「オリオン大星雲」は、星が活発に生まれている場所として有名です。4つの巨大な若い星「トラペジウム」の他に数千もの若い星がひしめき合い、天文学において最も人気のある観測対象といえるでしょう。左の画像は、欧州南天天文台の大型望遠鏡VLTが赤外線で捉えた「オリオン大星雲」です。その一角、白枠で囲われた範囲を、アルマ望遠鏡とスペインのIRAM 30メートル電波望遠鏡とが高解像度で描き出した電波写真が右の画像です。
激しく波打つ星雲の境界
「オリオン大星雲」は巨大なガスの集合体であり、若い星の光を受けて輝いています。特に巨大な星「トラペジウム」からは強烈な紫外線が放たれており、周囲のガスはこの紫外線を受けてあぶられています。星雲を形作る分子ガスは、強い紫外線によってどんどん破壊され、高温のプラズマに変換されていきます。分子ガスから放たれる電波を捉えた右側の画像は、星雲が激しく波立って破壊されつつあるまさにその現場のようすを私たちに教えてくれます。
<出典>: 「国立天文台:今週の一枚」
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