ちょっと待って!

見たこと聞いたこと、すんなり納得できません。あ、それ、ちょっと待って。ヘンじゃありません?  ヘンです。

でんわ

2009-12-29 23:10:43 | Weblog
 電話がかかって来ました。
「はい」
「アンソクさんのお宅ですか?」
「は?」
「アンソクさんのお宅ですか?」
「(ヘンな苗字。聞いたことないわ)違います」
「すいません」
 切って、3分と経たない間に、またtorurururu・・・・。
「はい」
 わたし、自分の姓は名乗りません。向こうはこちらの姓を知っていてかけて来るのです。こちらは向こうを知りませんから、かけて来た方が先に名乗るべきです。「アンソクさんですか?」
 いま、「違います」と言ったばっかりなのに。知っててわざと掛けて来ているのでしょう。
「はい」
「カズさんという方、おられますか」
「どちらさんですか?」
「ケイサツのもんです」
「けいさつのもんというお名前ですか?」
「いいえ。オオタといいます」
「オオタ、なにさんですか?」
「オオタケンジです」
「ケンジさん。カズはいませんけど」
「こちらにいらっしゃるんです」
「ほう!? それで?」
「いま、事故を起されて…」
「へええ。どんな事故ですか?」
「乗用車に当てたんです」
「へえええ。カズが?」
「はい」
「カズって、男の子ですか?」
「はい」
「幾つですか?」
「24です」
「はあ。うちのカズは女の子で、まだ11歳なんですけど…」

 うちの息子は、電話してくると、第一声で必ず名乗ります。
「もしもし。ミッチーです」って。
 

喪中葉書

2009-12-17 23:39:16 | Weblog
 このところ毎日のように”喪中葉書”が来る。
 年賀状を書こうと思っているところへ「喪中につき…」は、鼻先にストップの標識を突きつけられたようで正直、愉快ではない。
 葉書を出している人とは長年の付き合いがあるが、亡くなった人は全然知らないのだ。そちらが喪中でも、こちらには関係がない。
「○○が○月に逝去しました。当方喪中につき、年始のご挨拶は控えさせて頂きます」
 なら良いけど、「ご挨拶ご遠慮申し上げます」は失礼ではないだろうか?
 「こちらは大事な身内が死んだのだから、オメデトウなんて言うと承知しないよッ」と目を三角にして言われているようだ。
 それも亡くなって49日の間ならまあ仕方ない。「1月に…」「3月に…」なんてなん百日も前のことなら言うなって。お葬式にも行かなかった、ご香典もあげなかった、としゅんとする。といって、こう知らせて来たからには知らん顔もしにくい。「ご仏前に」と現金封筒で改めて送金でもしなければいけないような気になる。
 まあ、私の場合、わざわざそんなことはしないけど、あと何日かすっきりしない。「存知あげなくて失礼致しました」「とても残念です」「こころよりお悔やみ申し上げます」などと葉書を書くのも面倒だ。
 とにかく、喪中葉書なんて、出さなくていいと思う。

従姉の事情

2009-12-04 00:26:52 | 健康・くすり
 耳の遠い従姉から電話が掛かって来た。
「お薬、送って。練薬と液体と。わたし、脳梗塞でひっくり返っててん。7月に。進一が丁度来てくれて、すぐに救急車呼んでくれたから助かってん。3週間、入ってた。タエちゃんもおんなし病気でこの春に入院したけど、時間が経ってたから助かりはしたけど歩けんようになってしもて、今、車椅子に乗ってるわ。わたしも歩かれへんかってんで。あんたの家伝薬一生懸命に付けて、家の中は歩けるようになった。やっぱりあんたの家伝薬はよう効くわ。もっと付けるから、五個ずつ送って欲しいねん。雅三がアホやからまた女に入れあげて、金カネばっかり言うて飯代一銭も入れんと取って行くから腹が立って、バアッと血圧が上がってん。お医者さんが診断書に、『脳梗塞の原因は、息子』と書いてはる。ほんまにアイツはアホや。病院の支払いするのにな、仏壇の抽斗に30万円しもたあってん。いつお金が要ることあるか判れへんと思て。進一に、退院の時そのお金持って来て言うたのに、無いようになっててん。留守の間に雅三が取って使うてしもたんや。悪いやつや。病院の支払いは、進一が立て替えてくれた。あの子は親孝行や。毎日来てくれて、掃除や洗濯やご飯拵えしてくれる。あの子はガンやのに、ようしてくれる。うん。お医者さんの薬飲んだら耳鳴りがするねん。ガーガードンドンジージー、喧しい喧しい。人の言うこと聞こえへんねん。補聴器買うたけど、あかん」
「耳鳴りは、酵素油Aを耳の下と前後に塗ったら治るって言うたやろ」
「耳に薬入れてもダメ。お医者さんに言うてもあかん」
「耳鳴りを止めるお医者さんはないって」
「うん。お医者さん3軒行ったけど、みな『仕様無いです』言わはった」
「そやから、酵素油Aを耳の下に塗らなあかんて昨年言うたやん」
「薬、耳に入れてもあかん」
「入れるんと違う。耳の下に塗るだけ」
「塗ってもあかん」
「知也ちゃんとこ、酵素油A無いやろ。送った覚えないもん」
「ふーん」
「持ってないやろ?」
「孫はあれ好きやから、ちょっと指ケガしても虫に刺されても塗ってる」
「送ったことない」
「頭に薬付けても耳鳴りは止まれへん。髪の毛は黒いけど…」
 従姉は大正十五年生まれだ。
「35年前に頭のてっぺんに材木が落ちて来て薬で治したけど、時々ズクズク痛いなるからそのたんびに薬塗ってるやろ。すれで髪の毛も黒いしボケもせえへんけど、耳鳴りはあかん」
 聞こえにくいところへ耳鳴りがしているのでは、こっちの言うことが聞こえる筈がない。一人で喋っている。
「進一ちゃんも、うちの薬飲んでる方がええよ」
「わたし、飲むのんきらいや」
「進一ちゃんや」
「ああ。進一か。ガンはきれいに取ってもうた」
「ガンはまた再発するから」
「胃、全部取ったのに、一遍に仰山食べて苦しがってる」
「ちょっとずつ、4回か5回に食べんとあかんわ。うちの薬、飲んでた方が安心や」
「ふーん」
「孫、何時に帰ってくるのん?」
「え?」
「ユーちゃんは、何時ごろ帰って来るのん?」
「え? ああ。ユーちゃんか。もう帰る」
 と言っている向こうの方で、「ただいま」と声がした。
「ユーちゃんに、電話代わって」
「ユーちゃん。親類のおばちゃんが、電話に出て、って」
 聞こえてる。
「はい。こんにちは」
「ユーちゃん。そこにな、酵素油Aいうのんある?」
「白い油ですか?」
「瓶は白で、色なしのさらさらした液体」
「ああ。瓶、あります。酵素油Aと書いてます。中身はちょっとです」
「そう。ほな、それも送ります。それから進一のおっちゃんに、黒い薬飲んだほうがええと親類のおばちゃんが言うてた』と言うといて」
「はい」
「ほな、そんなけ。あんたもがんばってください」
 三人も息子がいて、みんな頼りない。一番親孝行の長男に先に死なれたらどうするのだろう。三男の雅三が離婚して、その息子を2歳から知也子が育てた。しっかりしているらしいが、今年やっと中学生になったばかりだ。