ちょっと待って!

見たこと聞いたこと、すんなり納得できません。あ、それ、ちょっと待って。ヘンじゃありません?  ヘンです。

忘れてサンタになりました

2017-12-28 00:43:31 | Weblog
 今日は、少し遠くの大きな食品スーパーへ行った。
 お正月用のお節馳料理の材料やお菓子を沢山買った。ショーは、好きなドーナツと、好きなコロッケ四個入りパックを2つ、籠に入れた。
 もう一軒別のスーパーへ寄って、1時間後に帰宅した。お仏壇に供えるお菓子を揃えていたら、ドーナツが無い。
「ドーナツ、買うたねえ」「うん」「「ないよ」「買うたけどなあ」「うちは、レジ袋に入れた覚えはない。あんた、入れた?」
 考えて、「入れてへん」
「台の上に忘れて来てんわ。次に来た人が、しゅっと持って行ったわ。まあ、ドーナツ二つぐらい、ええけど」
「そう言うたら、レジの子、コロッケまだ温いから…いうて、ドーナツと一緒に別の小さい袋に入れてくれたんや」
「そのまま、忘れて来てんね」
 コロッケ8個とドーナツ2個では、ちょっと惜しい。遠くても取りに行くつもりで、ショーは、スーパーへ電話を掛けた。
「探してみます、て…」
 少しして、電話がかえってきた。「やっぱり、無いて」
「それだけが袋に入って台の上に置いてたら、見つけた人は喜んで持って行くわ」
 服や靴ならともかく、買ったばかりらしい食べ物ならそのまんま自分の袋に入れても誰もなにも言わないだろう。
「貧乏な人やったら、喜んではるわ」
 お金を払ったのは私だけど、サンタになったのはショーかなあ。
 

 

お抱え運転手

2017-12-13 20:00:09 | Weblog
 一つ二つのものを買いにスーパーへ行くと、ショーがあれやこれやを籠に入れる。三日前にウナギを買った。その前の日に紅鮭四切れ入りのパックを買った。
 この日、マグロのトロがあったから、それも買った。筑前煮を作って欲しと言うから、子芋、蓮根、厚揚げ、竹輪、こんにゃくなども買った。
 予定のおかずは八宝菜だった。冷凍庫がいっぱいだから、豚肉を片付けなければならないし、大きい白菜があるので八宝菜と決めていた。
 でも、まずトロから食べなければならないので、面倒な八宝菜はやめて、玉水だけにした。前の日に作った青唐辛子のきんぴらがある。海苔も出した。美味しいお漬物もある。ご飯は二人とも小さいいお茶碗に軽く一杯しか食べないから、トロが三切残った。「食べてしまい」とショーは言う。「おかずは残してはいけません」と言われて育ったのだ。
 お父さんは株屋でかみしも(上下)の女中さんが3人と庭仕事の男衆が一人いて、大きな邸宅に住んでいた。大きな畑もあって、お母さんやお兄さんは畑を作っていた。戦時中も戦後も食べ物に不自由のない家だった。戦災にも遇わなかった。私の生家は家伝薬(九州黒田の)製造販売で、戦災で丸焼けになったから戦後は勿論ヒドイ食糧難だった。闇市で手に入れた食料は、一度に食べずに何日かのおかずにした。「残したら勿体ない」ではなくて、「一度に食べてはモッタイナイ」だった。
 一舟1000円もするトロの刺身を残ったからといって「食べてしまう」わけにはいかない。次の日のお昼のおかずにした。ショーは、鮭の焼いたのと海苔と味噌汁とお漬物。まだトウガラシのキンピラもある。
 夜は、厚揚げや竹輪が急ぐから八宝菜ではなく、筑前煮。「鮭も焼いて……」とショーは言った。ごった煮なのに、まだ魚も要るカ?
「あ。ウナギ食べんならんわ」
「うん。ほな、アゲと子芋とこんにゃくだけでええワ」
 鰻丼に、そんなけもおかず、要る? 

 パンと牛乳が切れるから…と、スーパーへ行った。ショーはホーレンソウと菊菜を2把ずつ籠に入れた。「いっぺんに買うたら、半分傷む」といつも言っているのに、ショーはーは必ず2把づつ買いたがる。
「朝も晩も食べたらええねんや」
 野菜、高いのに。ショーは、食品、調味料、厚生費、灯油、など買ったことがない。ショーの肌着や靴下も、私が買っている。私は、服は大方手製。本はbook off で、纏め買い。化粧品も自家製。一人だったら、生活費は半分だろうなあ。十日に一度タクシーで買い出しに行っても……



 
 

