加。
そんな訳で札幌・厚別も2年ぶりに、2回戦の舞台になりました。

厚別公園へと向かう裏街道、札幌カラーの赤黒がペイントされていたのに初めて気付いたという絵。(遅過ぎ)
ここを利用しないと自転車で辿り着くのは困難を極めるという印象ですが、歩行者・車も結構見かけましたな。

厚別という事で、いつものインドカレー屋・カフェの販売ワゴンがあるというぐらいのスタジアムグルメ事情。(他にもあったとの事だが未確認)
入場開始時刻(16時30分)を大きく過ぎて到着したのもあり、スルーして競技場内へ。
余談ですが、(札幌ドーム含め)ネーミングライツ制度を利用する気は無いのでしょうか。おかげで「スタジアム」という呼称が使いづらい
(札幌市側に主導権があるならば)既に札幌ドームはプロ野球・北海道日本ハムの撤退が決まり、経営的にも苦しいようなので、ここら辺で切り替えても文句は言われないと思うのですが。
(尚、真駒内(競技場・アイスアリーナ)ではセキスイハイムが命名権を買い取っている模様)

チケット購入の際座席を指定しなかった(出来なかった?)ので、メインスタンド右端付近となってしまったため、中央ののぼりはこの角度。

近年はジャイアントキリング製造クラブと化している節がある札幌。(2017年はいわきFC・2019年はHondaFC)
今季の相手はソニー仙台FC(以下ソニー)で、JFLの常連として定着しているクラブ。(しかし2011年は本来ならば降格の成績だったらしい)
1回戦で札幌因縁の相手・いわきFCを下して当たる事となりましたが、もしいわきが勝ち上がってきたらと思うと……。
アマチュアクラブらしく、在籍選手は全員が生え抜きで、当然元プロ選手も何処を探しても見当たらないという編成。
2014年に鹿島に勝利した、というのがこの大会での大きな実績との事です。

しかし今大会は、このご時世故サポーターは皆無となり。
2年前に、Hondaがアウェイ席で断幕ジャックを敢行していたのが強烈に脳内に残っている身としては、やはり寂しいものがありました。

練習前の散水が始まり。
何かとトラブルが絶えないという厚別(あくまで個人の印象)ですが、ほっこりする絵図が生まれます。

放水された部分に出現した虹で、何とも美しい光景に早変わりしたピッチ。(写真だと判り辛い)

「天皇杯の歴史」のVTRが電光掲示板に流され。
しかし2年前の映像に、神戸と川崎の優勝が付け足されたというだけのものでした。

そんなこんなで時間が進み、各座席も大分埋まってきたという所で練習開始。

ソニーのGKも赤色のウェアであり、傍らからでは何方のクラブなのか見分けが付かない状況に。(まあ札幌の方には2メートルの中野が居るのですが)

ひたすらエリア内でのボール処理・クロス処理の練習が行われ、その際にGKは「(キャッチする際)キーパー!」「(跳び出さない際)クリアー!」とのコーチングも欠かさずという徹底ぶり。
そんなシーンが最も印象的でしたね。

そして現れた、ソニーのフィールダー選手。
こちらはしっかりとチームカラーのウェアでした。

やはり最初に、サーキット・体幹運動を行う札幌の図。
今季はこの姿勢を貫く腹積もりなのでしょう。

そんな最中に、早いタイミングでのスタメン発表が行われ。
札幌ではこのスタンスが主流か。

でかぁぁぁいっ!と叫びたくなる、札幌の面々。
平均身長は184.09㎝と凄まじい事になった11人。
小さいイメージの菅でさえ170㎝超えと、高さに関しては隙が見当たらず。

一方のソニーは175.09㎝、180㎝越えは3人と明らかに見劣り。
これでは高さ勝負は出来ず、そんな状況でカテゴリーの差が現れたら……と試合前から末恐ろしくなりました。

