本タイトル: 眼の誕生 カンブリア紀大進化のなぞを解く
コメント:
乱暴に説明すると、5億4千年前に起きた爆発的な進化、カンブリア紀の大爆発がなぜ起きたか、その仮説を説き起こす本です。
この本で上げられている仮説は聞けば納得のいくわかりやすいものなのですが、逆に当たり前すぎてその仮説の価値を理解してもらうのはとても難しいものだと言えます。
実際に門外漢の私が結論だけを聞いたら、それがどうしたのといいそうな内容です。
著者のアンドリュー・パーカーは、仮説の価値、というか本質的な意味を示すために、周辺領域や進化に関する基本的な知識から説明し、最後にカンブリア紀大爆発の原因仮説にたどり着くという流れを構成しました。
この本は一気に読むと、それまでに説明された事柄がひとつにつながり、結論に向けた論理的なネットワークが読者の頭の中に構成されるつくりなのですが、逆にぽちぽちと読んでいると話がいろいろなところに展開されるため、逆に理解が難しくなる可能性も持っています。
私は物書きが本業ではありませんが、わけのわからないことを素人な人たちに説明しなければならない機会があります。
そのようなときの話の作り方、論の立て方という点で参考になる本でした。
ただ、この本には二つばかり問題があります。
ひとつは、この本のつくりが一気に読んでもらわなければ効果が出ない構成となっているにもかかわらず、一気に読むのは結構苦痛であること。
二つ目は日本語題名がストレートに結論を示しているように見えること。
そのような点でも参考になる本でした。
なお、このページは feedpath.jp のテンプレート機能を使って、ためしに書いてみました。
評価:
評価者: bewise
評価日付: 2006-07-16
カテゴリー: 教養書
著者: アンドリュー・パーカー (渡辺政隆、今西康子訳)
出版年月日: 2006年3月3日
出版社: 株式会社草思社
ISBN: 4-7942-1478-2
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