※前回の岡山の記事はこちら(36節・磐田戦、2-1)
※前回の栃木の記事はこちら(35節・千葉戦、0-1)
<岡山スタメン> ※()内は前節のスタメン
<栃木スタメン>
- 新人の高嶋が初のスタメン出場。
残り3試合と今シーズンも大詰めですが、この段階で「昇格も降格も無し」となったクラブが皆無という縺れぶり。
そんな状況故に、昇格争いの瀬戸際と、残留への扉を開けるのにあと一歩のクラブの対決が発生するのはある意味必然か。
岡山は前回で上位の磐田相手に競り勝った事で、昇格に向けて上げ潮モードといきたかったですが、続く千葉戦でそれを完膚なきまでに潰されてしまう大敗。(0-5)
ここからプレーオフ圏を追い掛ける戦いを強いられたものの、以降も未勝利と厳しい局面になってしまい。
一方の栃木も、一時は12位で残留まで残り僅かとなった所で4連敗を喫するという具合に、芳しくない歩みとなっている両クラブ。
ともに久々の勝利が欲しいという状況で始まった試合。
やはりそれに向けた思いが先走るかの如く、ロングボールの蹴り合いで入る事となり。
そしてお互いFWに強力な助っ人が控えるのを活かす立ち回りに。
前半4分裏へのロングパスに左サイドで抜け出したチアゴですが、追いすがった石田と縺れて倒れ込み受けられず。(反則無し)
5分に今度はイスマイラが裏へと走り込み、ロングパスを受けにいったもののこちらも柳を倒してしまい反則と、ともに相手ディフェンスとの対応で難儀する結果となります。
その威力が発揮されたのが12分で、こぼれ球を拾ったチアゴがドリブルに入り中央を突破し岡山の好機。
そのままエリア内へ切り込んでシュートを放ちましたが、高嶋のブロックに遭い先制ならず。
マンパワーを盾として攻撃権を支配したい岡山でしたが、その後はビルドアップvsプレッシングの争いで難儀する事となり。
栃木はハイプレスを掛けるものの、頂点のイスマイラがアンカーへの切り方が甘く(それ故自身が輪笠に付いて他選手に任せる事もあり)、輪笠へパスを通す隙は十分に得られた岡山。
しかしいざ輪笠がパスを受けても、その先に渡す事が出来ずに時間を浪費していきます。
この日は高萩がボランチに・西谷がシャドーに入るなどやや変則的な前線の守備となっていた栃木。
ベテラン・高萩が統率するディフェンスが絶妙だったのか、ないしは岡山サイドの2列目やウイングバックのポジショニングが悪いのか。
何度か坂本が降りてボールを受ける場面はありましたが、次第にそれも無くなっていくとパスを繋ぐ道筋は無くなったと言って良い状態に。
22分、GK堀田からの繋ぎで左サイドに渡し、その坂本の降りを利用して前進に成功。
右からの輪笠のクロスの跳ね返りを拾い、さらに攻撃せんとした所で田部井が(佐藤に)反則を受けてフリーキックに。
この左サイド奥からのFK、クロスを選択するも防がれ今度は左コーナーとなり、再びのクロスがニアサイドへ。(キッカーは全て田部井)
跳んだ鈴木を越えた奥で田中が合わせヘディングシュート、これをチアゴがコースを変えんと詰めた結果、(スルーされて?)ゴールに吸い込まれます。
しかしチアゴがオフサイド判定に引っ掛かり、残念ながら無効となり。
甘さも見られる栃木のプレッシング故に、こうして好機も作れていたものの、30分頃からはそれも潰えてしまい。
イスマイラが前に出ると、空いたアンカー輪笠に対しボランチが出て行って詰め、輪笠に前を向かせない姿勢を取り始めた事で機能不全となるビルドアップ。
そしてペースを握る栃木、こちらも脅かすのはセットプレーが中心に。
33分にプレスを嵌めてカットに成功した西谷が田部井に倒され、右サイドからのFK。
中盤寄りの位置で放り込みを選択するキッカー石田、左ワイドへのロビングを福森がエリア内へと折り返し、拾ったイスマイラが反転しながらシュート。(ブロック)
