酔眼独語 

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スクランブルの危険性

2014-05-26 09:07:56 | ニュース
 中露海軍の合同演習を偵察・情報収集していた空自機が、中国軍機に異常接近されたとして大騒ぎになっている。

 《防衛省は24日、同日昼ごろの2回、東シナ海の公海上空を飛行していた自衛隊機2機に対し、中国軍の戦闘機が数十メートルの距離まで接近したと発表した。同省によると現場は、日本の防空識別圏と昨年11月に中国側が設定した防空識別圏が重なるエリア。中国側が識別圏を設定して以降、このような接近事案は初めてという。領空侵犯はなかった。

 発表によると、中国軍の戦闘機Su27が2機、午前11時ごろに海自の画像データ収集機OP3Cへ、正午ごろには空自の電子測定機YS11EBにそれぞれ接近。2機のうち1機は、海自機には約50メートル、空自機には約30メートルの距離まで、並走するように近づいてきたという。接触はなく、けが人もなかった。

 小野寺五典防衛相は「偶発的事故につながりかねない危険な行為だった」とするコメントを発表。日本政府は、在東京中国大使館を通じて、抗議した》=朝日digital=。


 小野寺が言うように「偶発的事故」につながりかねない行為であることは間違いない。ただ、スクランブルは「近づくな」と相手を威嚇するのが目的であり、ある程度の脅威を伴わなうのは常識だ(もっとも旧ソ連空軍と空自のように日常的なゲームと化したものもあるが…)。

 産経新聞が3月に報じたところによれば、空自は活発化する中国海空軍に対応するためスクランブルについてのマニュアル作成に着手したという。

 《航空自衛隊が外国航空機に領空侵犯された際の対応マニュアルの策定に着手したことが28日、分かった。マニュアルの策定は初めて。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の上空で領空侵犯や領空接近を繰り返す中国の戦闘機や情報収集機を念頭に置いている。マニュアルは強制着陸の実効性を高めることに重点を置いており、武器使用権限の見直しも喫緊の課題になる。

 マニュアルでは、侵犯機を国内に強制着陸させる方法や手順を規定。中国軍機の領空侵犯をにらみ、尖閣に近い石垣空港(同市)と宮古空港(同県宮古島市)に着陸させることをモデルケースとする。
 着陸させる際、空自戦闘機2機が相手機を挟み込む形で誘導する。領空の外側に設けられた防空識別圏に接近することの多い中国戦闘機J10の搭載燃料で石垣や宮古島まで飛行させられるか見積もりを立てる。
 J10とともに領空に接近してきている中国情報収集機Y8は速度が遅い。空自のF15戦闘機が横並びでY8と長時間飛行することは難しく、多数のF15でY8を追い越しては後方に戻ることを繰り返すような誘導計画を作成。中国機のパイロットが操縦席から脱出した場合の対応策も定める。
 着陸後はパイロットを沖縄県警に引き渡し、警備態勢の強化も要請する。
ただ、強制着陸を実行するには、相手機と同じ方向に横並びで飛行しながら前方に曳光(えいこう)弾を発射する警告射撃だけでは不十分との声が多い。空自OBは「相手に撃墜の危機感を与えることが不可欠だ。機体すれすれを狙う威嚇射撃を行えるよう武器使用権限を見直す必要がある」と指摘する》=3月23日=。

 このケースは領空侵犯であり、今回とは異なるが、識別圏から領空までは瞬時とも言える距離である。双方がどこまで近づけるかを競うチキンゲームなどを繰り返せば、米中機が衝突事態の再現もありうる。今の日中間には突発事態を穏便に処理する余裕がなさそうだ(とりわけ指導部に)。現場同士の対話を重ね、「偶発的事故」の回避に努めてもらいたい。

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