気を取り直し、この日の両チームのメンバー。
3日前にこの地でルヴァンカップ・プレーオフステージを戦った札幌(マリノス戦・1-1)、スタメンは全員入れ替えと大胆なターンオーバー。
3日前は途中出場のドウグラス・ルーカス・菅と、ベンチで出場無しのGK中野・柳・キムミンテ・岡村。
そしてメンバー外だった中村・小野・ガブリエル・中島で構成されました。
フォーメーションは、おなじみ3-4-2-1・攻撃時4-1-5という「ミハイロ・ペトロヴィッチ(以下ミシャ)式」のシステムで、小野とキムミンテというドイスボランチが一抹の不安要素か。
一方のソニー、前試合はJFL11節で4日前。
そこからスタメンは1人入れ換えたのみ(松本(16番)→内野)と、ベストメンバーからほぼ弄らずという気合い十分の布陣。
システムはこの図では4-2-3-1か4-1-4-1なのかは不明ですが、試合開始後に4-2-3-1である事を確認しました。(ボランチは上2人、5番・平田と7番・吉森)
尚、札幌のベンチメンバーは福森・金子・田中・荒野と錚々たる顔ぶれ。

そして(暫く経ってから)選手入場の時を迎えました。

 

ドーレくんが居ない……やはり感染症対策なのか。
ともかく、こうして後ろから見ると一際目立つGK中野のサイズ。

揃って一礼した瞬間を取りたかったが、各人まちまちなので失敗したの図。

ソニー選手の集合、その前に立つのは監督の中村元氏か。
その脇には、何やら青色のボールみたいな物体が抱えられており。

後でベンチに戻った際に見ると、どうやらダルマだった模様で、ソニーのチームカラーに染められており。
札幌を破った際に目を入れる、という儀式を行うのでしょうか。

この日の札幌のキャプテンは小野らしい。

いよいよキックオフを迎え。

ソニーは中央からの攻撃が主体で、サイドに流れる事があっても、クロスには行かず中央に戻して再度突破を図るというシーンが目立ち。
やはり身長差が第一の問題として立ちはだかっていたのでしょう。

しかしそのパスワークを活かし、早くも試合を動かしたのが前半7分でした。
敵陣エリア手前でパスを繋ぎつつ右に展開、2番・三浦がカットインからグラウンダーのクロスを入れると、ニアで9番・内野が合わせて左サイドネットに突き刺し。
札幌にとっては2年前の悪夢が蘇るようなソニーの先制点、そんな予感を生み出しました。

しかしこの日は、ストロングポイントがハッキリした攻撃で主導権を握ります。
188㎝トリオ(中島・ドウグラス・ガブリエル)を活かして収めさせつつ、ルーカスからの逆サイドへの展開・突破からのクロスという二択。
あるいは中央からサイドに展開してルーカス以下略か、ドウグラスのドリブルかという二択の攻撃が中心でした。
12分には右サイドで受けたルーカスから、ガブリエル→ドウグラスと経由し中央へ渡り、ドウグラスがシュート。(ブロック)
助っ人トリオのホットラインも生まれ、以後怒涛の攻撃を仕掛ける事となります。

そして直後の13分、同様のパターンから中央でドウグラスが受け、そのままエリア内へ入らんとする所をソニー・吉森に倒されて反則。
辛うじてエリア手前でPKにはなりませんでしたが、そこは名キッカーが居れば、直接フリーキックの絶好の位置となり好機なのは変わらず。
そしてこれを蹴るのは説明不要の小野で、ソニーサイドもフィールダー全員で壁を作るなど防戦姿勢を見せますが、それを物ともせず小野は実にあっさりと直接シュートをゴール左に突き刺します。
あまりにも美しい軌道だったのかGK鴨川も一歩も動けず、同点に追い付いた札幌。

 

この日のピッチ脇のミシャ氏、夏も近付きポロシャツ姿。
前半はルーカス、後半はキムミンテの名をしきりに叫んでおりました。

これで札幌は気分的に楽になった、と思われましたが16分に致命的なミス。
GK中野が前に出てのビルドアップの最中、小野のGKへの戻しをを内野に掻っ攫われ、そのまま空っぽのゴールにシュートされてしまいます。
内野の2ゴール目で、あっさり勝ち越したソニー。

