たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

ガソリンから地球がみえる? 元売りによる価格操作の記事を見て

2016-12-18 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

161218 ガソリンから地球がみえる? 元売りによる価格操作の記事を見て

 

今朝はゆっくり目覚め、枯れ草を野焼きして、NHKの囲碁番組を見て一休み。やはり伊田八段は強い。といっても勝敗が分からない中、中押し勝ちなので、まったく読めていないけど強いというのがなんとなく分かる気がします。

 

さて、今朝の毎日は、いくつか気になる記事があり、迷ってしまいました。一つはビキニ環礁付近での水爆実験で被爆されたにもかかわらず、国や世間から見捨てられた多くの漁業者・家族・遺族を訪問して聞き取りを続ける元教師を追う記事。国が認識し(あるいは認め)なければ、被爆した被害自体、否定されてしまう、それは社会主義国のロシアや中国、あるいは途上国にだけある問題でないことは、いつも気になります。他方で誰にも顧みられない中で、ここでも丹念に事実を追求する一人の気高い意思を感じさせてくれます。これはもう少し落ち着いた気持ちで将来書いてみたいと思います。

 

もう一つは、和歌山県の紀ノ川中流にあるかつらぎ町中飯降(なかいぶり)で、縄文後期(約4000年前)の大型竪穴建物跡が見つかったという記事です。しかも「建物跡は直径約15メートルのほぼ円形(約180平方メートル)で、縄文時代としては西日本最大規模」で、それが4棟も発見されたというのです。場所は京奈和道路付近ですから、紀ノ川北岸のかなり高い位置です。もう少し東側には条里制の跡も残っていますし、弥生時代の跡もありますが、このような縄文時代の大型建築物が見つかるとは、またロマンが広がりそうです。紀ノ川の歴史探訪は、残念ながらあまり熱心にされてこなかったように思うのです。その上流の吉野川も神武東征の伝説的な話をのぞけば、天武・持統時代にようやく𠮷野宮などとして、突然のように現れたように感じています。その紀ノ川の橋本市隅田にある隅田神社には神功皇后から下賜されたという隅田神社人物画像鏡の伝承がありますが、意外と縄文期から紀ノ川流域にはそれなりの歴史があったと思われるのです。その端緒となる発見ではないかと期待しています。これも別の機会に譲ります。

 

で、タイトルのガソリンですが、いまの私にとっても身近な存在です。都会に住んでいると、車を持たない生活で十分満足できますし、持っていてもあまり車に乗ることもなく、ガソリンスタンドもガソリンもあまり意識に上らない対象でした。しかし、田舎に住むと、車なしでは生活が困難な意識にさせられ(そう勝手に思っている面もありますが)、日常的にガソリンスタンドのガソリン価格を気にしながら、どこで給油しようかと、考えることが少なくないのです。和歌山市まで紀ノ川沿いを走る場合でも、どこが安いかといたことも気にしながら、当初、ガソリンスタンドを見ていました。

 

だいたい、なぜガソリンスタンドで、値段が違うのか、場合によってはリッター当たり10円ないし20円近く違うこともあるのですが、不思議に思っていました。わが国では、ガソリン価格は、一応、ガラス張りのように、都道府県単位での平均的な販売価格は、石油情報センターが発表しているので、平均的な価格は分かるようになっています。

 

で、ガソリンスタンドの多くは、石油元売りの系列化にあるので(最近は比率が下がっているのでしょうか)、元売り大手と特約店との間で価格決定され、それがおおむね系列店では同一かなと思うのが普通かもしれませんが、資本主義社会の常として、競争力のある特約店に対しては、その要請が尊重され、値引き幅もその意見が反映されることは予想されます。

 

今回、経産省の発表では、「今秋、実施した調査に回答した石油元売り大手5社系列約680の給油所のうち、半数を超える51%の給油所がガソリンの納入後に値引きを受けていた。値引き額は1リットル当たり3円未満の給油所が31%▽3円以上5円未満が15%▽5円以上10円未満は4%▽10円以上は1%--だった。一方、49%の給油所は値引きを受けられず、元売りの決めた卸価格を受け入れていた。」とのこと。「2014年後半ごろから元売りの卸価格の設定が割高になった。割高な価格は、競争の激しい地域を中心に値引きをするための原資になっている。」とのこと。

 この調査結果によれば、競争の激しくない地域(地方でしょうか)では、割高なガソリン価格が元売りの意向で決められ、消費者は買わされている反面、競争の激しい地域では、割高な分を原資にして、値引きして安い価格で購入できるようになっているということで、元売りの価格操作が不公正に行われている疑いがあるということでしょうか。

 

ガソリン価格の廉価販売については、公取委が平成2112月に、「ガソリン等の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」と題する指針を発表していますが、今回の記事は、価格操作という別の問題です。

 

たしかに元売り業者の対応には問題がありそうです。ただ、元売り業者も、原油安の長期化(最近のOPECの生産制限で局面が変わるかも)と、低燃費車の普及などでガソリン需要は低迷など、種々の要因で、昨年は在庫評価損が巨額となり、赤字に転落する会社もあり、統合の動きが活発ですね。かれらも価格競争力や市場支配力が問われているのでしょう。

 

そんな中、オバマ政権がせっかく温暖化対策を推進するパリ協定に合意したのに、トランプ氏はそれを破棄し、エネルギー政策をブッシュ時代に逆戻りする舵を切ろうとしています。しかもエクソンのCEOを国務長官に据える予定で、ロシアとの化石資源のエネルギー開発を推進する動きが見えてきました。

 

エクソンは、適切な油汚染体制を欠いたまま、バルディーズ港で座礁してアラスカ一帯を油汚濁で野生生物を含む多くの被害を与え、当時、世界最大の制裁的損害賠償の責任を負わされましたが、まるでトランプ氏のように、不死鳥のように蘇り、エクソンモービルとして、スーパーメジャーと呼ばれる世界6大石油会社の一つとして、世界経済の一画を築いています。

 

そのような企業のトップがアメリカ政治を動かすのですから、驚きです。といってもアメリカの経済・政治・軍は一体的に活動してきたり、その反動があったりと思いますが、今回の政権のスタッフの顔ぶれを見ると、軍人出身が多く、化石燃料の抑制など環境規制に反対していた人をEPAの長官にするなど、化石資源の開発ラッシュが始まりそうな予感です。

 

それでガソリン価格が安定したり、低廉化するのはいいかもしれませんが、地球の気候変動への影響を考えたとき、それでいいのか、トランプ氏の体制ではそんなことは問題ではないということのようですので、余計心配です。