隣家の改装が始まった。築25年ほどの二階建て。我が庭に面した部分で、壁を剥がしているらしい音や、床部分の取り除くらしい音は、容赦ない激しさで聞こえてくる。どうやら、風呂場の改装らしい。これはあくまでも想像でしかないが、多分違わないだろうと思う。
ご主人が現役引退したのかもしれない。これも定かではない想像の域である。引退を機に家の改装や改築は知り合いでも多い。みな、「持って逝けないから、使うのだ」と言う。
「持っては逝けないもの。葬式代だけ遺して置けばいいと思って」と、ダン友も言う。せっせとレッスンを重ね、スタンダードもラテンも、何でも踊れる人が多い。私もその一人ではあるが、体力が追い付かない悔しさがある。
「あと5センチ足が長かったら、あと10歳若かったら」などと、ラテンに今夢中になっているダン友のセリフ。「足が10センチ長くなって、年齢があと5歳若かったら、フニュフニュ」と、のたまったのは私。言うだけでどうにもならない今更ながらの愚痴。
どうにもならない人生を、ある意味、半ば諦めたように言葉にしても、どうにもならないモノを受け入れているのが大概の人だろうと思う。その中でも、少しでも楽しく、少しでも自分の気のすむように、日々を暮らしたいという努力はみな重ねているようにも思う。
それにしても、人生の時間は、コクコクと刻み、誕生から終焉まで、たくさんの楽しみと苦しみを頂いて、あとはすんなりと最後を迎えられたら最高だろうと思う。
持って逝けないものは、すべてなのよね。あらゆることをすべて置いて逝かなければならない。何という潔さ。何という身軽さ。
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「と・ある日のこと」をお送りします。
日々の暮らしの中から、ちょっと心に引っかかった事を綴っています。
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