ちょっと待って!

見たこと聞いたこと、すんなり納得できません。あ、それ、ちょっと待って。ヘンじゃありません?  ヘンです。

言うたらんと解れへんでぇ

2006-11-25 23:39:30 | Weblog

テレビの特別番組は「いじめについて」のテーマが多い。
「我慢しなさい」
「自分も苛めに遭っていた。でも今は幸せに暮らしている」
「親に相談しなさい。学校なんか無理に行かなくてもいいのです」
 こんなアドヴァイスが多い。
 どうしてそう弱いのだろう。身に降りかかる火の粉は自分で払わなければいけない。卑劣イジメ族はバカだから善悪の判断が出来ないのだ。大阪では「言うたらんとわかれへん」という言葉がある。
 我慢なんかしなくていい。知恵を絞って抵抗すべきだ。やられたらやり返す。でなければテキをのさばらして自滅してしまう。自滅だけなら仕方ないけど、弱い仲間を増やしてしまう。
 産んで愛して育ててくれている親のことも考えよう。

 やり返せ嘲り返せ俯くな
   泣くな逃げるな死ぬな戦え






私の読書術

2006-11-13 00:56:14 | Weblog
 家の中のあちこちに文庫本を置いている。
 こたつテーブルの上に俳句歳時記。坐っている椅子の横に松本清張の『不安な演奏』、階下のトイレにエラリー・クインの『悪魔の報復』。どちらも20何年も前に買った。『不安な演奏』は、連れ込みホテルに盗聴器を仕掛けたら殺人計画みたいな会話が入っていたことからヒマな素人探偵が事件を探す話。たいして面白くはないけど、「それから?」と思うところもあって、毎日数ページ読んでいる。
 『悪魔の報復』は、一度読んだ筈だけどきれいに忘れていて、面白く読んでいる。クイーンは文章が面白い。先月はキャサリン・ネヴィルの『デジタルの秘法』とタム・ホスキンスの『診療室』とD・マーティンの『嘘、そして沈黙』を読んだ。『嘘-----』を読んでよかったァと思ったあと『デジタル----』を読んだらもっと上だった。コンピューターのセキュリティ・システムをいじって、金融経済の達人をライバルに10億ドル盗む話。スリルとラヴとsexシーンもあって申し分ない。
 
 ベッドの枕元にジェフ・アボットの『図書館の死体』と吉行淳之介の『怪談のすすめ』が置いてある。大体2時半ごろベッドへ行くのであまり読み進まないのだが、『図書館----』の方は面白くないから尚のこと終わらない。『怪談のすすめ』は、幽霊やお化けが出る怪談ではなくて、HK怪しい話。
2階のトイレにはギリシャ神話下巻がある。読んでいて、(それから?)という箇所に差し掛かったら、何処へでも持って行って暫し読みふける。とにかく、寸暇を惜しんで読んでいる。
 朝日新聞の『メタボラ』はずっと読んでいる。夕刊の『悪人』は、時々読む。どっちも暗い暗い暗い、どうしようもない話だ。アメリカの作家と日本の作家との違い。日本人はやっぱり幸せにはなれないようだ。


人間のちがい

2006-11-06 12:28:40 | Weblog
 関西テレビ、文化庁芸術祭参加作品『泣きながら生きて』、良かった。粗末な推理ドラマやくだらないクイズ番組ばっかりで、テレビ局というのはバカ人間増やす努力しているんだと思っていたけど、このドラマを流そうというようなちゃんとしたアタマの人もいるんだ。
 
 日本の大学で勉強するため、奥さんと娘さんを中国に残して単身来日した男性の話だが、貧乏な中国人に日本は、働くところも無い北海道の過疎村のプレハブ住宅をあてがう。しかも、学費は中国では一年働いても得られない30万円という高額。借金返済のため、敢えて不法滞在者となって、男性は東京で働く。無論、賃金の安い底辺の仕事しかない。それでも粗衣粗食に耐え、国への仕送りを続けながら頑張る。そして16年。
 ニューヨークの大学へ入る娘が日本へ寄り、父娘は僅かな間会い、また別れる。電車を降りてホームに立つ父親に、泣いている娘は電車が動き出す寸前だけちょっと顔を上げて手を振る。これが自然だから泣ける。日本ドラマではこういう演出は絶対にない。
 娘はニューヨークの大学に入って医者を目指して勉強。やがてインターンに。ニューヨークの娘を訪ねる母親は、日本経由の飛行機で、娘と同じように男性に会に来る。空港まで送れない男性はホームで、また別れ別れになる妻を泣きながらじっと見つめる。夫を見ないのか、いつ見るのかとはらはらさせて、妻は一度も顔を上げない。電車は発車。動いて初めてちょっと手を上げる。電車がホームを離れてから人目を憚らず泣く。娘より別れる悲しみが深いことがよくわかる。
 娘が一人前になって、ようやく男性は故国へ帰る決心をする。
 飛行機の中で、辛い思い出しかなかったろう日本に向かって、男性は手を合わせる。いつまでも……
 この男性の優しさ立派さに泣けた。思い出しても涙が出る。

 今日、教育テレビで「いじめについて」の討論があった。日本人の心の貧しさに、暗澹たる思いである。