※前回の愛媛の記事はこちら(20節・町田戦、0-5)
※前回のヴェルディの記事はこちら(16節・秋田戦、3-1)
16節から怒涛の5連勝で、上位を伺う姿勢に入ったと思われたヴェルディ。
それでもこの5勝はいずれも中~下位、または秋田・栃木のようなポゼッションを端から放棄しているチーム相手と特徴がハッキリしており。
前半戦に植え付けられた、「上位相手には手も足も出ない」という印象を覆すには物足りなさがあったのも事実。
前々節は松本に敗戦(1-2)で連勝ストップ、前節は群馬に引き分け(2-2)と、下位相手に勝つ事もままならなくなっている現状。
そしてこの日の相手は愛媛と、下位相手が続く日程故取りこぼせないという意識が逆に動きを堅くしているのでしょうか。
この日も立ち上がり、愛媛のハイプレスでビルドアップに苦しむヴェルディ。
前半2分、愛媛は敵陣右サイドで近藤がボール奪取に成功し、同サイドで藤本からのクロスを吉田が合わせにいく好機を作り。
暗雲立ち込めるシーンを作ってしまうと、5分に再度忽那が左サイドでボール奪取して愛媛の攻撃。
拾った田中が前進し、エリア内を伺わんとした所で中央へ送り、受けた近藤がミドルシュート。
ンドカ・ボニフェイスがブロックに入るも、逆にゴール右隅へと軌道が変わり、綺麗にネットを突き刺すシュートとなりました。
序盤から総員突撃のように果敢に仕掛けた愛媛、先制点でその姿勢が報われる事に。
逆にヴェルディは前述の堅さが、ビルドアップは今一つ、失点シーンでもブロックにしっかり入れずという具合に作用してしまったか。
その堅さをほぐしたいヴェルディ、10分にはGKマテウスのショートパスから攻撃、加藤の縦パスを受けた井出が中央をドリブル。
エリア手前で奪われるも山下が奪い返し、左サイドへ展開したのち山口がクロス(シュートまでは行けず)と、最後方から一つ良い場面を作り。
これでボールが回るようになり、パスワークで愛媛ディフェンスを翻弄。
11分に端戸がポストワークでキープする所を愛媛・浦田に倒されるなど、立ち遅れ故の反則も目立つ事となります。
15分にはゴールゲッター・小池の下にチャンスが訪れ、ンドカの縦パスを受けた井出のスルーパスから、山口が左からグラウンダーでクロスという速い攻撃。
ニアサイドで合わせた小池ですが、シュートはGK岡本のセーブに阻まれます。
そして21分に左コーナーキックを得たヴェルディ。
キッカー佐藤優平のニアサイドへのクロスを、ンドカが合わせヘディングシュート。
対角線で右サイドネットを捉える、守備側にとって成す術のないシュートがゴールネットを揺らし。
第1クォーターのうちに同点となり、点の取り合いを予感させます。
実際に直後の愛媛キックオフからの攻撃、茂木のロングパスを中央で藤本が収め、ペナルティアークから吉田がシュートを放つ(ゴール左へ外れる)シーンが生まれ。
攻め合いの雰囲気を生みつつ、26分に飲水タイムが挟まれます。
ブレイク明けの立ち上がりも攻勢を掛ける(28分には再度吉田がシュートもブロック)など、いつに無く積極性が目立ったこの日の愛媛。
しかしヴェルディはそれを何とかいなすと、持ち味のボールポゼッションで奥深さを発揮。
序盤は愛媛のプレッシングに苦労していたものの、2トップが相手故、ヴェルディの本来の姿である最終ライン3枚でのビルドアップは健在。
左サイドバックの山口に高い位置を取らせ(従来その役を担っていた福村が逆の右SBなのが可笑しくもありますが)、ストロングポイントを発揮していきます。
32分、最終ラインから左へ展開すると、受けたのはアンカーの加藤。
ここで加藤がサイドに開くという変化を見せた事で、ギアを上げていく意思表示となったでしょうか。(ここではクロスが入るもシュートまでは行けず)
35分に再びCKから、中央へのクロスを若狭がヘディングシュート(ゴール左へ外れる)と惜しいシーンを作り。
押し気味の流れが出来上がったのちの38分。
ここも左サイドへの展開から、山口から受けた井出が中央へ向かうドリブルののちエリア内へスルーパスが出され、小池が受ける絶好機に。
ディフェンスにこぼされた所を、エリア内右で山下がシュート、GK岡本がセーブするも小池が詰めにいき。
小池がトラップしたボールが愛媛・三原に当たると、そのままゴールへと転がってゴールイン。
愛媛サイドは小池の腕に当たったとして紛糾するも、判定は覆らずヴェルディの得点となります。(公式記録も、最初は小池の得点のようだったが後にオウンゴールに)
先程の失点直後は流れに負けない攻撃を見せた愛媛でしたが、流石に前半での2失点はモチベーションに影響したか。
直後に山下のドリブルを止めた忽那が反則・警告を受ける等、ヴェルディの攻撃に翻弄される時間が長くなり。
それ以上の失点は防いだものの、1-2のまま前半を終えます。
流れを変えようと、ハーフタイムに三原→小暮へと交代カードを切ってきた愛媛。
それでも一度出来上がった流れを崩すのは容易では無く。
逆に前半に露呈した、愛媛の後追いのチャージが一層目立つ事となり、試合も珍妙なムードが流れ始めます。
切欠となったのは後半4分、ヴェルディ・加藤の吉田に対する反則で、フリーキックを妨害した山下が警告を受けたシーンだったでしょうか。
不穏な空気が生まれ始めたか、その後の6分に佐藤優が浮き球を競り合いにいった後、味方のンドカの足が入ってしまった事で痛んで倒れ込み。
