紫陽花記

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別館★写真と俳句「めいちゃところ」

★64 大雨の降った日

2024-11-23 07:46:54 | 「と・ある日のこと」2024年度


 給湯機器の修理を頼んでいた。その日は息子の嫁は出掛ける予定で、我が夫はゴルフの予定。息子たちは勤めや学校の予定。残ったのは私1人。一日中雨予報。朝から強めの雨だ。

給湯機器は、風呂や台所や洗面所などの水回り全般を担っている。一日たりとも湯が出ないと困る。湯の出ることが当たり前になっている有難い現代。それだけに、不具合は直ぐにでも直したいものだ。

午前9時少し過ぎにガス屋のミニボックスカーが停まり、30代半ばの高身長の初顔の男性が出張して来た。
「時間が掛かると思います。先にお家の中の電源の状態を見てから、外の給湯機器の方を見させていただきます」と、言う。玄関から台所の電源へ案内するが、初めて入った他家の間取りに戸惑った様子で私の案内に従った。電源の点検をして、風呂場の湯船への湯の張り具合を見、外の給湯機器の点検をする。

時間が掛かると言っていたが、強めの雨の中、雨除けのシートを張って、それだけでは足りず、ビニール傘を給湯機器の上に広げている。粗方の部品を交換するとか。いつもなら茶菓子を10時ごろに出すのだが、雨の中では休めないだろうと思い出さずにいた。

 正午ごろ、「まだ時間が掛かるので、午後からやらせていただきます」と、昼の休憩になった。終わったのは午後2時半ごろ。改めて台所の電源と風呂場を点検するという。
 玄関から若者が入り、戸惑う様子もなく、電源の場所へ行き、風呂場へもスムーズに移動していく。私は一瞬、怖さを感じた。1人しかいない時間に、初顔の若者が家の中をスムーズに移動している。決して、ガス会社の社員を恐れたのではないが、近頃頻繁に起きている、押し込み強盗のニュースを思い出してしまった。
 複数在宅の日に今度はお願いしよう。



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★63 令和米騒動

2024-11-17 05:58:21 | 「と・ある日のこと」2024年度


「えっとね、半俵(玄米30kg)14000円になったのよ」 
 いつも購入している農家のT氏が、ちょっとすまなそうな顔で答えた。
「えっ? 五割増額ってことね?」
 予想はしていたが、令和6年の米の収穫少し前に起きた米騒動が、一気に昨年の五割増の値段となってしまった。

今年米の収穫目前にして、小売業者の店頭から米が消えてしまった。少し麦製品などで融通を聞かせていたなら、間もなく新米が並ぶはずだったのに。マスコミの報道は、消費者に危機感を与えるような報道だったような気がする。もう少し我慢していれば新米が並ぶのに。きっと、これ幸いとして米の値段が引き上げられると思っていたが、やはり。それにしても、米農家の米価格の安さが、米作りを止める農家を多くしている。主食の米位は、国内で賄える収穫量にするべき政策が必要だろうと思う。

 振り返ってみれば、半俵12000円という時代もあったし、昨年は、半俵8000円であった。それにしても、店頭で購入するよりは安価でT氏家の美味しい米を食べられるのだから、有難いというべきなのかもしれない。

 米騒動の話から、現在独り暮らしをしているT氏の、愚痴ともいえる悩み事を聞かされた。以前の作品にも書いたことだが、家屋敷と田畑の行く末の心配。自分亡き後、家を継ぐ者がいなければ、屋敷は草ぼうぼうとなり、田畑も芳原化してしまうだろうと、想像するだけで辛くなるようだ。

「息子さん2人が良いように解決してくれると思うわ。もし、誰も継ぐ人が居なければ、私が貰ってあげるから。安心して」と、私が言うと、T氏は「アハハハハァ~」と、笑ってズッコケてしまった。



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★62 油断禁物

2024-11-11 17:17:33 | 「と・ある日のこと」2024年度

 
強盗団に入られたニュースがあった。闇サイトと言われた事件で、どうして狙われる対象になったのか? 互いに知らない者同士の強盗団が手荒い侵入方法で入ってくる。最近では「闇サイト」ではなく、「ホワイト○○」とのバイトがあるとか。そのようなことに興味を持った人は、よくよく考えて、人生を踏み外さないようにしてほしい。

 友人が長年金利の安い銀行に定期を積んでいたそうな。台所のリホーム代金にするため解約したが、銀行の店長が出てきて、チラシを見せて、「オレオレ詐欺」の忠告をしてくれたそうだ。そして、「この地区も狙われているのですよ。現金でお持ち帰りですけど、十分気を付けてくださいね」と言ったそうだ。

 我が家の固定電話にも、最近、「緊急ヘリ」の投資の誘いの電話があった。
「災害時や、病人とか乗せる緊急用のヘリがありますよね。災害時には、間に合わないほど要請があるそうです。そこで、民間の緊急ヘリの会社をつくるのですが、投資しませんか」と、言う。電話に出た私の一番の苦手なお金の話。使うのは大好きだが、貯めるのは苦手。そのような私が出た電話口のやり取りは、纏まらないのは当たり前の結果である。

 化粧品とか家屋のリホームとか、屋根の張替えや外壁の塗装とか、リサイクル品買い取りとか、様々な電話が来る。決まって金の絡まる話である。

それに私の場合、私の著書の名前を使って、新聞に公告を出さないかとの電話があったこともある。どこで私の本を知ったのか不明だが、心地よい言葉と、数人が入れ替わっての誘いであった。自分は大丈夫と思っていたのに、とても危うい話であった。

怖い話の渦巻いている世の中、自分をも含め、どなたも被害に遭いませんように。



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★61 人工股関節

2024-11-11 17:17:19 | 「と・ある日のこと」2024年度



 更衣室に常連客のTさんが入ってきた。もうレッスンが終わったみたいだ。少し赤らんだ顔を崩しながら、「あなた、どこも痛いところないのでしょ?」と、私に聞いてから、「わたしはね、左の股関節の手術をしたばかりなの。して良かったわ、痛みは全くなくて、動きも変わりはないし。でもね、今度は右が痛いのよ。また人工股関節に取り換えようと思って。二週間の入院は必要なんだけどね」と、続けた。Tさんは、様々な種目のダンスに挑戦している熱心な人だ。

人工股関節の手術をした知人は意外と多い。一人は、あるサークルの友。股関節そのものの病気で、両股関節の手術をしたと言っていた。歩く時の違和感は、そういえば、少し違うかもしれない。と、思う程度だった。もう一人は、やはりダンスを踊る背が高く競技を続けていたという女性。人工股関節に変えても、傍から見ただけでは違和感がないようだが、バックステップの時、以前より滑らかに踏み出せないと言っていた。それでも、頻度は落ちたが、踊りたいので時々ホールに遊びに来ていると言っていた。

 すごいなぁ、思うばかりだ。医学は何処まで進歩するのだろう? 一昔前には、歩くことが出来なくなる症状だっただろうに。

 Tさんは、着ている赤いラテンドレスの裾を翻してホールへ戻った。

 私は、お陰様で筋肉痛は時々あるが、数日で治る。仕事していた現役時代は腰痛に悩まされていたが。毎日が休日となった現在は、今のところ痛いところは、歯の治療と循環器科への定期通院をする程度。本当の健康体とは言い難いが、踊るには困らないでいる。

 ずいぶんと自分に甘くなった今、もう、無理の利かない年齢とも言える。細く長く、痛みのない毎日を重ねたいものだ。


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