<両軍スタメン>
監督交代後も、一進一退の成績で波に乗れずという状態を続けているFC東京。
その心境は、欧州スタイルを身に付けようとして果たせないでいるもどかしさか。
あるいは下位カテゴリのJ2で、同じ東京都のクラブである町田(神奈川県だろと言ってはいけない)が昇格を決めた事によるライバル出現故の焦りか。
新たに就任したピーター・クラモフスキー監督も、ボール保持というよりは、ハイプレスに舵を切ってリーグ戦を乗り切る戦いが続いており。
それは現在首位の神戸をはじめハイプレス全盛のJリーグにおいて、ポゼッションスタイルを落とし込むのは少なくともJ1に置いては困難に近く、ある意味当然といった状況でしょうか。
それでもそのノウハウを身に付け、プレッシングを上回るクラブが出て来ないかという期待は淡いものですが、何割かは持っておきたい。
そんな事を考えながら視聴しましたがさて。
この日も、ハイプレスが持ち味の広島相手に苦戦するFC東京。
何とかスローインからディエゴのポストプレイ・アダイウトンのスピードを利用してコーナーキック攻勢に辿り着いた入り。
しかし2本目の右CKから広島のカウンターを誘発してしまい、一旦奪取するもすかさずゲーゲンプレスで奪い返される(シュートには辿り着けず)など、難儀なものとなり。
気を取り直し、直後の前半4分にはゴールキックから短く繋いでポゼッションを試み。
広島のプレッシャーの前にGK野澤はロングフィードを選択せざるを得なくなるも、その跳ね返りを空中で繋いでいき、アダイウトンの落としで裏に抜けた仲川から好機。
彼のダイレクトパスを受けた渡邊がシュートしましたが、(仲川の)オフサイドディレイの笛が吹かれて無効となります。
しかし9分、広島の攻撃を凌いで反撃に掛かるFC東京でしたが、その間に森重が接触で倒れ込んでしまい。
すると広島が自陣で奪い返し、プレーを止めずに反撃に入られた事でピンチとなり、東俊の縦パスを入れ替わって受けた加藤がエリア内からシュート。
GK野澤がセーブし、こぼれ球をヴィエイラに詰められるも野澤が何とか抑え。
主審の判断の曖昧さもあっての危機でしたが、何とか凌ぎ。
12分にも広島のパスワークのなか、満田のスルーパスに対し、オフサイドポジションにいたヴィエイラがスルーして後方から川村が走り込むという好機に。
彼の横パスこそ遮断するも、こぼれ球をヴィエイラに繋がれ、再び加藤がエリア内からシュート(ブロックされCKに)とフィニッシュに繋がれます。
オフサイドをアテにしていたが故の危機で、判定が絡む場面で悉く不利に働いた事で更に後手に回ってしまったでしょうか。
広島もハイプレスの旺盛さ以外は、効率の良い攻めを重視するスタイル。
21分にゴールキックでのロングフィードが直接エゼキエウの足下に収まり、彼のパスを受けた東俊がドリブルで一気に左ポケットに進入。
そして切り返しからシュートを放つもGK野澤がキャッチ。
26分には川村の右から中央を横切るような斜めのドリブルから、パスを受けた東俊が今度はアーリークロス。
中央でバウンドした奥で加藤がダイビングヘッドで合わせる(GK野澤セーブ)という具合に、ペースを握れないFC東京を尻目にフィニッシュを重ねていきます。
こうした相手の攻撃を受ける事で、FC東京サイドも効率の良さに意識を振るに至ったでしょうか。
ディエゴ・アダイウトンのマンパワーを活かしてのサッカーで対抗姿勢を取り始め。
それに対し合わせる事で、周囲も徐々に力を発揮されてきたでしょうか。
37分には最終ラインからの運びで、アダイウトンが中央でボールを受け、ディフェンスに遭うもディエゴが拾い継続。
右サイドへ展開ののち、ポケットへのスルーパスに走り込んだディエゴがマイナスのクロスを入れると、ファーに流れた所を走り込んでシュートしたのはバングーナガンデ。
しかしゴールバーを直撃と、やっと作り上げた決定機はモノに出来ず終わります。
攻撃機会が増えてきたFC東京ですが、それにより再度広島のカウンターに脅かされる割合も増えてしまい。
