ちょっと待って!

見たこと聞いたこと、すんなり納得できません。あ、それ、ちょっと待って。ヘンじゃありません?  ヘンです。

秋。熱帯夜

2017-11-09 23:46:08 | 旅行
会席料理。テーブルに一人用コンロが出ているとうんざりする。
 情けないほど少量材料の水炊きやすき焼き風で、美味しいのに出会ったことがない。板前さんの手抜き料理だ。あれを喜んで食べている人がいるのだろうか? 20年ほど前、伊豆山の保養所で、美味しい会席料理を出していた。会社を辞めても3度は行った。3度めに、あの一人コンロが現れた。料理全部が不味くなった。つまらなくて、行くのをやめた。
 
  恵那峡グランドホテルへ行った。
 一人コンロが大きな顔してテーブルに乗っていた。大きく切った肉3切れと、束ねた糸こんにゃくとマイタケの汁煮。水炊きかと思ったらすき鍋ということだった。薄味で。十日前、前歯が割れて治療中なので、なんにも前歯で噛めなかった。こんな大きな肉やこんにゃくは無論噛み切れない。ナイフとフォークもないしお箸では切れない。トシヨリにこんな料理を出すなんて、不親切な板前だ。
 でも刺身は小さかった。普通市販している刺身の1/3ぐらいに切ったのが4種類。少ない皿を、空になるとばたばたと忙しく下げに来てうっとうしい。なんにも食べた気がしなかった。
 前の日、鳥羽で泊まってビールを注文したら小瓶が840円もしたのでここでは飲み物を頼まなかった。安物の食堂でも一番にお茶を持ってくるのが普通なのに、おばさん従業員は全然知らん顔。おにいさんに、「お茶を急須一杯」とお願いした。ネットの「口コミ」に、「料理が少ない」と書いてあった。トシヨリはそんなに食べない方がいいからと思っていたけど、ほんとに料理は少なくて、お茶だけ飲んだような食事だった。
 食事前に、「部屋の暖房がきついなあ」と思っていたが、夕食後部屋へ戻ると九月の温かさ。暖房を消そうと思ったが、コントローラーがない。フロントに電話をしたいのに、なんと電話機もない。こんなホテルは初めてだ。夜9時になると8月の暑さ。私は布団を足元に畳んで、シーツだけで寝た。ショーは夜中に起きて、「熱帯夜か」と言った。30度ぐらいか……  窓を開けられるだけ開けた。10時に客室の暖房を消したら、電気料金はいまの半分になるだろう。廊下の電灯は明る過ぎるのに、トイレの電球は暗い。トイレの電気点けっぱなしの客が多いのかなあ。
 お風呂からの景色は綺麗だった。露天風呂は鳥羽と違って広くて、私一人だった。4分ほどしてまた一人入ってきた。鳥羽のホテルの小さな露天風呂のことを話してあげた。「3畳ぐらいのお風呂に、15人ぐらい入ってはりました。おばあさんばっかり」「団体さんでしょうねえ。あっはっは」入れなかったけど、人に話せば想像して面白いから、また誰かに話そう。

 
 朝は「和食」と頼んでいたが、テーブルについて、並べられたものを見てガッカリ。またもや一人コンロに小さなお豆腐一切れとおネギ少々が浮いたお鍋だ。なんや? 貧乏ったらしいスキヤキ。小さい切り身の焼き魚。不味そうな漬物4種類。漬物の仲間に必ずシバヅケが入っているけど、美味しいものではない。狭山のトンカツ屋に、美味しいお漬物を出す店がある。トンカツ屋だよ。ホテルがこんなお漬物を出すなんて、ハズカシイ。
見ただけで食欲減退や。思わず言った。「こんなん要らん……」 隣のテーブルの人が笑っていた。
 洋食を頼んでいたショーが席を代ってくれたけど、こちらも美味しそうではない。目玉焼きがメインで、それが私の嫌いな生焼き。箸で触るとドロッと流れて、「液体人間」という映画を思い出した。全く味がついていない。食べられない。パンにつけて食べろと言うことか? 目玉の焼き加減ぐらい、「どうしましょう?」と聞いて貰いたいものだ。見渡したところ、六人ほどしかいないのだから。
 食堂の窓から良い景色が見えていたけど、前夜と同じ、窓から遠い席だった。鳥羽のホテルといい、なんで、朝も晩も同じ席に決めるんだろう? なんのために決めるのか、全く判らない。景色なんかどうでもいい人もいるだろうに。チェックインの時、「食事のテーブルは窓際がいいですか? まんなかのお席がいいですか?」と聞いても損はないはずだ。不親切なホテル。
 
