五輪イヤーが明けてほぼ2週間、正月のスポーツシーンも終わりになりかけたところへ衝撃的?!なニュースが飛び込んできた。ニューイヤー駅伝や箱根駅伝で選手の足元を征服しつくした感のあるナイキの「ヴェイパーフライネクスト%」が使用禁止になるかもしれないというのだ。
《陸上長距離で最近数シーズン、好記録を連発しているナイキ製の厚底シューズが世界陸連の新規則によって禁止されることになると15日、複数の英紙が一斉に報じた。世界だけでなく日本のトップ選手の使用率は高く、使用禁止となる時期によっては混乱は必至。東京五輪の男女マラソン、競歩の札幌移転問題で困惑した陸上長距離関係者にとって、また頭を悩ませる問題となる可能性もある。
東京五輪を前に、陸上長距離界に新たな問題が発生しそうだ。デーリー・テレグラフ紙(電子版)は世界陸連の専門家による委員会が検証し、底の厚さに制限を加える規則を設けることになったと報道。現在人気を集めているモデルはトップレベルでは使用が禁じられるとした。ナイキの厚底シューズは炭素繊維のプレートが埋め込まれており、高い反発力が売りになっている。
同紙によると、世界陸連はソールの厚さを制限する方向だといい、エリウド・キプチョゲ(ケニア)が履いていた試作品や大迫傑(ナイキ)ら多くの日本人トップ選手も履いている「ズームXヴェイパーフライネクスト%」が規制対象。「デーリー・メール」は昨秋から世界陸連が調査チームを立ち上げていたとし、今後数カ月のうちに報告されるという。またタイムズ紙(電子版)によると、世界陸連は既に出された記録については抹消などはしない見通しという。
19年10月に行われた非公認レースで人類初の2時間切りとなる1時間59分40秒(非公認)をマークしたキプチョゲは「(厚底シューズは)公平でありスポーツは技術の進歩を取り入れるべきだ。規制を強化する必要はない」とコメントしている。
現在の世界陸連の規定では、長距離用シューズのソールの厚さには規定がないが「全ての人にとって合理的に利用可能でなければならず、ランナーに不当な優位性を与えてはいけない」と定めている。ヴェイパーフライは市場価格3万円前後と高価で、前述のルールに抵触するかなどが焦点となる。世界のトップランナーに愛用者が多く、禁止される時期によっては、東京五輪に向けて混乱が生じる可能性もある。
◆ナイキ厚底シューズと日本長距離界 18年2月、東京マラソンで厚底シューズを使用した設楽悠太(ホンダ)が16年ぶりに日本記録を更新。同年10月には大迫傑(ナイキ)が同じシューズでさらに記録を更新した。昨年9月の東京五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で代表に内定した男女4人のうち、3人が使用。MGCファイナルチャレンジでは井上大仁(MHPS)もナイキに履き替えて最後の1枠を狙う考えを示している。また、今年の箱根駅伝では使用率が80%を超え、10区間中7区間で区間新記録が誕生した》=スポニチアネックス=。
規制する理由について各紙が伝えているのは「公平性の確保」だ。一見妥当なように見えるが、そもそもトップアスリートとそれ以外ではメーカーのサポートに大きな違いがある。陸上に限らず、メダル候補などにはメーカーは特注で応じている。身体特性、骨格・筋肉の付き方、試合会場との相性、気候条件…。提供された試作品の中から、選手は最もぴったりくるものを選ぶのだ。一足3万円どころの話ではない。開発費を含めれば数百万から数千万円の世界だろう。世界陸連がこんなことを知らないはずがない。それをなぜ規制しようというのか。
ここからは邪推だが、他のメーカーを忖度したか、横やりが入ったか、その両方か。東京市場では「ナイキ規制」が報じられた16日、アシックス株が跳ね上がったという。長距離ランニングシューズの世界ではナイキが独走中。アシックスやアディダスなどは歯噛みをして悔しがっているはずだ。そのうえ東京五輪のマラソンでナイキを見せつけられることになると…。
どう決着するのか予想はつけにくいが、問題は厚さだけではないはずだ。五輪前の方向性を見出すのは難しく、調査継続となるのではなかろうか。いずれにしてもスポーツの世界も金次第であることは間違いない。