しかしその直後、札幌もやり返します。
ルーカスの右→左のサイドチェンジ(グラウンダー)を中村がダイレクトでパス、それを受けた菅からのクロス。
これをファーサイドのルーカスの足元にピタリと合い、強烈なボレーシュートをゴール左へと突き刺したルーカス。
基点とフィニッシュ双方をこなした彼の働きで、再び試合を振り出しに戻しました。
これで16分に双方1点ずつと、傍らから観れば面白いながらも当事者達がパニックを起こしそうな展開に。

その後ソニーが、21分・22分とともにシュートを放ちますが実らず。
すると再び札幌のクオリティ高い攻撃が牙を向きます。
キムミンテのロングパスで、再びルーカスが右サイドでボールを持つと、ゆっくりと前進ののちクロス。
これをニアサイドで中島がヘディングシュートで見事ネットを揺らし、長身を活かした逆転ゴールとなり。
直後に飲水タイムに突入と、第1クォーターのうちにとんでもない点の取り合いとなりました。

広告は何も無し、流石はサッカー協会直接の運営です。

反撃したいソニーは、27分に右サイドから10番・藤原がシュートするも、ブロックされコーナーキックに。
そしてキッカーの7番・吉森がニアに低いクロス、これを22番・福宮がフリックするもクリアされます。
すると札幌のカウンターとなってしまい、これがゴールに繋がる事に。
尚、自身は「フリックしたのは誰だ?」と確認するのに目を奪われていたため、気が付いた時には既にボールがエリア手前まで辿り着いていました。
ルーカスがディフェンスに阻まれるも、こぼれ球を中島がエリア内でシュートし、ゴールネットを揺らす事に成功。
これで4-2、中島もこの日2点目と、前半からケチャドバにも程があるスコアとなりました。

2点ビハインドを跳ね返すべく、ソニーも反撃を試みますが、やはり「クロスを上げても高さ勝負では話にならない」という状態が心理的圧迫感を招いてしまったのか。
以降はパスワークも乱れがちになり、ドリブル突破(主に8番・佐藤)も阻まれるなど、攻め手が見当たらない状況に。

こうなると札幌はイケイケの展開で、33分にはドウグラスの左からのカットインから、ラストパスを受けたルーカスがシュート。(枠外)
40分には、再びルーカス・ガブリエル・ドウグラスのトリオのパスワークから、ドウグラスがシュートを放ちましたがゴールバーを直撃。
アディショナルタイムには、ルーカスが右からカットインして左に展開、受けた菅が中央へパスとサイドを激しく振っての攻撃。
そして小野→ドウグラスと渡り、シュートが放たれるもブロックに阻まれ。
止めは刺せなかった札幌でしたが、J1の貫禄を見せつけたかのような前半戦が終わりました。

前半だけでこのスコア、やはり壮観ですな。

巻き返したいソニーは、ハーフタイムに2枚替えを敢行。
内野・佐々木→金井(13番)・吉野(14番)が投入され、佐藤の1トップとなりました。
吉野はボランチに入り、金井は2列目中央で、主にポストプレイ役を務める事に。

交代策が嵌りを見せたか、次第にソニーに流れが傾く事に。
後半6分には交代出場の金井がドリブルからスルーパス、藤原が走り込んでシュートするもブロックに阻まれます。
9分には左からのスローイン、佐藤が直接エリア内で受けてキープ、そしてシュートするも枠を取られられず。
押され始める札幌、8分には三浦のドリブルを倒してしまった中村に警告が与えられるなど厳しい展開に。

そして11分、シュートがブロックされて右CKを得たソニー。
キッカー吉森はグラウンダーでクロス→三浦スルーと変化をつけると、ファーサイドで受けた佐藤がシュート。
ゴールネットに突き刺さり、好循環を得点につなげる事に成功したソニー。
1点差に詰め寄り、試合の行方は解らなくなりました。