 アンケート用紙に書きたかったのに、用紙がない。ここはアンケートも取らないから、改善することないのだと納得した。が、フロントで支払いを済ませてひょいと見ると、「アンケートを入れる箱」が置いてあった。なんや。用紙あるんねんやん。トシヨリだから、アンケートなんか書けないだろうと思われたのか? 


雨も降って、良い旅ではなかった。

部屋のうらおもて

2014-12-16 19:37:29 | 旅行

----ナビの意地の続き----

11月10日

 ばたばた……つけ睫毛の音ではなく……して出て来たから、ネコ(野良猫)にご飯を置いといてやらなかった。燕と入れ違いに現れた痩せて穢い猫だったけど、今はよく肥えてきれいになった。白に黒と茶色の牛柄で、人間に話しかけて貰ったことがないのか、人間語をほとんど解さないネコだ。

 飼っているのではないからなんの心配も要らないが、毎夕方表へ出ると何処からか現れて、じっと私を見ている不安そうな顔を思い出す。

 ナビの予定到着時間は18時20分になった。雨の夜の高速道路というのは景色も見えず、追いかけられている夢のような恐怖感と焦燥感がある。ともあれCDもラジオも聞かず三ケ日まで無事に来た。あとは拗ねているナビ任せで、浜名湖畔のホテルに着いた。25、6歳の男性従業員が出迎えてくれた。

「確認の電話もらわなかったので、道、間違えました」

 と、真っ先に言ってやった。「申し訳ございません」と、口先だけで言って頭を下げたから、まあ気が済んだ。荷物をフロントまで運んでくれただけで、従業員は消えてしまった。ショーは車を移動させているので、私がチェックインした。フロント係は女性で、プリントの管内地図で「こちらがお部屋、此処がエレヴェーター、此処がお風呂、お食事はこちらで和食をご用意させて頂きました。朝食は大浴場の反対側の食堂です」と説明し、さて、この後がビックリだった。フロント女性はニコニコ笑顔で言った。

「こちらのお部屋からはお風呂も食堂もかなり遠いですので、もう1200円割り増しのお部屋になされば、お風呂も食堂も近いですが……」

 えー?   ベッド、ウォッシュレット、露天風呂、景色、行き帰りも泊らなければならないので高くない処と、あちこち比較検討して決めたのに、2400円も割り増しはひどい。こんなこと言うホテルは初めてだ。よほどお客が少ないのだろう。どうしようかなあと思っていたらショータンが来た。

「割り増しの部屋、言うてはんねんけど…」

「お取りしてますお部屋は、別の棟になっておりますので、お風呂も食堂も遠いんです」

 とフロントは特別のニコニコ顔でまた勧めた。

「ええやン。お風呂に近い部屋にして貰おう」

 ショーはあっさり肯いた。8万円も私から取ったもんナ。

 「ではこちらのお部屋に。621号室でございます。エレベーターは、あの柱の後ろ側になっております」

 従業員は見当たらなくて、誰もカバンを持って部屋までは案内してくれなかった。

 浴衣はロッカーではなく、大きな鏡の前の整理タンシの抽斗に用意してあった。サイズは思った通り『大』と『中』だけだった。慌てて出て来たから、腰紐を持って来るのを忘れたのだ。ホテルによっては『小』の無い処がある。ショーは『大』を広げて着て、「長い」と言った。

「ほんならこっちがあんた」

 と『中』を渡して、フロントに電話し、「浴衣の『小』ありますか?」と訊いた。いつも『大』で間に合うショーが「長い」と言うのだから、背の高い人ばかりが来るホテルなのかも知れない。私は年々背が低くなるから、そういう時のために、紐もパジャマも持って来ることにしている。

「はい。すぐにお持ち致します」とフロントの女性は答えて、割り増し料金の部屋を薦めた従業員が2分も掛からずに持って来た。