無駄わずらい

　桃のお節句というのに寒い。真冬と同じコートを着て大阪へ行った。ショーが2月17日から入院している。糖尿病の食事療法の勉強に。７階が東（女）西（男）ともに糖尿病棟だという。男性の方が多いのだと思っていた。ところが西病棟の１部屋に女性が４人いた。　　　　　東棟からはみ出しているらしい。４人部屋で、ショーが入院した時と名札が変わっていない。ワイドな窓があって明るいのに、４人ともベッドのカーテンを閉めている。手芸もしない、本も読まない、編み物もしない、お喋りもしない、いつ前を通ってもひっそりと静かだ。鬱陶しい。家にいてもなにもしない人ばかりなのだろうか？
甘いものむしゃむしゃ食べるか、毎日お酒飲んでぐずぐず言っていたか、なんだろう。糖尿の果ては筋肉へろへろで寝たきりになる。アタマが悪いのに違いない。
　今日はショーの洗濯物を取りに行ったのだ。病院に洗濯機と乾燥機があるのに自分では全然せず、かばんの中のものは全部汚れ物だった。洗ったものを出して、汚れたものをリュックに詰めた。
「なんにも用事ないねんから、ここで洗濯したらええのに」
「そんなことせえへん」
　怠け者だ。家でも買い物に行くとき運転する以外は自分のお医者さんへ行くだけで、なんにもしない。庭に水遣りをしたこともない。玄関掃いたことも1度もない。
「テレビカード、もう６枚も買うた」
　粗末な食事をするために高い入院費を払って、つまらないテレビを見るために半月で6,000円も使うなんてバカなはなし。
ショーの嫂さんは30年も糖尿病をした挙句車椅子生活になり、最後は薬の飲みすぎで亡くなった。63歳だった。
「うちはタクシー代が高こうつくわ」
　


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「無駄」という題名にしたつもりなのに、「タイトルを書いてください・必須」と赤字で出た。
「無駄」はカテゴリーになっていた。違うって。