土曜日の昼下がり、春の陽気につつまれたバルセロナのカンプノウスタジアムには活気があふれていました。
午後22時に行なわれるビルバオ戦へのチケットを求める長蛇の列。
スタジアムツアーへの入場を待つ観光客。メガストアにあるメッシのユニホームは飛ぶように売れていきます。
敷地内の道路に座り込み、太陽を浴びながらビールやワインを片手に、パンをかじる家族。
世界最高のフットボールを側に感じられる空気感は、もはや同じ街にあるガウディ建築よりも魅力的なのかもしれません。
スポーツ新聞を手にすれば、メッシ、イニエスタ、シャビ…めくってもめくっても青とエンジのユニホームが飛び込んできます。
最大のライバルであるレアルの試合が始まれば、バルのテレビには真剣な男たちの視線が降り注がれます。
フットボールが呼吸をしている街。
現在バルセロナの育成を統括するブッチ氏はこう言います。
30年以上前からクライフの哲学をもとに、バルサは種を巻きつづけているんだよ。
そして今、その教育をたっぷり受けたグアルディオラが花を咲かせているというわけです。
深夜のビルバオ戦には、恰幅のいい老人が一人でスタジアムに座っていました。愛するクラブと一緒に苦しい時も何十年と戦ってきたんだろうな。きっと。
継続は力なり。
世界最高のサッカーは、世界最高のサポーターに支えられているのです。
ロシアや中国がいくらお金を積んでも、魅力的なフットボールの空気は手に入らない。
そう確信します。