直後の35分には石田が右からロングスロー、ニアでのイスマイラの落としでエリア外へ流れた所を大森がミドルシュート(エリア内で高木がブロック)とフィニッシュへの道筋を作っていきます。
ディフェンスを物ともしないイスマイラの威力に、岡山ディフェンスもそのダメージで頭の中が掻き回されていたでしょうか。(38分にはクロスを合わせにいったイスマイラに鈴木が倒されて反則、イスマイラに警告)
その矢面に晒されていた柳は39分にあろう事か、自身のボールキープの最中に転倒してしまいボールロストする致命的なミスを犯し。
こぼれたボールを大島が繋ぎ、受けた西谷がペナルティアークからシュートと決定機に結び付きましたが、放たれたシュートはゴール左へ外れて何とか命拾い。
先制点に近付いたような栃木ですが、こちらも40分に平松がチアゴにアフターチャージを受けた事で思わずヒートアップしてしまうなど、その威力によるプレッシャーは常時抱えており。
そしていくら攻撃権を支配したといっても、その軸は強さを押し出してのものでアバウトな攻撃が中心。
アディショナルタイムには石田のロングスロー自体が乱れて直接ゴールラインを割るなど、セットプレーでもその粗雑さは荒ぶりを見せてしまいます。
結局スコアレスのまま前半が終了。
押し込まれた岡山は、前節(山口戦、2-2)同様に輪笠をハーフタイムで退かせる交代策を採り。
同時に2枚替えして輪笠・坂本→バイス・ムークへ交代、バイスが最終ラインに加わった事で本山がアンカーに上がるという微調整も加えます。
後半の入りも中々リズムが作れない岡山でしたが、後半4分に右サイドから前進。
ムークが降りてパスワークに加わると、右センターバックに移った柳も攻撃参加し、最後は末吉の戻しを受けて奥に切り込んでクロスまで上げた柳。
ブロックされてCKと成果を得ましたが、この右CKからはクロスが上がったのちに反則を取られて実らず。
7分に今度は左サイドから、バイスのミドルパスに入れ替わった田部井がさらに裏へミドルパスで奥を突かんとする攻め。
これで左CKを得て、キッカー田部井のファーへのクロスを柳がヘッドで合わせたものの枠には飛ばず。
アンカーを省略するような攻撃へと活路を見出したでしょうか。
しかし押し込むものの盤石とはいえないその流れ。
栃木は9分にゴールキックからのロングフィード、セカンドボールを拾っての攻撃をCKに繋げ。
そしてこの左CK、キッカー福森が中央にクロスを上げると、柳がクリアするもフリック気味になってしまいファーサイドへ流れ。
これを高嶋が折り返して再度中央へ送られると、ヘディングシュートでゴールを揺らしたのはイスマイラ。
前半から得ていたセットプレーでの流れは健在であり、とうとう先制点に辿り着きました。
一方栃木は前半のシーン程大きくは無いが柳のミスが絡んでしまい、後ろでGKもパンチングにいっていただけに任せて良かったかもしれません。
追い掛ける立場となった岡山。
最終ライン中央のバイスから攻撃開始する状況が増えましたが、やはりサイドに追いやられての前進を強いられ。
12分にそのバイスの右への展開を田中がダイレクトで縦パスを送り、ムーク→チアゴと渡って好機。
そしてエリア内を突いたチアゴがシュートを放つも、GK藤田にキャッチされ実りません。
逆に14分、再びGK藤田ロングフィード→イスマイラ落としからの攻撃でCKに繋げる栃木。
この左CKから、ゴールへ直接向かうクロスを連続して上げるキッカー福森。
あわよくば2点目を、という意識を感じさせる攻撃ですが、ロースコアの接戦のなかリードしている状況故にそれは相当なプレッシャーであり。
糸口を掴みたい岡山、16分にチアゴ→ルカオへ交代し前線の駒を代えて挑むも流れは変えられず。
17分に敵陣右サイドでカットした栃木、その流れのまま反則を受けて今度はFKに。
クロスの跳ね返りから、右ハーフレーンで拾った高萩のミドルシュートがゴールを襲いましたがブロックを掠めて左へと外れ。