上記の決定機の直後、スルーパスに走り込んだ加藤を倒してしまったトレヴィザンが反則・警告を受け。
43分にも、バングーナガンデのドリブルが止められて矢印が反転し、エゼキエウがドリブルから右ポケットへスルーパス。
走り込んだ塩谷が低いクロスを入れるもGK野澤が抑え、何とか凌ぎます。
方針も変えつつ(ブレながら?)も、何とかペースを握らんとするFC東京。
それに対し常時一定のペースを保ち、攻防の末に優位に立っていた感があった広島。
前節で優勝の可能性が潰えたとはいえ、流石は上位に居るチームという感がありました。
アディショナルタイムには広島の攻撃が続くも、オフサイドを立て続けに取られるなどでフィニッシュシーンは作れず。
全体的に押し込んでいたものの、スコアレスのまま前半を終えました。
後半の入りも、スローインからディエゴのキープを利用して何とか好機を作らんとするFC東京。
アダイウトンに受け渡したのち、スルーパスを受けたバングーナガンデが左奥へ切り込むも、クロスはブロックで防がれ。
強引に好機を作らんとしたものの、その姿勢は実らず反撃に移る広島。
そして後半3分、満田のラフなミドルパスをヴィエイラがフリックで繋ぎ、その後も浮き球を制して前に運び。
中野の浮き球パスを加藤が反転しながらのトラップで前を向くと、その勢いのままにシュートをネットに突き刺します。
前半幾度もフィニッシュを放ってきた加藤、ようやくその姿勢が結実し先制点を齎しました。
展開そのままといってはそれまでですが、ついにビハインドとなってしまったFC東京。
直後の4分に広島の自陣でのパスミスから好機を作らんとしましたが、ディエゴのエリア内へのスルーパスに走り込んだ渡邊がオフサイドとなりモノに出来ず。
その後も広島の圧力の前に、反撃の道筋を作る作業に難儀する事となり。
9分に広島のゲーゲンプレスをロングパスで打開せんとするも、ヴィエイラにブロックされて果たせず広島の攻撃に。
右サイド奥でのパスワークから、中央で受けた川村がバイタルに切り込み、ミドルシュートを放つと見せかけてさらに前進しエリア内へ。
ここは森重がクリアして何とか凌ぐも、追加点への恐怖との戦いも強いられます。
10分にはゴールキックから再び短く繋ぐも、GK野澤がエリア内で加藤の激しいプレッシャーに遭い。
何とか森重が繋ぎ、左サイドで持ったバングーナガンデが中野に倒され、反則の形で脱出という見るからに苦しい絵図となり。
盤石に近い展開といえた広島ですが、アクシデントのような事象が発生したのが13分。
FC東京陣内でこぼれ球になると、スライディングで抑えにいった森重とヴィエイラが激しく交錯してしまい、森重が先にボールに触れていたためヴィエイラの反則に。
これにより激しく痛むヴィエイラの方に警告が付き出される、若干アンラッキーな判定を受ける事となります。
治療を受けたヴィエイラがピッチ外に出ている隙に好機に持ち込むFC東京、松木の左ポケットへのスルーパスに走り込んだアダイウトンがクロス気味にシュート(ゴール右へ逸れる)と脅かし。
一転して慌ただしくなった広島ディフェンス。
その影響が17分に露呈する事となり、ここも原川がスルーパスをアダイウトンに通し、そのまま左ポケットへ進入してクロスを送るアダイウトン。
中央に走り込む仲川の手前で荒木が遮断に入りましたが、ブロックされたボールがあろう事かゴールに吸い込まれ。
綺麗な流れのオウンゴールにより、同点に追い付いたFC東京。
タイスコアとなったものの、広島が優位を築く状況は変わらず。
オウンゴールという結果の通り、事故のような失点と割り切れていたでしょうか。
20分パスワークで右サイド奥を窺う姿勢から、戻しを経てハーフレーンでボールを持った塩谷。
ここから逆サイドへ展開すると見せかけ、トレヴィザンが中央へ寄った一瞬のスキを突いてポケットへ縦パスを通す技を見せます。
そして受けた加藤がまたもフィニッシュ体勢に入り、前に出るGK野澤の上を抜くループシュートを狙いましたが、ゴール左へ逸れてしまい惜しくも勝ち越しならず。
