脱力日記

スポーツ、本、映画ときどき仕事。自分の身の回りにある、ふとしたことを書き留めたいと思います。気軽にコメント下さい。

用兵

2012-10-08 22:31:17 | 日記
わかりやすい采配とわかりにくい采配。

あなたはどちらが、いいですか?

少年期におけるスポーツの指導では、あまり答えを教えない方がいいと言われたりします。それは、正解を授けてしまうと子どもが考えなくなってしまうという理由があるから。

では大人に対して、わかりにくい采配をすると、どうなるか?
まぁだいたい、要らぬ軋轢の原因になってしまったりする。残念ながら。

昨夜に行われたバルサ対レアルのクラシコ。注目していたのは、新任監督ティト・ビラノバが、どのような選手を選択するか…でした。

監督側からするとクラシコには当然負けたくないから、選手の好き嫌いが出る。

しかし選手側からすると、絶対に出たい試合。もし、ベンチなら自分の立ち位置に不安を覚える。重要な試合に使ってもらえないのか?

選手から不平を出さずに、試合にも勝利できるか。

さて先発です。
ポイントは、左ラテラル気味にイニエスタを起用し、セスクを併用したこと。
そしてもう一つ、ピケ、プジョルを欠くセンターバックに、サイドバックであるアドリアーノを抜擢したこと。

試合は、バランス面で無理のあった布陣そのままに、出来の良いものではありませんでした。

MFが多過ぎる中盤はスペースを埋め合い窒息気味。不慣れなディフェンスラインは、やすやすとロナウドに突破されました。

ビラノバも会見で理由を語っていますが、この采配は、外す理由ありきのものだった、と私は見ます。

絶好調のセスクを先発させたため、あおりを受けたのはFWサンチェス。しかし、ここは順番の問題でしょう。セスクが後半に出るよりも、サンチェスが後から出た方が効果的。実際、後半開始早々に両者でメンバーチェンジが行われました。扱いは、ほぼ同列。

面白いのはセンターバック。
まずソング。外す理由は、アーセナルからの移籍直後で連携面が浅いから。そして、もうひとりのCB、バルトラを外す理由は若さによる経験不足でありました。

ビラノバは、ソングと比べアドリアーノのスピードを選んだ、ときっちり理由も語っています。まぁ選手が傷かないように熟考を重ねたんでありましょう。

きっと起用した理由を、彼は全て説明できる。

総合すると、本当に理想の上司だなぁという感想になります。選手時代には株組織出身ながら、バルサのトップチームに昇格できなかった。そんな苦い過去があるから、こんな優しい配慮が、できるのかも。

何の理由もなく、大きな仕事を外されたり、年齢だけで実力同等の若者にはじき出されたり…。社会に出ると理不尽なことは多々あります。

飲み込まなければいけない…でもやっぱり。

理由ある上司だからこそ、部下はハードワークができる、そしてそんな一体感が栄光へとつながっていくんでありましょう。

そんなことを思ったクラシコでありました。