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DAZN観戦 2021年J2リーグ第21節 京都サンガFCvsV・ファーレン長崎

2021-07-06 18:55:56 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の京都の記事はこちら(17節・栃木戦、0-0)
※前回の長崎の記事はこちら(13節・北九州戦、1-0)

松田浩監督就任後、怒涛の7戦無敗(6勝1分)で上位に進出した長崎。
修羅場を潜り抜けてきた者の手腕は伊達では無く、逆に言えば、開幕から監督交代までの期間を無駄に過ごしてしまったと言わざるを得なく。

「守備組織の構築に関しては日本で一・二を争う」という評判の松田氏、その通りにディフェンス面の安定化を短期間で落とし込み。
6勝はいずれも無失点でのものと、いくら手腕に定評あると言え、ここまで極端な変貌を見せるとは驚愕もの。
そんな上り調子で迎えた上位陣との連戦、惜敗した前節(磐田戦・0-1)を経て、この日も昇格圏内に居る京都との戦いになりました。

就任以降、レギュラーにもテコ入れを敢行した松田氏ですが、その中で「いかにも守備重視の松田氏らしいな……」という起用がベテランFW・都倉でしょうか。
吉田孝行前監督の頃は、1トップ(4-2-3-1)というシステムが主で、かつ長身FWが他にも揃っていた(富樫やエジガル・ジュニオ)ためスタメンは僅か1試合。
それが今や全試合スタメンで出場中という転身ぶりで、得点能力に目がいきがちな存在ですが、いかに前線での守備を買われているかが伺える都倉。
相手の最終ラインに対し、ボランチへのパスコースを切りながら規制を掛けるというやり方が非常に巧で、抜擢される理由も納得です。

相手が京都という事で、いかに今の長崎といえど、無傷で終える事は難しいと予想していた試合前。
その通りに前半4分、左サイドからの攻撃で荻原と松田天馬がパスを繋ぎつつ前進し、松田天のミドルシュートを炸裂させた京都。(GK富澤セーブ)
また7分には、クリアボールを松田がダイレクトで裏へ送ると、ピーター・ウタカがエリア内に走り込んでシュート。(枠外)
ダイレクトでのショートパス主体で組み立てる京都ですが、センターフォワードにウタカというエースが居る以上、こうした一本のパスも脅威となる。
そんな多彩な攻撃に翻弄されずに凌ぐ事を要求されたこの日の長崎。

その後も京都の攻撃の圧は緩む事無く。
13分には右サイドからのフリーキックで、クロスは居れずにパスを繋ぐ選択。
武田のフリックを経て中央へ渡ると、ヨルディ・バイスがダイレクトで縦パスをエリア内に送り自身も前進、宮吉のポストプレイ(ヒール)から自らシュートを放ちますがGK富澤がセーブ。
さらに16分、武田の敵陣でのボール奪取から、川崎の縦パスを受けた宮吉がペナルティアークからシュートするも再度GK富澤がセーブ。(その後荻原が左サイドからシュートも枠外)
何度も危ない場面を作られ、その度に富澤の好守に助けられるという危機的状況の長崎。
しかし、結果的にこの時間帯を無失点で凌げた事が良かったでしょうか。

一方長崎の攻撃としては、2トップに都倉・エジガルという長身コンビを活かす、彼らに向けたロングボールを送る振る舞い。
ここまでは定番通りですが、意外とGK富澤からのショートパスによる繋ぎも取り入れるなど、以前の長崎のサッカーを組み込んでいる節も見受けられました。
最終ラインで繋ぎ京都のプレスをいなした上で、FW目掛けて長いパスを送る。
そんな立ち回りが、押され気味の展開の中でチームに落ち着きを与えていたようなこの日の試合でした。

迎えた22分の長崎、GK富澤のロングフィードをエジガルが落とし、そこからパスワークを展開する攻撃へ。
左→右へとサイドを移したのち、カイオ・セザールが右サイド奥からエリア内に切り込み、クリアされるもこぼれ球を都倉が右奥で拾い。
京都・川崎のアタックを受けつつキープした都倉から、ウェリントン・ハット→毎熊→カイオと繋がりエリア内中央へ渡り、カイオがシュート。
ゴール右隅へと突き刺さり、苦しい試合展開をひっくり返す先制点を得た長崎。
直後に飲水タイムへ突入と、良い時間帯でのゴールとなりました。

リードを奪われた京都、その後も攻撃権を支配して同点に追い付かんとします。
しかし25分に、エリア内に進入するウタカが長崎・カイオに奪われたのを皮切りに、長崎ディフェンスが冴え渡りゴールを脅かすシュートを放てず。
スコアが動いた事で余裕を与えてしまった、という表現が当てはまる展開に。
惜しかったのは35分、右サイドで飯田がクロスを上げると、クリアが小さくなった所を荻原がエリア内でシュートしたシーン。
しかし荻原のシュートはミートせずに枠外と、流れの悪さを露呈するだけに終わってしまいました。

以降京都もペースを失い、長崎がセットプレーを交えつつの反撃。
41分には左コーナーキックから、キッカー毎熊のクロスを中央で江川がボレーシュート。(GK若原セーブ)
アディショナルタイムには中央やや左から直接FKを得ると、ハットが直接シュートを狙い、壁の左を抜けたものの惜しくもゴール左へ外れ。
追加点こそなりませんでしたが、京都サイドに焦りを呼ぶには十分な攻撃で、前半をリードを保ったまま終えます。