先程の川村の持ち運びといい、相手の裏をかく意識の高い攻めを見せる広島。
何とかそれらを凌いできたFC東京、勝ち筋はアダイウトンを活かしてのカウンターとなったでしょうか。
26分に広島の執拗なクロス攻勢を防ぐと、その通りの展開に持ち込み、渡邊とのワンツーから敵陣でドリブルに入るアダイウトン。
しかし佐々木に止められてしまい、アタッキングサードへの進入すらままならず。
直後の27分にまたも広島の好機、左ポケットへ切り込んだエゼキエウからクロスが上がり、中央で跳んだ加藤がこの日6本目のシュートをヘディングで放ち。
これを同じく跳んだバングーナガンデがヘッドでブロックと、FC東京の際どい凌ぎは続きます。
直後にベンチが動き、橋頭堡であったアダイウトンが退き、俵積田が同ポジションで投入され。
そして30分についに決壊が訪れます。
広島の攻撃が途切れるも、原川の安易なダイレクトパスが中野にカットされた事でショートカウンターに持ち込まれ。
満田がヴィエイラとのワンツーでエリア内へ切り込み、リターンをダイレクトでシュートしてゴールネットを揺らします。
相手のミスを確実にモノにし、再びリードを奪った広島。
アダイウトンが退いた事で、頼みはディエゴのみといった感じのFC東京。
33分に左サイドをディエゴのポストプレイを絡めて前進していくと、締めもディエゴでカットインからミドルシュートを放ち。(GK大迫キャッチ)
しかし直後の34分にはそのディエゴにも交代措置が採られ、熊田へ交代となります。(同時に原川→東慶悟へと交代)
かくして橋頭堡が無くなったFC東京を尻目に、攻勢を掛ける広島。
36分には川村がミドルシュート(GK野澤セーブ)、37分には加藤が右からのカットインを経てエリア内でシュート(GK野澤セーブ)と、GKが大忙しの展開に。
38分にはカウンターに持ち込み、俵積田が左からカットインでポケットを突く好機が生まれましたが、入れられたクロスは精度を欠いてしまい大きく流れ。
最近活躍中の俵積田ですが、こうした劣勢を一人で打開できる能力は未だ持ち合わせていないという印象でした。
ほぼ順風故か、広島ベンチは終盤まで交代カードを使わずに試合を進め。
ヴィエイラが足を痛めたというタイミングでようやく動き、43分にナッシム・ベン・カリファを投入します。(同時にエゼキエウ→志知に交代、東俊がシャドーに回る)
一方FC東京も最後の交代を敢行し、バングーナガンデ→徳元。
そして最終盤というAT。
最早乱戦に持ち込むしか残された道は無いFC東京、俵積田の居る左から攻め込んで左CKを獲得。
キッカー松木のクロスから、中央でトレヴィザンが叩き付けるヘディングシュートを放ったものの、大きくバウンドした結果ゴール上に外れ。
その後もカリファの反則で左サイドからのフリーキックを得ると、クロスをGK大迫が弾いた所に森重が脚で押し込まんとしましたが撃てず。
結局際立った好機はその2つぐらいで、右サイド奥で広島が時間稼ぎを敢行する等時計を進められ。
おまけに中盤でパスミスを犯してしまうと、拾わんとしたカリファに対し仲川がスライディングで削ってしまい反則。
足裏がモロに入った事で、主審が赤色のカードを突き出す事態となり一発退場という事態も起こしてしまいました。
思わぬミソも付いた末に、試合終了の笛が鳴り響き1-2で広島勝利という結果に終わりました。
力負けといった格好のFC東京でしたが、試合終了後には新クラブエンブレムの発表が更なる物議を醸す事態となり。
賛否あるものの、個人的にはクラブ革新を唱える過程で見境を無くしてしまったという印象は拭えず。
シンプルなデザインへの選択は納得できますが、欧州サッカーのクラブにありがちなもので逆に特徴を無くしてしまった感が強く。
迷走感が伺える中、果たして生き残る事が出来るでしょうか。これで町田に加えてヴェルディまで昇格という事になったら来季はどうなるやら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます