夏の陣の戦場にて、十勇士達は戦いの最期を迎えます。
多勢に無勢。皆、一人に対して複数の敵を相手にします。
十勇士、一人一人の個性がその絶命場面に反映されています。
見ていると胸が締め付けられるようです。いつも涙で目をうるませて観ていました。
十勇士の一人、望月六郎の持っているアイテムは扇なのですが、舞う様にひらひらと扇を翻しながら戦場である舞台を駆け上がって行く姿が印象に残っています。
絶命する時も、扇をバッと開き「天晴れぇっ!!」と叫んで息絶えました。小柄で、いつも幸村の息子である大助の傍らに居て、若くてとかく熱くなりがちな大助を「若、若!」とよくたしなめていました。笑いを起す才能に溢れたキャラクターで、何となくお母さん的な雰囲気を持つ六郎が死んでしまった時は本当に寂しかったです。
その大助もまた、十勇士と共に戦場で戦って絶命します。父を深く敬愛していた大助は、父のため真田のため、一人の武士として刀を振るいます。その姿はせつな過ぎる程この最期に来て、男らしいのです。
真田大助役: 渡部 秀さん。父・幸村を侮辱する者は許しませんでした。この大助は大阪城の秀頼、淀とは運命を共にせず、戦って討ち死にしたのです。
由利鎌之助役: 松田賢二さん。武器である鎖鎌を切られ追い詰められ、敵の腰から刀を抜き取り絶叫しながら斬りこんで行きます。客席に背を向けた形で叫びますが、客席に届きます。その声に心が震えました。佐助と共に生きて来た鎌之助。物語の後半で実は非常にセンスある感性の持ち主と判明し、私はかなり感動。ヒントは佐助の名前。
息絶える直前に満面の笑顔を見せる者、「殿・・・」と幸村に思いをはせて息絶えた者。絶命した十勇士達にはスポットで照明が当たっています。
舞台のあちこちに十勇士が倒れています。
そこへ幸村がやって来ました。もはや動かぬ愛する者達を見渡し、足元の大助に近寄ります。
そっと大助の顔に手を伸ばすと、まぶたを閉じてやりました。自分と同じ様に「父と真田の誇り」のために戦い、目を開いたまま絶命していた我が子の頭を優しくなでました。
幸村が泣いている様に見えました。客席も静まり返っています。
すると、
「おい、いたぞーっ!!!」
と敵兵の声が。足軽兵がわらわらとやって来ます。
戦い散って行った十勇士の骸の中に立ち、幸村公の壮絶な戦いが幕を開けました。
束になってかかって来る敵を、幸村は一人で相手にします。舞台を駆け上がり、相手の槍を奪い振り回し、矢が飛んで来ても戦う事をやめません。
この舞台・真田十勇士のテーマ曲である、中島みゆきさんの唄がここで流れます。
駆け上がって来た敵の一人を槍で刺し、じりじりと降りて行きます。周囲から他の兵が近づこうとすると「寄るな!!」と幸村が叫びました。刺されたままの敵兵は断末魔の様な叫び声をずっとあげ続けています。敵兵達は恐れをなして近寄れません。
しかしながら、たった一人の幸村。斬りこまれます。
血が吹き出すのが見えるようでした。そんな後ろに大きな月が昇り来るんです。中島みゆきさんの唄が、戦う運命しか生きられなかった者達の狂おしい想いを伝えるようでした。
斬っても斬っても、フラフラと立ち上がる幸村に敵兵達も恐怖を覚えながら「い、行けっ!行けっ!」などと声を震わせ言い合います。
よろめき、血の流れ出る口元をぬぐう幸村公。揺れる視線の先に何を見ているのか。幸村のそんな姿に私は涙が溢れそうになるのです。
最後には無残に槍で四方八方から刺されます。それでもなお、立ち上がろうとし、膝から崩れ落ちて幸村は死にました。真っ赤な甲冑に身を包んだ幸村は、血にまみれ倒れている様に見えました。敵兵達はヘトヘトに疲れています。
しかし、そんな激しいシーンだったのに関わらず、後ろの月に照らされて温かい「愛」を私は感じました。それは、幸村と十勇士を結んでいた物なのかもしれません。
十勇士にあたっていたスポットが幸村の絶命と同時に、赤い色に変わっていました。
幸村にも赤い色のスポットがあたっています。
主君の死を待ち、彼らは揃って天に昇ってしまいました。
家康が、幸村安居神社で討ち死にと半蔵から知らされます。
幸村の手によって、何度もその命を危険にさらされた家康公。真田幸村と言う武将を賞賛する言葉が家康から発せられます。
そして、大阪城落城の知らせが届くのでした。
