紫陽花記

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別館★写真と俳句「めいちゃところ」

「とある日のこと」この世の春

2022-11-27 08:22:28 | 「とある日のこと」2022年度

今記事の題名に「この世の春」としてみました。
今、○○歳になってから知った感覚を表してみました。


身体障害者の長男と健康体の次男を授かって、人生路の坂道をエッサコラサと歩いてきた過去。
長男は30歳と7カ月で亡くなりました。様々な体調不良と戦いながらも、明るくて優しい子でした。
次男はそのような兄をサポートしてくれましたし、吾等夫婦は喧嘩はしましたが、どちらかと言えば仲良しだったような気がします。

長男の病院通いやリハビリや学校や施設やらと、仕事を持ちながら駆け巡った毎日。
波乱万丈とでも言うのでしょうか?
苦しさと悲しさと辛さと、緊張感のあった30年余。
★(長男の一生を記録した本「太陽の子守歌」)★

どなたかの質問に、
「障害を持った子を授かったことをどのように思ったのか?」と。
「う~ん、そうねぇ。どちらかと言えば面白かったかな? 手を叩いて面白いということではなく、エキサイティングな毎日という意味でね」
と答えると、その方は、意外だという顔をしましたね。

長男が亡くなり、仕事を辞め、次男夫婦の3人の孫の子育てを数年手助けをした後の今。
社交ダンスを楽しみ、庭の花や樹木の世話をし、写真を撮り、それに駄句を付ける。
そんな日々を送っている。

与えられた定めを何とかやり遂げた気がします。
この世は修行の場と考えながら必死に生きて来た。
ここからは、余生のご褒美と言えるのかもしれません。
欲張らないで、今の平穏な日々に感謝しましょう。


下は、11月20日のダンスパーティーで踊った。写真です。
A氏とワルツ


K氏とタンゴ

おぼつかない私を指導してくださった先生方。
関わりを持ってくださった皆様に感謝です。
ありがとうございました。

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「とある日のこと」「エル・チョクロ」

2022-11-20 05:10:36 | 「とある日のこと」2022年度


今日は遠出をします。電車でも、車でも2時間の距離です。
年2回ほどしか行かないダンスホールでのパーティーに参加するのです。
デモるのですよ。
戸田恵子さんの歌う「エル・チョクロ」というタンゴ曲です。

御年○○歳のワタシ。31歳のK 氏の指導を受けていました。
年数ばかりたくさん踊っていたワタシですが、基礎はいい加減でしたので、ちょっとばかりか、うんと苦労しました。
身長差が30cm・・・・・アンバランスですから、リードする方も、それに従うワタシも・・・・・
でもまぁ、何とか食いついていって、そして、1分50秒ほどを必死に踊ることになります。

この曲のために費やした時間は少なかったです。
あと、3回くらいのレッスン時間を踊りこみしたかったですねぇ。
仕上がり65%くらいでしょうか?

K先生は滅多には褒めません。
涼し気なお顔で、ここはこうして・・・とか言って、踊って見せます。
それを忠実に? それに近づける努力をして踊ります。
「あれっ? 若くなったみたい」なんていう褒め言葉を頂けたときは、短い言葉でも嬉しいものでした。

はてさて、今日のパーティーはいかがなものになるでしょう?
ワタシの番は最後の方らしいのですが・・・・・

戸田恵子さんの日本語の歌詞に、「酔いどれ夢に翼はやして」なんていうところがあります。
曲に似合った衣装を買い込みました。そして、挑みます。



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「とある日のこと」ピンヒール

2022-11-13 09:30:37 | 「とある日のこと」2022年度




我が地域はゆったりとした半田舎の雰囲気です。
この先少子化が続いて、人口減の加速が想像されます。
先日も、10坪ほどの貸家が8軒ほど並んだ敷地に重機が入ってました。
いつの間にか、住人は居なくなり貸家が次々と取り壊されています。
周りの同じような敷地だったところは貸し駐車場になっています。
今度は何になるのでしょうね?
ゆったりの地域を楽しんでいるワタシでも、ふと寂しさを感じてしまいました。

同じような元宅地に草がぼうぼう・・・
地主さんは管理しなければならないですよね。
そのうち野草の花も刈られてしまうのでしょう。

名も知らない野草に露霜が降りて、朝日にキラッっと光っていました。
早出の出勤者かしら? ヒール姿の女性とすれ違いました。

ピンヒールを履く女性は珍しいですね。
今どきはラフなスタイルで歩いている人が大半です。
ワタシなどは、ウォーキングシューズを履くことが多いです。
駅の階段でズッコケたら大変。
足をくじいたら困るわ。
などなど、言い訳ではないが、残性を痛いや苦しいやなどから逃れたいですもの。



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(16)港町ぶらり

2022-11-06 08:21:33 | 江南文学56号(華の三重唱)16作


「船で行くわよ」
 計画係の徳子が、シーバスに乗船すると言って先を行く。
「引き潮だから船までのスロープ、傾斜がきつくなっているね」
「まぁだ独りで大丈夫よ。歳は同じでしょ」
 依子は、孝江の出した手を払った。
 横浜駅東口乗船場からシーバスに乗る。ぷかり桟橋乗船場と、ピア赤レンガ乗船場に寄りながら、山下公園乗船場までのコース。
 沿岸のマンション群が秋の陽に光っている。
 陸路より眺めが良く時間も早い。
 山下公園から元町へ。全体で七百メートルほどの商店街通りは石畳。大きなポットの花の寄せ植えが、間隔よく置かれていた。
 路地裏通りから坂道を登る。外人墓地を見ながら『ブリキのおもちゃ博物館』へ。
 港の見える丘公園で一休み。ベイブリッジや港内の船が白い。倉庫群が手前に横たわる。
 フランス山を通る。『母子像』があった。
「アメリカの戦闘機にやられて死んだ、母と娘二人なんですって」
「あら、あっちにも?」
「あれは、彼氏が彼女を抱いているのよ」
 ブロンズ像の奥のベンチに若い二人。
「時の流れを感じるわね」
「遠近両用眼鏡をやっぱり買わなくちゃ」
「核武装なんて話は無しにして欲しいわ」
 山下公園に戻り『赤い靴はいてた女の子像』を見る。直行便のシーバスに乗って、横浜東口の横浜ベイクォーターへ。
 人気料理家・栗原はるみ考案メニュー提供のレストラン、『ゆとりの空間』は満席。三十分待った。素朴な食材だが、温かくおしゃれで美味。依子は呟いた。
「ぜいたくねぇ、綺麗な水も飲めない子がいるっていうのにね」



江南文学56号掲載済「華の三重唱」シリーズ
初老の孝江と依子と徳子のプチ旅物語でした。
楽しんでいただけたでしょうか?
このシリーズは今回で終わります。
お読みいただきありがとうございました。



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