迫りくる相手の足音を聴く事となった札幌。
ミシャ氏のキムミンテの名を叫ぶ機会も多くなってきましたが、以降は再びペースを掴み、攻撃権を握っていき。
そして14分に3枚替えを敢行、ルーカス・キムミンテ・菅→金子・荒野・田中へと交代します。

立ち位置も代わり、柳が右CB→右ウイングバック、岡村が中央CB→右CBへ。
荒野はボランチ、田中は中央CB、金子は左WBとそれぞれ入りました。

直後の16分にソニーが、吉野の右からのクロスをGK中野がファンブルし、藤原がシュートを放つもブロックで何とか防いだ札幌。
以降はルーカスが退いたためか、ボールを大きく展開する攻撃は鳴りを潜め(金子を中心とした突破力に賭ける体制か)、その分ソニーも攻撃機会が増えていきます。
前半よりもサイドからクロスを上げるシーンが増えたものの、やはり高さでは通用せず。
21分に吉森→秋元(18番)へと交代後もそれは変わらず、あと1点が届きそうで届かないという雰囲気になってきた所で後半の飲水タイムへ。(26分)

明ける際に札幌は2枚替えを敢行(ブレイク前から準備していた)、小野・中村→高嶺・福森へ。
2回の交代で早くも枠を使い切った札幌、これでリーグ戦のメンバーともある程度謙遜無くなり、第4クォーターに挑みます。

28分に金子のドリブルをソニー・三浦が倒してしまい、反則・警告。
これでお互い1枚ずつイエローカードを貰う図式となり、終盤戦へと突入していく事に。

ソニーは31分に、佐藤→松本へと交代。
DF登録の松本、何処に入るかと思われましたが、右サイドに。
布陣はどうなる……と思い目を凝らすと、どうやら3バックへと変更した模様。
3-4-2-1か3-3-2-2なのかは不明で、というのもボランチの片割れであった途中出場の吉野が、しばしばチャンスの際はエリア内へと上がっていくからであり。
2.5列目からの飛び出しが売りの選手、そんなイメージを抱きました。

ビハインドを跳ね返すべく、好機の際は全力で押し込みにかかるソニー。
札幌陣内でディフェンスを受けて倒れる場面も目立ちましたが、笛は鳴らずという判定も多く、ソニーベンチから声が上がる回数も増えていきます。
そんな中、ジョーカーとなるべき最後の交代が用意され、ベンチから「獲って来いよ!」という声の下送り出される17番・上野。

しかしその矢先の84分でした。
福森がソニー陣内でチャンスメイクする札幌、最初はエリア内右へのロングパスで折り返しを狙うも、シュートには結び付かず再び福森の下へ戻され。
そして左への展開に切り替えた福森、その期待に応え金子が前進してクロスを上げると、ニアサイドで中島がヘディングシュート。
ゴール左を捉え、この時間帯で貴重な5点目を挙げた札幌。
中島のハットトリックというおまけも付き、勝利を手繰り寄せます。

やはり事前予想どおり、高さ勝負に持ち込まれるとキツかったソニー。(失点直後に藤原→上野へと交代)
43分には吉野がエリア内からシュートを放つも、GK中野のセーブに阻まれゴールならず。
2点差のままATに持ち込まれ、最後は金井がシュートする(枠外)シーンも生まれましたが、結局それ以上得点する事はありませんでした。
乱打戦を制した札幌、今年は波乱を起こされる事無く3回戦にコマを進めました。

善戦したソニーでしたが、やはりパワーという点で札幌に上をいかれ、それを覆す事は出来ず。
後押しする存在の観客も無し、という環境も厳しかったでしょうが、まあ仕方が無いでしょう。

試合終了の時間にはすっかり暗くなっていた屋外。
つい1時間前には↓のような写真を撮っていたのが嘘のようだ、そんな事を考えつつ、競技場を後にしました。(どうでもいい)

上空を飛んでいた飛行機。

遥か彼方の夕暮れ。


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