※前回の山形の記事はこちら(38節・岡山戦、0-1)
※前回の北九州の記事はこちら(39節・山口戦、1-0)
息継ぎをする暇も無く、降格圏が確定して最終節を迎えてしまった北九州。
持てる限りの戦力で守備を固めに掛かったものの、結果は出る事無く。
J3の結果を考慮しなくても、残留の可能性は針の穴程(勝利かつ19位・相模原が敗戦、それに加えて9点もの得失点差を追い付く)という状況で、どんなサッカーを見せるのか。
嫌でも攻撃的にいかなけらばならない故、センターバックに村松・ボランチに針谷がスタメンに返り咲き。
本来の最終ラインから繋ぐサッカーを基調とし、大量点を狙いにいく姿勢を採った小林伸二監督。
前半2分にスローインからラフなロングパスを入れ、こぼれ球を拾った前からがドリブルからミドルシュート。
GK藤嶋のセーブで防がれるも、僅かな可能性を広げにいく選手達。
しかし相手は上位の山形と一筋縄ではいかず、こうなると思い出すのが、2019年の最終節・柏vs京都。
昇格の可能性を残して首位・柏に挑んだ京都でしたが、攻撃サッカーを貫いた結果、マンパワーを活かした柏のカウンターを止める術に乏しく。
おまけにDFが次々と負傷交代する不運にも見舞われ、後半は全くのザル守備となってしまい失点を重ね。
それでも勝利への得点を目指して攻め続けた結果、終わってみれば13-1・FWのオルンガが8得点という記録的な大敗となってしまいました。
奇跡を起こさんとしたチームに対し、齎されたものは非情な現実という血も涙も無かった試合。
果たして前掛かりになるこの日の北九州も、そんな鉄槌に押しつぶされやしないかと一抹の不安を覚えての視聴でした。
9分に最終ラインで繋いだのちGK田中が左サイドへフィードを通し、受けた福森がワンツー・ドリブルで前進してエリア内へパス。
前川が中央からシュートするも山形・半田のブロックに阻まれるという具合に、好機は作るもののゴールに辿り着けない北九州。
村松・針谷が加わったものの、立ち上がりはオーソドックスな2CB・ドイスボランチによるボックス型でのビルドアップ。
そこそこ機能させてはいたものの、次第に山形のプレッシングが襲い掛かります。
14分に敵陣左サイドで岡﨑がパスカットし、中央への縦パスを受けた中原がシュート。(GK田中ダイブしてキャッチ)
それを受けてか、立ち上がり15分を過ぎた辺りから、ボランチの西村が降りて本来の「丁の字型」でのビルドアップの形を採った北九州。
20分にはその形から前進し、新垣がエリア内でシュートを放つ(ブロック)好機が生まれたものの、徐々に山形に押し込まれる展開を強いられます。
基調である細かなパスワークに、ヴィニシウス・アラウージョのポストプレイを加えて巧みに前進する山形。
そしてあの日の柏・オルンガの如く、ヴィニシウスの個の力が以降炸裂する事となります。
26分、敵陣で南のパスカットから山田康太→山田拓巳へと渡り、山田拓から送られたエリア内へのスルーパスにヴィニシウスが走り込み。
完全に抜け出し、GK田中の飛び出しも間に合わずに放たれたシュートがゴール内へと転がり。
北九州の気勢を削ぐ山形の先制ゴールが生まれ、同時に飲水タイムが取られます。
ブレイク明け、一層得点が必須となった北九州でしたが、主導権は山形のものに。
29分、ここも敵陣左サイドで岡﨑のパスカットから素早く攻撃、縦パスを受けた山田康がスルーパス。
走り込んだ加藤からのクロスが低いボールでニアサイドを突き、バウントした所に合わせたのはヴィニシウス。
綺麗に右サイドネットに突き刺し、あっという間に2得点を挙げます。
北九州は33分に山形・南の反則(警告)によるフリーキックから、キッカー高橋の右手前からのクロスに西村が合わせボレーシュート(枠外)を放ったのが唯一の好機となり。
後は山形の一方的な展開で前半が推移し、37分には山田康のペナルティアークからのシュート(GK田中セーブ)、41分にはミスからヴィニシウスがエリア内からシュート(ゴール右へ外れる)と攻め立てます。
「13-1」への下地が出来上がったかのような展開でしたが、追加点は生まれぬまま前半を終え。
ハーフタイムに両チーム動き、山形は前半44分にGK藤嶋が足を負傷し、何とかプレーを続けたもののここで交代の措置が採られる事に。(ビクトルと交代)
一方の北九州、河野・狩土名→生駒・富山へと2枚替え、何とか反撃体制を作りに動いたベンチ。
前節からスタメンに復帰した狩土名ですが、とりたてて成長した風には見えず。
浮き球のパスを収められないシーンが続発するなど機能不全に陥っていた感があり、早速メスを入れられました。
代わって入った富山は、キックオフ直後の後半1分、村松のロングボールに合わせてから空中戦に持ち込んだのち自身で落とし。
拾った前川がシュート(枠外)と、早速好機を演出します。
