紫陽花記

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別館★写真と俳句「めいちゃところ」

★18 ひよさんの復活

2023-08-26 05:44:31 | 「とある日のこと」2023年度


「わぁ~、きゃ~・・・・・・ひよさぁ~ん、お久しぶりです。お元気そうでなによりです。またよろしくお願いいたします。若竹のごと、しなやかに楽しく過ごしましょうね」
こんなメッセージをひよさんのブログに記入しました。思いもよらない嬉しさです。

 ひよさんと一度だけお会いしました。二人だけのオフ会とでもいうのかしら? 何年前だったか? とあるお寺様の花祭の境内だった。約束の時間より早くお寺様に行き、一通り見た後で、そう広くない境内を、ひよさんの姿を探しました。ブログ上のやり取りだけでの約束でしたが、自分で抱くイメージに合った男性を探しました。居ました。細身のダンディーな男性が、立派なカメラを持っていました。たぶん、この人に違いないと確信して声を掛けました。

「太郎ママさんですね」男性の方も見当をつけていたらしい。二つの県を跨いで来たひよさんを、さざえ堂へご案内しました。一方通行の堂内。たくさんの仏様が飾ってあります。順路通りに手を合わせ、お顔を拝見しながら巡ります。大きな丸窓から八重桜が見えます。4月18日。10日遅れの花祭でした。

ひよさんのブログは写真と俳句。大手町周辺の会社の役員を経験したというひよさんは、文章も小気味よく、写真も俳句も、駆け出しの稚拙な私の作品には良いお手本となっていました。

けれど、お身体が時々故障していたようでした。今回も昨年の11月から約8カ月、更新が途絶えていました。体調はどうなったのかしら? と、時々思いながら、今朝もひよさんのブログを訪問したのでした。

ブログの更新はここで止まっています。無理をせずゆっくりと、気ままに更新してくださいね、ひよさん。



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★17 私の終焉

2023-08-19 05:45:42 | 「とある日のこと」2023年度

 
どうにもこうにも苦しくて目が覚めた。

長年患っている不整脈。心不全を起こしかけたのは息子が亡くなってから一年後。隣のベッドの鼾で眠れなくなってから三日後だった。

 30cmほど離れている夫のベッドを短い私の足が蹴ると、「うっ」と言って鼾が止まった。そのような攻防を繰り返していたのだが、ついに私の心臓が悲鳴を上げた。隣の座敷に布団を敷き、寝床を移したが、胸が苦しくて重ねた布団に上体を伏せて眠った。

 不整脈と診断されてから、内服薬は三度変更して現在の薬に落ち着いた。効き目は変わってきているのだろうか? 年々気温の高くなっている日本列島。ここのところの暑さが、不整脈を引き起こさせたのだろうか。

 ふと、自分の終焉が近づいているのかもしれないなどと頭を横切る。死にたいから、自分では死ねないから、などと事件を起こしたニュースがあったばかりだ。家族間の事件も多い。みな、どう過ごそうとも、いずれは自分の番になるのに、慌てることではないよね。そんなことを思いながら、苦しい胸をさすり、起き上がっては、水分補給をし、トイレに行ったりした。そういえば、心不全になりかかった時、頻尿になって、トイレと二階の座敷の寝床を何度も往復した。

 しばらくの間苦しさに眠れないでいた。3日後のダンスのレッスンは休もう。不整脈だとは言いにくい。暑さで体調を崩しました。とでも言おうか。

 いつの間にか眠っていた。目覚めたときは、不整脈は治まっていた。それでもレッスンは休みたいと思っている。エアコンの効いたサロンで、夫の淹れた熱い珈琲を飲んでいるうちに、気が変わり、3日後に着るダンスウエァーはどれにしようかなどと、思い始めていた。私の終焉は遠のいたのだろうか?



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★16 姉さん被り

2023-08-12 06:31:02 | 「とある日のこと」2023年度


私の早朝散歩のコースは家を基準にあちらこちらに向かっている。大抵は折り返さずにぐるりと回って家に戻るコース。この朝は、堤防の獣道を上った。日の出の写真を撮ったりしながら、しばらくその場に留まる。何といっても日の出を見るのが好きだ。毎回同じような風景でも、どこか違う。この朝は、雲が厚く、太陽が千切れて、滲んで、それでも、雲間の朱色が時たまカッと照り付ける。ひと時、太陽と向き合い、幸せ感を頂く。

「さて、どっちへ行こうかしら」一つ目の坂を下って大きな農家さんの花園へ向かう。 
 花園は農道と大きなお屋敷の間の柘植の生垣に沿ってある。奥行3m×15mほど。いつも季節の花が咲いている。どなたもいない早朝、じっくりと眺めて撮らせて頂くのだ。

 高齢の姉さん被りが熊手を使って、柘植の生垣の剪定した枝葉や、花壇の雑草を抜いたものを一か所に集めていた。声をかけると優しい笑顔をこちらに向けた。枝葉や雑草は花壇の隅に重ねて置き、一年すると良い堆肥になり、野菜の植え付時、土にすき込むと良い肥料になると言った。農道を挟んで、県道に沿った600坪ほどの畑がある。
「こちらの畑はお宅様のですか?」と私が聞くと、
「そうなの。草を生やして、汚くしていてもと思って、少しずつ野菜を植えているのですよ。畑は売っても安いから。切り売りはしませんよ。売るのなら一括してでないと」
畑は何種類もの野菜を少しずつ植えてあり、少人数の家族用に見えた。

 近年、子供と一緒に暮らしたくない。親と一緒に暮らしたくない。お互い自由に干渉せずに暮らしましょうという世相。大きなお屋敷で立派な家でも、老いた夫婦二人やまた一人暮らしなどが多いと聞く。この姉さん被りのお家もそうなのだろうか?




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★15 あなたにだけは

2023-08-05 06:53:01 | 「とある日のこと」2023年度


「あなたにだけは知っていて欲しいと思って」と、ダン友のK子さんから電話があった。常日頃、週一通っているカーブスでの体力検査では、実年齢より12歳も若いと言われていると、自慢していたK子さん。声の張は今までと変わらなく、いつもの噂話などだろうと思いながら電話に出た。

K子さんの電話での内容は、思いがけないことであった。
「先日の夜、背中と脇腹が痛みだして、我慢できない程だったの。息子に救急車を呼んでもらって、県北のM病院へ行ったのよ。そのまま検査入院するとなって、調べてもらったの。すい臓ガンだって。どういうことかは分からないけど、手術は出来ないから、薬で治療すると言われた。カラオケは大丈夫ですって。ダンスは、う~ん、体調みながら踊っても良さそうなの。でね、あちらこちらのホールの予約を全部キャンセルしたわ」
私は、何とも言いようが無かった。とにかく、体調を崩さないようにと念を押した。

私の周りにもがん患者は数人いる。乳ガンで乳房の全摘手術をした人、同じ乳ガンでも部分的な手術をした人。どの人も、手術前後の薬物治療は必須のようで、その副作用に悩まされ続けている人が大半。ある人は、自分のガンは種類としたなら悪い方で、3年くらいした後で再発しやすいと言われている。仕方ないので、再発したなら、また頑張って治療するわ。と、覚悟を決めている人もいる。

私は幸いとして、老化現象に戸惑いながらも、毎日を平穏に暮らせている。もし自分がガン患者となったなら、どうするか? 今のところ、誰にも漏らさずに痛み止めの投薬を手に入れて過ごすかもしれない。良い人生だったと思えるようにしたいものだ。



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