気になる人たち

2017-12-09 01:23:58 | Weblog
 「あのおでんはひどかった」とショーは言った。
「お前が炊いたんやったら、テーブルひっくり返してるとこや。タダでも要らんのに、600円も……。日本一、不味いおでんやった」
「外へ食べに行ったことない人やろなあ。お母さんがそんなん作って、それ食べて育ちはったん違う?」
「きつねうどんも、ダシなしやったら、食われへんで」
「うどんのダシは、袋に入った粉末売ってるから、あれ使こたら食べられるやん」
「そんなん使うこと知ってるんやったら、カントダキ(大阪では、オデンとは言わない)も、それで味つけたらええやないか」
「そやな。カレーうどん、なんでダシで緩めてないのんかと思うた。袋に入った即席カレーをお湯で温めてかけただけみたいやったけど、まあ、あれで正解やってんね」
「一回食べた人は二度と来んやろ。一元さんだけでようやって行けるなあ。こんにゃくもイモも、筑前煮みたいに小さかったしな。600円はヒドイ。モスバーガーも高いけど、食べられるだけ上等や」
「気の毒やねえ」
「お客さんが、か?」
「誰も、教えてあげる人がないこと」
「商売するねんやったら、勉強せなあかんやろ」
「あれでええと信じてはったら、勉強する必要ないやん」
 そこらの店で売っているのより美味しい私の炊いた関東炊き、持って行ってあげたい。でも、怒るだろうなあ。材料は何処で買って来るのか、売りに来る人があるのか知らないけど、キツネうどんは40円で出来ること、だから350円で売っても採算は取れて、お客さんは満足するし、かやくうどん、肉うどん、天婦羅うどん、汁が飲めるカレーうどん、月見うどんなどメニューも増やせる。丼ものも出来る。普通の『食べられるもの』を拵えて安く売ったら、また来る人もあるだろうに。口コミで大勢来ると思う。あの人たち(今考えたら、母娘だったようだ)のことが気になって、手紙を書いて教えてあげたいと毎日思っている。どうしてあの場所で商売することになったのか、どんな暮らしをして来た人なのか、そんなことも訊いてみたい。自分が拵えたものを食べた人から「おいしかった」と言って貰うのはどんなにうれしいか、知って欲しい。

 ほんとに気になる。


はじめてのアジ

2017-12-05 23:59:20 | Weblog
ショーの病院巡りに付いていくので、半日潰れます。30日はM医療センター。4日は循環器センター。循環器科は、1週間前に採血してもらった結果を聞きに行っただけです。東西南北、走り回って、お決まりの薬漬けです。薬が無かったら明日にでも死んでしまうような信者です。私は運転しませんから、助手席に座って居眠ったり喋ったり写真撮ったりしているだけですが、共倒れでない限り、連絡係りにはなるでしょう。
 朝出て、4、5時間後に帰って、それから洗濯したり、片付けごとをしたり、ご飯拵え、食事とばたばたしていますので、夜、テレビの映画なんか観ていますと眠くなって、パソコンはパスです。
 で、根来寺の小さな店に入った続きが遅くなりました。

 15分ぐらい待って、若い方の人が、丸い丼鉢一つを小さいお盆に乗せて、ドアの無い入り口から入って来た。ショーの前に置いたのを見ると、八分目まで汁が入っていて、おでんの具らしいものがいくつか沈んでいる。こんにゃくは一丁を3等分して斜めに切って厚みを半分にしてある。小さなジャガイモとごぼう天と、ちくわが半分。厚揚げとか串に挿した筋肉などは無い。お盆の端に、チューブの芥子がコロンと置いてある。湯気は立っているけど、関東炊きのいい匂いはしていない。
「こんな汁いっぱいで、どないして芥子つけんねん?」
「あはは。汁の中へ入れるのかなあ」
 ショーは、丼鉢の縁3所に、芥子を絞りだして付けた。「あー。落ちた」
「やっぱり、汁の中へ入れて食べるねんナ」
 女の人はもう一つ、お盆に丼鉢を乗せて来た。
「お待たせしました。カレーうどんです」
「お皿、一つください」
「ああ。はいはい。お皿ですネ」
 お皿が来た。
 私は、カレーうどんをお箸でつついて、へええと言った。茹でたうどんの上に、カレーライスに掛けるどろりとしたカレーがそのままで掛けてあった。
「うどんのおつゆでカレー伸ばすのにな」
 何処の店でも、「ウチのやり方」というのはあるが、汁たぷたぷのおでんも、汁け全然なしのうどんも始めて見た。循環器センターのビーフカレーは、カレーがしゃぶしゃぶで、固い肉が3個入っていて、一口食べて思わず「アマーッ」と叫び、急いで配膳カウンターへ持って行って塩を振り、ソースをかけてからでないと食べられなかった。
 ネゴロのカレーうどんは、多分フクロごとお湯で温めたカレーらしく、味はまぁまぁだったが、妙なものには違いなかった。
「美味しい?」とショーに訊いたら、「なんにも味がない」と呟やいた。
「ダシぜんぜん入ってへん」
 え? うわ。ダシなしの関東炊きなんか、あるのん? 
 この店のことをショーがもう一度話したのは、2日経ってからだった。