つづく。
多勢に無勢。皆、一人に対して複数の敵を相手にします。
十勇士、一人一人の個性がその絶命場面に反映されています。
見ていると胸が締め付けられるようです。いつも涙で目をうるませて観ていました。
十勇士の一人、望月六郎の持っているアイテムは扇なのですが、舞う様にひらひらと扇を翻しながら戦場である舞台を駆け上がって行く姿が印象に残っています。
絶命する時も、扇をバッと開き「天晴れぇっ!!」と叫んで息絶えました。小柄で、いつも幸村の息子である大助の傍らに居て、若くてとかく熱くなりがちな大助を「若、若!」とよくたしなめていました。笑いを起す才能に溢れたキャラクターで、何となくお母さん的な雰囲気を持つ六郎が死んでしまった時は本当に寂しかったです。
その大助もまた、十勇士と共に戦場で戦って絶命します。父を深く敬愛していた大助は、父のため真田のため、一人の武士として刀を振るいます。その姿はせつな過ぎる程この最期に来て、男らしいのです。
真田大助役: 渡部 秀さん。父・幸村を侮辱する者は許しませんでした。この大助は大阪城の秀頼、淀とは運命を共にせず、戦って討ち死にしたのです。
由利鎌之助役: 松田賢二さん。武器である鎖鎌を切られ追い詰められ、敵の腰から刀を抜き取り絶叫しながら斬りこんで行きます。客席に背を向けた形で叫びますが、客席に届きます。その声に心が震えました。佐助と共に生きて来た鎌之助。物語の後半で実は非常にセンスある感性の持ち主と判明し、私はかなり感動。ヒントは佐助の名前。
息絶える直前に満面の笑顔を見せる者、「殿・・・」と幸村に思いをはせて息絶えた者。絶命した十勇士達にはスポットで照明が当たっています。
舞台のあちこちに十勇士が倒れています。
そこへ幸村がやって来ました。もはや動かぬ愛する者達を見渡し、足元の大助に近寄ります。
そっと大助の顔に手を伸ばすと、まぶたを閉じてやりました。自分と同じ様に「父と真田の誇り」のために戦い、目を開いたまま絶命していた我が子の頭を優しくなでました。
幸村が泣いている様に見えました。客席も静まり返っています。
すると、
「おい、いたぞーっ!!!」
と敵兵の声が。足軽兵がわらわらとやって来ます。
戦い散って行った十勇士の骸の中に立ち、幸村公の壮絶な戦いが幕を開けました。
束になってかかって来る敵を、幸村は一人で相手にします。舞台を駆け上がり、相手の槍を奪い振り回し、矢が飛んで来ても戦う事をやめません。
この舞台・真田十勇士のテーマ曲である、中島みゆきさんの唄がここで流れます。
駆け上がって来た敵の一人を槍で刺し、じりじりと降りて行きます。周囲から他の兵が近づこうとすると「寄るな!!」と幸村が叫びました。刺されたままの敵兵は断末魔の様な叫び声をずっとあげ続けています。敵兵達は恐れをなして近寄れません。
しかしながら、たった一人の幸村。斬りこまれます。
血が吹き出すのが見えるようでした。そんな後ろに大きな月が昇り来るんです。中島みゆきさんの唄が、戦う運命しか生きられなかった者達の狂おしい想いを伝えるようでした。
斬っても斬っても、フラフラと立ち上がる幸村に敵兵達も恐怖を覚えながら「い、行けっ!行けっ!」などと声を震わせ言い合います。
よろめき、血の流れ出る口元をぬぐう幸村公。揺れる視線の先に何を見ているのか。幸村のそんな姿に私は涙が溢れそうになるのです。
最後には無残に槍で四方八方から刺されます。それでもなお、立ち上がろうとし、膝から崩れ落ちて幸村は死にました。真っ赤な甲冑に身を包んだ幸村は、血にまみれ倒れている様に見えました。敵兵達はヘトヘトに疲れています。
しかし、そんな激しいシーンだったのに関わらず、後ろの月に照らされて温かい「愛」を私は感じました。それは、幸村と十勇士を結んでいた物なのかもしれません。
十勇士にあたっていたスポットが幸村の絶命と同時に、赤い色に変わっていました。
幸村にも赤い色のスポットがあたっています。
主君の死を待ち、彼らは揃って天に昇ってしまいました。
家康が、幸村安居神社で討ち死にと半蔵から知らされます。
幸村の手によって、何度もその命を危険にさらされた家康公。真田幸村と言う武将を賞賛する言葉が家康から発せられます。
そして、大阪城落城の知らせが届くのでした。
つづく。