《陸上長距離で最近数シーズン、好記録を連発しているナイキ製の厚底シューズが世界陸連の新規則によって禁止されることになると15日、複数の英紙が一斉に報じた。世界だけでなく日本のトップ選手の使用率は高く、使用禁止となる時期によっては混乱は必至。東京五輪の男女マラソン、競歩の札幌移転問題で困惑した陸上長距離関係者にとって、また頭を悩ませる問題となる可能性もある。
東京五輪を前に、陸上長距離界に新たな問題が発生しそうだ。デーリー・テレグラフ紙(電子版)は世界陸連の専門家による委員会が検証し、底の厚さに制限を加える規則を設けることになったと報道。現在人気を集めているモデルはトップレベルでは使用が禁じられるとした。ナイキの厚底シューズは炭素繊維のプレートが埋め込まれており、高い反発力が売りになっている。
同紙によると、世界陸連はソールの厚さを制限する方向だといい、エリウド・キプチョゲ(ケニア)が履いていた試作品や大迫傑(ナイキ)ら多くの日本人トップ選手も履いている「ズームXヴェイパーフライネクスト%」が規制対象。「デーリー・メール」は昨秋から世界陸連が調査チームを立ち上げていたとし、今後数カ月のうちに報告されるという。またタイムズ紙(電子版)によると、世界陸連は既に出された記録については抹消などはしない見通しという。
19年10月に行われた非公認レースで人類初の2時間切りとなる1時間59分40秒(非公認)をマークしたキプチョゲは「(厚底シューズは)公平でありスポーツは技術の進歩を取り入れるべきだ。規制を強化する必要はない」とコメントしている。
現在の世界陸連の規定では、長距離用シューズのソールの厚さには規定がないが「全ての人にとって合理的に利用可能でなければならず、ランナーに不当な優位性を与えてはいけない」と定めている。ヴェイパーフライは市場価格3万円前後と高価で、前述のルールに抵触するかなどが焦点となる。世界のトップランナーに愛用者が多く、禁止される時期によっては、東京五輪に向けて混乱が生じる可能性もある。
◆ナイキ厚底シューズと日本長距離界 18年2月、東京マラソンで厚底シューズを使用した設楽悠太(ホンダ)が16年ぶりに日本記録を更新。同年10月には大迫傑(ナイキ)が同じシューズでさらに記録を更新した。昨年9月の東京五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で代表に内定した男女4人のうち、3人が使用。MGCファイナルチャレンジでは井上大仁(MHPS)もナイキに履き替えて最後の1枠を狙う考えを示している。また、今年の箱根駅伝では使用率が80%を超え、10区間中7区間で区間新記録が誕生した》=スポニチアネックス=。
規制する理由について各紙が伝えているのは「公平性の確保」だ。一見妥当なように見えるが、そもそもトップアスリートとそれ以外ではメーカーのサポートに大きな違いがある。陸上に限らず、メダル候補などにはメーカーは特注で応じている。身体特性、骨格・筋肉の付き方、試合会場との相性、気候条件…。提供された試作品の中から、選手は最もぴったりくるものを選ぶのだ。一足3万円どころの話ではない。開発費を含めれば数百万から数千万円の世界だろう。世界陸連がこんなことを知らないはずがない。それをなぜ規制しようというのか。
ここからは邪推だが、他のメーカーを忖度したか、横やりが入ったか、その両方か。東京市場では「ナイキ規制」が報じられた16日、アシックス株が跳ね上がったという。長距離ランニングシューズの世界ではナイキが独走中。アシックスやアディダスなどは歯噛みをして悔しがっているはずだ。そのうえ東京五輪のマラソンでナイキを見せつけられることになると…。
どう決着するのか予想はつけにくいが、問題は厚さだけではないはずだ。五輪前の方向性を見出すのは難しく、調査継続となるのではなかろうか。いずれにしてもスポーツの世界も金次第であることは間違いない。
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