後半を迎え、幾ばくか京都もネジを巻き直したか、再び主導権を握って攻勢に入ります。
押し込んでセットプレーも得て、得意の変化による攻撃(CKをグラウンダーでクロス→ニアでポストプレイ)も仕掛けたものの、中々シュートには繋げられず。

押され気味ながらも、自慢の守備力を発揮しつつあった長崎。
10分に後半初めての攻撃機会を掴むと、その直後に勇気を与える得点が入ります。
右サイドからのクロスが流れ、京都が自陣奥でボールを持つ展開になると、(京都から見て)右サイドでキープする飯田は澤田・エジガルのプレスを受けてGKにバックパス。
GK若原がキックの体勢に入るも、その目の前にも毎熊がプレスを掛ける長崎、これが奏功して若原のキックは直接澤田に当たり。
そして拾ったエジガルがすかさず無人のゴールに蹴り込み、角度の無い所でしたが見事決めてゴール。
「攻撃は最大の…」とは逆の、「防御は最大の攻撃」と言いたくなるような追加点を奪った長崎。

一方、相手を押し込みながらも得点出来ず、逆に2点ビハインドとなってしまった京都。
苛立ちも募っていたか、13分に長崎・澤田が左サイドをドリブルで抜け出した所、バイスがスライディングで止めて派手に倒れてしまう澤田。
当然反則の笛が鳴りますが、脇に居た長崎・都倉がクレームを付けた所を、あろう事か突き倒してしまったバイス。
反則時点かその後の蛮行でかは不明(スライディングの際やや足裏が入っていたため)ですが、当然黄色い紙がバイスに付き出される運びとなりました。
前半立ち上がりは際立っていた京都の攻撃でしたが、すっかり流れを失ってしまったようで。
実は翻弄していたのは長崎ディフェンスの方だった……とも言いたくなり。

京都ベンチとしては大胆な策を打ちにいき、流れを変えたくなる場面。
そして16分に3枚替えを敢行、宮吉・三沢・荻原→中川・曽根田・白井へと交代します。

そして反撃の1点を奪いに攻勢を掛ける京都、先程失態を演じてしまったバイスも要所で攻守に活躍。
23分の長崎の右CK、キッカー加藤聖のクロスが直接ゴールへと向かいましたが、ゴールライン寸前でバイスが足でクリアし3点目はならず。
その直後の京都、降りてきたウタカからパスを受けたバイス、縦パスを送ると自身も前線に上がるという前半13分の再現のような攻撃。
中川→松田天と繋がってシュートレンジに出されたボールに、走り込んで左足で撃ったバイスでしたが、結果も同様でGK富澤のセーブに阻まれてしまいました。

25分に後半の飲水タイムが採られ、明けた後の最初の攻撃は長崎で27分、毎熊の右サイドからのクロスを都倉がヘディングシュート。(ブロックされCKに)
29分には長崎の左CK、キッカー加藤聖はニアサイドに低いクロスを入れて新里がスルーという変化を付け、中央で江川がシュート。(ブロック)
余裕が生まれた長崎の攻撃も冴え、何とか追加点を阻む京都というあべこべな図式に。

何とかしたい京都、31分に再び交代。
松田天・武田→李・森脇へと2枚替え、2度の交代で5人を使い切ったベンチ。
李・森脇の投入で、「ウタカとの2トップかな……」「森脇を最終ラインに加えて3バックかな……」なんて変化を想像したものの、ウタカが左ウイングに回る・森脇がMFに入るという形でシステムはそのままでした。
その最初の攻撃で(32分)、李が右サイドからカットインしてミドルシュートを放ち(エリア内で長崎・新里がブロック)、反撃姿勢を見せた京都。

守備に回る長崎。
38分にゴールキックの際にGK富澤が遅延行為で警告を受ける、39分に都倉が足を攣らせて倒れ込む(直後に交代)など、徐々にその圧力が影響し始め。
40分に最初のカードを切り、都倉・ハット→ルアン・米田へと交代します。
さらに42分には加藤聖→二見へと交代。

運動量が加わった事で、戦況は再び五分となり。
二見はそのまま左サイドバックに入る形で、本来ならセンターバックの人材でしょうが、松田氏の「改革」以降はフレイレともども脇に置かれる格好に。
新里・江川のCBコンビが冴え渡っている証拠でもありますが、さらに納得させる事となったのがこの日の二見のプレーぶり。

長崎2点リードのままATに突入し、自陣で京都がパスワークをしている際に、李に対しアフター気味にスライディングで倒してしまった二見。
警告が与えられ、ラフなプレーが目立つ事となりました。
こうしたフィジカルを前面に押し出すプレーが、組織重視の松田氏の下、序列が変わる要因となったのだと思わされました。

ともかく最後は若手の植中・安部を投入(澤田・エジガルと交代)し、京都に何も起こさせる事無く逃げ切りを果たした長崎。
またも無失点で勝利と、安定ぶりは止まる所を知らず、順位も7位に浮上。
次節から折り返しとなるリーグ戦、昇格圏を脅かしに掛かる体勢は整ったといえるでしょう。


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