ゴールキックからのショートパスでの前進も、降りて来てのポストプレイで絡みを見せる富山。
そして微かな希望の光が差し込んだのは7分。
左サイドで富山がポストプレイで絡んだのちに西村がサイドチェンジ、右サイドから針谷がエリア内へミドルパスを入れると、上がってきた富山が収めにいき。
後ろ向きでトラップした所を山形・山﨑に倒されクリアされましたが、主審の笛が鳴り反則・PKというジャッジに。
これに山﨑が不満を露わにして異議で警告を受けるという具合に、富山は後ろ向きなため倒れなくてもシュートに持ち込めるか怪しいシーンでしたが、ガッツリと押して倒してしまった以上言い訳は利かず。
得点の可能性大というPKを貰いましたが、キッカー富山のゴール右へのシュートを、GKビクトルがナイスセーブ。(しかもキャッチング)
北九州が富山投入ならば、山形も(アクシデント絡みでしたが)ビクトル投入が大当たりといったシーンになりました。
PK失敗にもめげず、尚も押し込む北九州。
しかし12分、止めを刺されたのは自陣での(GK田中の)パスミスでした。
これを拾ったヴィニシウスが、GK田中の跳び出しを受けてすかさず右へシュート。
ゴールポストを直撃するも、右サイドで中原が拾ってクロスを入れると、北九州・針谷のクリアミスでこぼれた所にヴィニシウスが反応してシュート。
シュート失敗をすぐさま取り返したヴィニシウス、これでハットトリック達成となり、山形がリードを広げました。
もはや総員突撃するしかない北九州。
山形は15分にそんな北九州のプレスにも屈せず、最終ラインでいなしたのち瀧澤のロングパスをヴィニシウスが収めて攻撃を展開、中原のシュートに繋げます。(ブロック)
そして直後の16分、逆に山形が敵陣深めで半田がプレスを掛けてこぼし、山田康が右からダイレクトでクロス。
これに合わせたのはやはりと言うべきかヴィニシウスで、足から跳び込んでのボレーで合わせ、GK田中のセーブも及ばずにこの日4点目をゲット。
同時にお役御免となり(林と交代)、手を叩いて観衆にアピールしつつピッチを出るヴィニシウス。
北九州もこのタイミングで2枚替え、前川・針谷→椿・六平へと交代。
さらに直後にプレーが途切れると、福森→永田へ交代し、全ての交代カードを使いきった小林監督。
高橋を(4-2-3-1の)トップ下へと移し、左サイドハーフに椿・右SHに新垣を置く布陣となりました。
20分には投入直後の椿の前進から、永田からのリターンを受けた椿がミドルシュートを狙いましたが惜しくもゴール右へと外れ。
25分に飲水タイムが挟まれた後は、ようやく北九州が望んでいたであろう、攻撃権を独占する展開が訪れます。
既に勝利の芽は限りなく薄く、残されたJ2の時間でどれだけ意地を見せられるかという状況でしたが、未来のためにも諦めるのは厳禁。
32分には新垣が右ハーフレーンからミドルシュート、GKビクトルにセーブされての左コーナーキックから、富山がヘディングシュートを放つもこれもGKビクトルがセーブ。
相手GKの好守も高い壁となりますが、それでも歩みを止めてはいけない。
そして34分、敵陣で高橋のパスカットからショートカウンター、すかさずエリア内へ送られたミドルパスを富山が収め。
切り返しから放たれた富山のシュートがゴールネットに突き刺さり、ついに1点を挙げた北九州。
一方防戦を強いられていた山形、主導権を取り戻すべく36分に2枚替え。
岡﨑・中原→國分・マルティノスへと交代すると、直後の37分には右からのマルティノスのクロスから、跳ね返りを山田康がミドルシュート(枠外)と押し返します。
40分には攻撃の中心であった山田康が足を攣らせて続行不可能となり、樺山が代わって投入。
それでも流れは変わる事無く、北九州の意地を跳ね返すかの如く好機を作っていきます。
そして43分、敵陣右サイドで半田のボールカットから、マルティノスがエリア内へスルーパスを通し。
受けた林がGKと一対一となり、ループシュートでGK田中の上を抜いてゴールゲット。
最後はこの日何度も見せた、敵陣でのボール奪取からの攻撃での5点目となりました。
5-1というスコアで迎えたアディショナルタイム。
最終盤に北九州が押し込み、何度もCKを得る流れを掴んだものの、2点目に辿り着く事は無く。
そして迎えたくなかった、試合終了の瞬間が訪れる事となりました。
正直PK失敗が無くても苦しかったでしょうが、訪れた希望の光は確実に自陣に灯さなければ、モチベーションを保つのも難しく。
2年でJ3に逆戻りとなった北九州、シーズン終了後は小林監督の退任も決定。(フロント業に専念)
J3全体サッカーのレベルが急上昇しているのもあり、再度の這い上がりに向けては相当な厳しさが予想されますが果たして。
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