※前回の千葉の記事はこちら(28節・仙台戦、4-2)
※前回の山口の記事はこちら(30節・徳島戦、1-2)
<千葉スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 天皇杯準々決勝(京都戦、0-3)からのスタメン継続は無し。田中和・松田が途中出場。
- 前節(秋田戦、0-1)負傷交代した風間はベンチ外。(後日離脱が発表されて全治約6か月との事)
<山口スタメン>
- GK関が試合前練習での負傷(放送席の談)により、控えの田口潤と入れ替わり。(つまり実質控えGK不在か)
ともに天皇杯で、準々決勝まで勝ち残っているクラブ同士の対決。
しかしJ1クラブがACLとの兼ね合いで、その日程にズレが生まれた結果千葉は今週・山口は来週に開催という差異が生まれました。
先んじて挑む事となった千葉ですが、中2日の連続という日程で、言い方は悪いが半ば「捨てる」事を選択。
完全ターンオーバーを敢行した結果、京都に成す術無く完敗となりましたが、リーグ戦に専念出来る環境が出来たのはプラス要因。
風間の長期離脱といった誤算は有れど、メンバー調整かつ固定を果たしての終盤の戦いに幸が生まれるかどうか。
試合開始直前という段階で、山口がGK関のアクシデント発生により入れ替えを余儀なくされ。
田口潤が今季初スタメンとなりましたが、それにより試合中も不測の事態が絡み続ける展開を強いられたでしょうか。
ボール争い重視の立ち上がりから、前半4分に山口が、新保のロングパスによるセカンドボールを拾った山本のミドルシュート。(枠外)
その直後にも中盤でのボール奪取から、またも山本がミドルシュートを放つ(ブロックされコーナーに)など、苦境を跳ね返すべく積極的に入る山口。
7分に千葉に早くもカードトラブルが生まれた(野寄に反則を犯した横山に警告)のを尻目に、さらにテンポを上げ。
続く8分も、中盤で田邉のパスカットから素早く攻め込み、野寄が左ポケットへスルーパス。
しかし走り込む若月の手前で相田に当たってしまいズレるという具合に、その前向き姿勢による空回りも生まれてしまい。
一方の千葉は前回観た際の、最終ラインでのプレス回避を巧く取り入れての攻撃を継続。
以前の一本調子なスタイルを改めたようなその姿勢で、ハイプレスが特徴の山口をいなしに掛かります。
10分に自陣右サイドでキープする横山がプレッシャーを受けるも、落ち着いてGKまで戻してからの前進を選択。
そして左からのパスワークで、佐々木縦パス→小森スルーで受け直して右へ展開と、セカンドトップの立ち振る舞いで流動性を齎す横山。(その後杉山が右ポケットへ進入しシュート、枠外)
山口の気迫を巧く逸らしたものの、15分の山口の攻撃で、右奥でキープする間に対し肘打ちに近い形でチャージしてしまった小川が反則・警告。
早くも2枚目の警告と、委縮しかねない流れも生まれ。
しかしその後は落ち着きを取り戻し。(20分には山口・平瀬も小森への反則で警告)
ポゼッションを高め、敵陣でパスワークを展開するも戻して作り直しを選択という具合に、かつての一辺倒なスタイルはかなり改善され。
縦に速い攻撃は、山口の攻めを遮断してのカウンターへ温存するという形で、両面性を巧く醸し出してペースを確保していきます。
そうして千葉のボール保持の局面が膨らんだ影響で、中々プレーが切られなかったため飲水タイムは28分と大幅に遅れ。(しかも山口・志垣良監督のアピールでたまらず取ったという絵面)
相手の術中に嵌りたくない山口、ブレイク明けの30分に敵陣右サイドで河野がパスカットと、相変わらず前向きの姿勢を貫き。
ここから相田のロングスローを炸裂させる従来通りのスタイルで、クリアボールを拾った河野が右からカットインを経てミドルシュート(エリア内でブロックされCKに)と、押し込みからのセットプレーで先制を狙いにいき。
この右CKから、キッカー新保クロス→ニアで河野フリックで落とし→若月脚で合わせるという綺麗な流れを作るも、フィニッシュが浮いてしまい決められません。
尚も同様の流れで攻め上がり、40分に右スローインを収めた山本がそのままバイシクルでロビングを送ってからの攻め。
エリア内へこぼれた所を野寄が走り込んでシュートしますが、GK鈴木椋のセーブに阻まれCKに。
