酔眼独語 

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「新聞大会」の皮肉

2014-10-16 16:07:07 | メディア
 今年で67回目になるという「新聞大会」が新潟市で開かれた。今回のテーマは「新聞の信頼回復」だという。業界のトップが雁首を並べた会合で「信頼回復」を打ち出さざるを得ないところに新聞界の深刻さが伺える。だが、「正確で公正な報道に全力を尽くすことを誓う」などというありきたりな決議しかできないようでは先が見えている。

 新聞大会のテーマとメーンの座談会のメンバーが決まったのはいつなのだろう。大会の規模や顔ぶれから見て8月の「朝日事件」以前に設定されていたと見たい。「事件」以後なら朝日の木村社長をパネリストには選んではいないはずだ。

 さて、その座談会である。コーディネーターは読売の白石社長、パネリストは木村氏の他に毎日の朝比奈、神戸の高士、新潟の小田各社長である。語っていることははっきり言って通り一遍、建前論の羅列と行ってよかろう。中でも笑ったのは朝比奈氏の「新聞界の相互批判は、業界全体の信頼を失うことにつながることになるのでは…」という発言だ。読売、産経による「朝日叩き」を念頭に置いての言なのだろうが、ピンボケもいいところだ。政府広報紙と化した感のある読売、ますます嫌中嫌韓の度を強める産経が、朝日バッシングを強めれば強めるほど、「朝日を守れ」という声も高まる。その中で、どちらを選ぶか(あるいはどちらも選ばないか)はあくまで読者の選択だ。新聞社間の批判合戦が新聞への信頼を失墜させているなどという言舌は読者を愚弄するものと言わざるを得ない。

 大会では産経ソウル支局長の起訴に関して決議も行っている。決議そのものに異議はないが、週刊誌のゴシップ記事並の与太コラムを「言論の自由」の錦の御旗にしているのが悲しくも切ない。エロ漫画を擁護するよりまだ情けない。

 この大会で決議されたのはあわせて3つ。メーンの「大会決議」と「産経決議」、加えて「新聞への軽減税率適用を求める特別決議」である。信頼を欠く新聞では軽減税率の適用などありえない-だから信頼回復を掲げる。言論の自由擁護を旗印に政府の対韓姿勢を側面支援する。

 今回の大会が新聞が政府に恭順の意を示す一里塚とならないことを切に望む。

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