しかしCKで継続(ここからもクリアボールを石田がミドルシュート、ブロック)と、セットプレーで押し込まれる岡山。
何とか流れを断ち切るも、今度はリトリート重視へと意識を移す栃木ディフェンスに難儀する状況を強いられます。
中央から運べないので、アンカー本山もサイドに流れてパスワークに加わり前進を図りますが、フィニッシュに繋ぐ事は出来ず。
23分に高木→木村へ交代、木村が右WBに入った事で末吉が左に回り。
効果が出ないまま次々にカードを切るだけ、という感じの采配に映りましたが、結果的にこの策が後に奏功する事となり。
以降も大まかな流れは変わらず、それどころか栃木のカウンターが牙を向き始め。
23分に田中のスルーパスがカットされると、矢印を反転させられ大島が前進からスルーパス、走り込んだイスマイラが柳をフィジカルで剥がして受けた事でGKと一対一の決定機が生まれます。
しかしエリア内に切り込み左にかわさんとした所を、GK堀田が抑えるビッグセーブでこれを防ぎ。
再び何とか命拾いといったシーンを演じてしまった岡山。
それでもその後栃木は、高萩と西谷の位置が入れ替わるという、高萩の燃料切れが露骨に示される布陣を取り。
そして28分にその高萩が退き小堀と交代、同時にイスマイラ→宮崎へ交代と、やや後ろ向きな感じの交代策を強いられたでしょうか。
同時に岡山も最後のカードを使い、本山→仙波へと交代。
この日3人目のアンカーとなった仙波は、フィードで組み立てる姿勢を取り。
それにより両WBもスムーズにアタッキングサードでボールを受けれるようになり、ようやく反撃の道筋は整った、という所でしょうか。
左に移った末吉の仕掛けが目立ち始め、優勢になっていく岡山。
そして35分右サイドから中央→左へと移すと、鈴木縦パス→田部井フリックで素早く末吉に繋ぎ、奥を取ってカットインを仕掛ける末吉。
付いていった高嶋がボールを外に掻き出すも、アフターで末吉の脚を引っ掛けて倒した事により反則を告げる笛が鳴り響きPKに。
栃木サイドにとっては「先にクリアしたじゃないか」という意見が飛び出しかねない場面でしたが、「決定機阻止」よりは「ラフなプレー」の意識が先に立った主審(川俣秀氏)の判断だったでしょうか。
このPKはバイスが蹴りにいき、決められなければ地獄というこのキックを、冷静にゴール右へ蹴り込んでGKの逆を突き。
同点に追い付き、そのバイスがGK藤田の妨害を制してボールを拾い素早く戻しにいき、文字通りの総攻撃に入る岡山。
しかし栃木も勝利が欲しいのは変わらずで、前に意識を戻した事により、俗に言うオープンな展開に。
40分には栃木がカウンターに持ち込むも、ドリブルで運んだ宮崎がエリア内で奪われると逆に岡山のカウンターに。
末吉のスルーパスをルカオが収められずと、カウンターのカウンターという激しい流れとなるも、繋ぎの粗雑ぶり目立ち始め。
栃木は38分に大森・石田→ラファエル・福島へと2枚替え。(高嶋が右CB→左CBへシフト)
45分に大島→矢野へ交代と、カードを切っていったものの流れを変えるには至りません。
岡山はパスワークで押し込み、その流れの中で柳もエリア内へ入り込む状況が増えていきますが、それが実る事は無く。
突入したAT、岡山も木村がロングスローを投げ入れる等、形振り構わない姿勢に入ります。
そのロングスローからの二次攻撃で、右サイド奥でボールを持った木村がカットイン、そしてクロスを低いボールで入れ。
ムークの手前でクリアされ、小さくなった所を鈴木がシュートに繋げましたがブロックに阻まれ。
結局フィニッシュはこれだけに終わり、粗雑ぶりがさらに高まった事で好機の数自体も多くなかった5分間のAT。
1-1のまま試合終了の笛が鳴り響き、崖っぷちに追い込まれた岡山と、残留を決められなかった栃木の文字通り痛み分けの結果に終わりました。
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