クロスからのクリアボールが上空へ浮かび、平瀬が合わせにいくも打ちきれずと乱戦模様に持ち込まれ。
その後も前のバイシクルでの折り返しなどを挟んだ末に、後方から新保がミドルシュート。(杉山がブロックしてさらにCKに)
こうした状況で得点出来れば山口ペースの試合となったでしょうが、果たされずに終わると、ひたすら前向きとなったツケを支払わされる事となり。
さらに続いたCKから齎されたのは逆に千葉のカウンターで、田中和が敵陣右サイドで溜めを作り、遅攻に切り替えたのちパスワークでの崩しを図り。
右ポケットを突くも戻して高橋壱のクロスと、あくまで決定機まで待つというそのスタイルの末に、クリアボールを確保したのちエドゥアルドが後方からミドルシュート。
GK田口潤がセーブするも、眼前にこぼれたボールを確実に詰めた小森によりゴールが生まれます。
天皇杯での姿勢を活かすべくの、先制点を挙げた千葉。
これにより、逆に押し込んでCKを得るなど全体の流れも千葉のものとなり。
田中和のロングスローも絡めるなど、完全に山口のお株を奪う格好に。
アディショナルタイムの最中、山口のクリアボールを確保してそのトランジションを突く攻めで、右ポケットで受けた小森が中央へカットイン。
そしてエリア手前で切り返しシュートを放つも、ここはGK田口潤がキャッチ。
追加点はならなかったものの、リードと流れの双方を得て前半を終えた千葉。
逆に巻き返しを図らなければいけなくなった山口は、ハーフタイムで交代を敢行。
野寄→酒井へと交代し、河野が左サイドハーフに回ります。
こうして後半開始を迎えたものの、入りは千葉ペースと前半の流れそのままに。
早速の後半1分、敵陣での長い繋ぎを経て右から杉山がクロス、大外で収めた田中和がそのままの勢いで中央へ切り込むもGK田口潤が何とか抑え。
その後も千葉の攻撃機会が重ねられ、何とかひっくり返したい山口。
4分に右スローインから前進し、若月がドリブルで切り込んでカットインでエリア内を突き。
しかし松田に奪われ撃てずに終わるとカウンターになり、松田縦パス→横山スルーパス→小森で一気に好機に持ち込む千葉。
ここは小森のカットインをヘナンが奪って防ぐも、6分にまたもや千葉の攻撃、敵陣左サイドで細かく繋ぐ体勢に。
田中和が奥へ切り込む姿勢を見せてからの、戻しを経て小川のスルーパスでポケットを取る攻めで崩し、奥からマイナスのクロス。
そしてニアに走り込んだ杉山が潰れた末に、中央に流れたボールを横山が押し込んで仕上げ追加点。
優勢の状況下、しっかり得点を重ねる事で勝利へ進撃します。
2点差となり、さらに山口は悪い事が続き、8分にエドゥアルドに反則を受けた河野が起き上がれず。
チャージが深く入ってしまった事で続行不可能となり、交代を余儀なくされてしまいます。
小林成が同ポジションで投入され、同時に田邉→ユーイェンと2枚替え。
その後、小林成の推進から好機を作り、CK攻勢に持ち込むという前半の良い時のような流れを作りかける山口。
しかし千葉も、2本目のCKでのクリアボールを確保した杉山、山口のゲーゲンプレスを受けるも倒されながらボールキープ。
そして繋いでプレス回避を果たし横山のスルーパスで逆に好機を作るという具合に、相手の流れを遮断するプレーが光り。
ここから敵陣で繋ぎに入った千葉、サイドをくまなく使った末に横山のスルーパスが左ポケットに入ると、受けた田中和が酒井に倒され。
完全にチャージが田中和の足に入っていたように見えましたが、反則を告げる笛は鳴らず仕舞いとなり。
山口にとっては振り回され続けた末に、ボックス内まで戻りを強いられた酒井が……という最悪に近い流れでしたが、命拾いを果たします。
反撃体制を整えたい山口は、19分にユーイェンのボール奪取から速攻は選ばず、中盤の底での繋ぎを経てユーイェンが間を通す縦パス。
小林成に渡るとドリブルで中央バイタルに持ち込み、果敢にミドルシュート。
しかしこの思い切りの良いフィニッシュも、左ポストを直撃して実りません。
その後20分に若月→奥山へと交代、彼が右SHに入る事で山本がFWへと回り。
24分に飲水タイムが挟まれ、第4クォーターへ。
しかし千葉にもアクシデントが発生し、千葉エリア内での空中戦でエドゥアルドが山本との交錯で痛んでしまい。
そのまま起き上がれずに交代の憂き目に遭うという具合に、河野の負傷退場の要因となってしまったためか、報いを受ける格好となり。