ここまではヴェルディの自爆というべきでしょうが、1分程試合が止まったのち、8分にはパスを出そうとした山口が愛媛・小暮のチャージを受けて痛み。
これがノーファールで流されたうえ、山口は続行不可能となり担架で運ばれる事態となった事で、その空気が固定される事となってしまいます。(深澤が投入され、福村が左SBへ回る)
10分には、ポストプレイの体制に入った端戸が後ろから愛媛・浦田に倒され。
流石にこれには反則・警告となるも、以降もヴェルディの選手が痛むシーンが続出。
16分に端戸が愛媛・田中に倒されると、その後鼻?から出血したという事で止血のためピッチ外へ。
一時的に10人になったヴェルディですが、その最中にも山下が愛媛・茂木と接触し倒れ込むなど、物理面での崩しに苦しむ時間帯となってしまいました。
(28分には佐藤優が愛媛・内田に倒され動けなくなり、ノーファールの中プレーが続けられるというシーンも)
そんな中でも攻撃を続けたヴェルディ、19分には絶好のカウンターチャンス。
小池のディフェンスから井出がドリブルで一気にエリア手前まで進み、端戸がペナルティアークからシュートしますが惜しくもゴール左へと外れ。
ラフプレーに喘ぎながらも攻勢に入っていましたが、結局この時間帯で追加点は奪えず。
25分には山下が浮き球を収めて抜け出そうとする所を、愛媛ディフェンス2人に阻まれ倒されると審判の笛が鳴り。
サンドしたのは浦田と大谷で、審判が黄色い紙を突き出した事で「浦田が2枚目で退場か?」という雰囲気が生まれましたが、後ろからいった大谷への警告となり。
何とか命拾いした愛媛、そのまま飲水タイムへと突入し、明ける際に2枚替えを敢行(吉田・忽那→唐山・石井)と反撃体制に入ります。
降格ラインを行ったり来たりという、残留争いの典型を描いてしまっている愛媛。
目下3連敗中、この試合も含めると4戦で11失点という成績面でもさる事ながら、試合以外の所でも物議を醸す事となってしまい。
DAZN中継で、愛媛ホームでの解説を務める事が多い大西貴氏の、その解説についてニュースに取り上げられてしまったのが20節・秋田戦。
もう旬を過ぎている話題で、ここから何かを語るのもおこがましいと思うので、個人的な意見を述べるに止めます。
前年から、愛媛の試合を取り上げる際に観る試合中継で、解説が要因で不快さが残る事が多かった。
愛媛自身が低調な試合内容だったという要素もありますが、それに合わせるかのように後ろ向きな言葉ばかりが並べられる、というのが悪い意味で印象に残り。
自分が書いた記事では2020年29節・栃木戦が最も印象的で、前半から栃木のプレッシングに成す術も無い試合内容で、当然愛媛に対する不満の嵐となり。
特に後半選手交代で多少盛り返した際の、「これだけで改善されるんですよ(うろ覚え)」という「何で前半からそうしなかったのか」と取れるニュアンスでの喋りが、強烈にインパクトに残され。
しかし栃木に先制され、試合終盤は全く攻められなくなるという試合展開で、「改善とは何だったのか……」なんて思いにもさせられる事となり。
そんな試合の事を思い出し、今回のように槍玉にあげられるのはある意味当然だな……とも思わされました。
話は脱線しましたが、そんな要素も反発心に変えつつ残留を目指したい愛媛。
ヴェルディは佐藤優が前述の痛みの影響もあったか、33分に退き。(石浦と交代、同時に端戸→佐藤凌我へと交代)
それと同時に愛媛も大谷・内田→森谷・榎本へと2枚替え、これで交代枠を全て使うという勝負に出た實好礼忠監督。(田中がボランチ→中央センターバックへとシフト)
これでヴェルディは殆ど攻め込めなくなり、愛媛の怒涛の攻撃が繰り広げられます。
40分相手のミスから左サイドで唐山が拾い、一気に中央へとドリブルで前進し、エリア内に進入した所でシュート。
しかしヴェルディ・若狭のブロックに阻まれ、その後CKが続いた2本目。(右)
一旦クロスがクリアされたのち、森谷から再度入れられたクロスをニアで田中がフリックし、流れたボールを藤本がシュートしますがGKマテウスのセーブに阻まれ同点ならず。
一気に劣勢になったヴェルディですが、42分に再度交代。(小池・井出→持井・梶川)
梶川で展開力・持井で推進力を担保した結果、以降攻撃機会を作れるようになり。
お互いイーブンといった感じで、試合はアディショナルタイムへ。
その最初の愛媛の攻撃でした。
森谷のロングパスがヴェルディ・持井にカットされた所を、榎本が奪い返してそのままドリブルで突進。
左から中央へ向かってエリア内へ進入と、先程の唐山を彷彿とさせるシーンを描いたのちシュート。
GKマテウスが弾くもこぼれ球がゴールへと転がり、ライン際で持井がスライディングで掻き出したものの、ラインを割っていたとの判定でゴール。
土壇場で同点に追い付いた愛媛。
以降はヴェルディが攻勢を掛け(CKを2本得る)、勝ち越しを狙わんとするも、それが果たされる事は無く。
2-2で引き分けを告げるホイッスルが鳴り響き、愛媛にとっては貴重な勝ち点1を得る結果に。
唐山・榎本のドリブル突破が、最後にヴェルディの牙城を崩した原動力になるという、フィクションのような展開。
中断期間を経て、彼らの推進力で閉塞感をぶち破れる日は来るでしょうか。
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