蕾すら見えぬ間に消えものの芽や
オランダのチューリップ農家のおじさんは
病葉はすぐ抜くと云いけり
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軟らかくなった雪の間から大きな遊具やベンチが顔をのぞかせる。
旭川市内の誰もいない公園を歩くと、雪解けのしずくが落ちる音だけが耳に残った。
2年前の3月23日、この場所で中学2年の広瀬爽彩(さあや)さんが変わり果てた姿で見つかった。
行方不明になって1カ月余り、夜の冷え込みがまだ厳しい時季だった。
体が凍え、意識が薄れる中で何を思ったのだろう。
中学に入った直後から、いじめの標的となった。人間としての尊厳を奪う行為を強いられ、逃げ場もなく追い詰められていく。
何度も助けを求めたけれど、学校も教育委員会もいじめと自死を止められなかった。
昨年亡くなった精神科医の中井久夫さんも凄絶(せいぜつ)ないじめの被害者だった。
体験を踏まえた論考「いじめの政治学」によると、いじめは孤立化、無力化、透明化の3段階で進行する。
暴力や脅しで力をそがれた被害者はやがて透明な存在となり出口を失う。
広瀬さんが命を絶った公園は住宅街の一角にある。学校や行政庁舎もほど近い。待ちに待った春が来れば、子どもたちの歓声がこだますることだろう。
14歳の少女は地域社会でも見えない存在となっていたのか。
現場近くの献花台にはピンクのチューリップが手向けられていた。元気なら高校生になっていたはずだが、人生のつぼみが花開くことはなかった。
なぜ救えなかったのか。私たちに突き付けられた重い問い掛けだ。(北海道新聞卓上四季2023.3.22より)
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この問題は北海道で起きた事件でしたが、全国放送で特集を組むなどしていましたので、ご存じの方も多いと思います。
市教委の対応のまずさですっかりこじれてしまい、被害者は死と云う代償を払ってしましましたが、加害者たちにも大きな傷を残したと思います。
学校内のいじめについても加害者が分かった時点での対応がとっても大事になってくると思います。
広瀬さん事件は学校と教育委員会の対応のまずさから起きたことです。
咲かない蕾で終わらせてはならない。
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昨日は今年初めて何だか暑いなと思いましたが、気温はそれほど高くもなく9時頃10.5℃でした。
今日と明日は12℃の予報です。
その後はまたぐっと気温が下がり、一週間後に気温は戻りそうです。
これで今年の冬も終わりそうです。