これで交代を余儀なくされた千葉ベンチですが、代わりに投入されたのが田口泰とその層は厚く。(同時に杉山→椿へと交代、田中和が右SHに回る)
また山口も同時に、山本→末永へと交代します。
お互いアクシデント塗れとなりますが、田口泰が加わった千葉はやはりそのゲームメイクに衰えは見られず。
その後もボール保持で山口の攻めっ気を逸らしながら、機を見て追加点を狙う立ち回りを徹底します。(32分に横山→ドゥドゥへと交代)
そのため突破口が欲しい山口は、攻撃機会自体が少なく。
37分に右スローイン→酒井ポストプレイから組み立て、左へ展開ののち新保のアーリークロス。
ファーに上がったボールをGK鈴木椋がパンチング、そのこぼれを狙い前がミドルシュートを放つも、鈴木椋が跳び出したままセーブ。
久々に放ったフィニッシュも防がれると、再び千葉のターンとなり沈黙に入るという具合に(数的優位だった徳島戦とは事情が違い)攻勢を作れません。
それでも41分、千葉のクリアボールを拾った平瀬がラフに高い浮き球を送ると、相田が確保に成功しそのまま右サイドから攻め。
奥山が縦突破から低いクロスを入れると、クリアが小さくなった所を小林成がレイオフで繋ぎ、相田のミドルシュートが放たれ。
GK鈴木椋がセーブするも、千葉の1点目同様綺麗に酒井の眼前へこぼれる格好となり、悠々と詰めネットを揺らします。
ようやく1点差に詰め寄り、意気を高める山口。
平瀬をFWに上げ、徳島戦のように4-1-3-2に近い布陣で勝負を賭ける体制を採ります。(相田がセンターバックに回る)
しかし千葉のキックオフで再開したその初手、佐々木のロングパス一本で一気にエリア内を突き、走り込んだ小森がループシュート(枠外)とあわやゴールという絵図に。
点差は縮まったものの、これにより展開自体は保たれたままとなり。
つまりは千葉の攻勢が続く中、山口がその間を縫わなければならない状態。
45分、敵陣での千葉のパスワークをカットした新保から、速攻を仕掛ける山口。
しかしドリブルに入った末永を松田がナイスディフェンスで阻むと、千葉のカウンターへと反転し、そのまま右奥まで上がってボールを持った松田。
結局戻して作り直しとなるも、何度も上下動を強いられる山口は同点への機運を高められずにATを迎える事となります。
そして千葉は残されていた交代枠を使い、純正CBの山越(といってもサイドバック兼任ですが)を投入し守備を固め。(同時に田中和→岡庭へと交代、佐々木が左SBへ回る)
依然優位を保つ千葉、その止めはやはりカウンターからでした。
山口は自陣からのFKで放り込みの体勢を取り、キッカー新保のフィードはエリア手前を選択するも、カットして椿がボール確保。
そして前線へ繋ぐと、左サイドを抉ったドゥドゥの低いクロスを、走り込んで合わせたのは小森。
得点王争い単独トップに躍り出るゴールで、再度2点差に突き放し勝利を決定付けました。
尚も諦めない山口に対し、冷静にいなしてその背後を突く千葉。
高橋壱のスルーパスを受けた岡庭が、右奥を窺う姿勢を経てパス&ゴーでポケットを取ると、田口泰のスルーパスがそこに入り。
典型的なポケットを利用した崩しに対し、新保がディフェンスに入るも岡庭を倒してしまった事で反則を告げる笛が鳴り。
これでPK献上と、結果的にATの決定機にともに絡んでしまう格好となった新保。
失意を隠せない山口サイドを余所に、千葉はゲットした岡庭がキッカーを譲らないという珍妙な絵図を生み出すに至り。
結局ドゥドゥの説得?もあり小森がキッカーに落ち着き、しっかりとゴール左へ決めきり4点目。
同時に小森もハットトリック達成と、終わってみれば大量点という展開となりました。
山口は最後に小林成がミドルシュート(枠外)と一矢を放つも、それ以上の事は出来ず。
そのまま試合終了となり、4-1で勝利した千葉。
これで両クラブ順位は逆転し、山口を追いやる形でプレーオフ圏の6位へと浮上を果たしました。
一方、次週は天皇杯(マリノス戦)も控えており打ちひしがれている暇はない山口。
千葉と違い中3日なものの、同じくリーグ戦への注入の姿勢を見せなければならないなか、そのメンバー選択にも注目が集まる事となるでしょう。
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