当ブログは韓国ドラマ感想日記のつもりなので反則なんですけど、
観てきましたよ~。
「黄金を抱いて翔べ」
私は原作ファンなので、すべてをわかった上での映画鑑賞でした。
そんなわけで、ふつうに観に行かれた方とは、
受け止め方がちょっと違うかもしれないです。
だって「話は面白い」の大前提で観てるからなー。
浪速の町に集まった6人の男たち。
狙うは大銀行の地下に眠る、金塊だ。
総額4億円の夢の塊を盗み出す。
準備は万端、仕上げをご覧じろと行きたいところだが、
周囲から横やりが入っては、血が流れる。
男たちは黄金を抱いて翔び立つことができるのか?!
ってな犯罪小説が原作の映画なんですけれども、
面白かったです。
以下、ネタバレありの感想を書きますので、未見の方は気をつけてください。
筋立ては全部わかったうえで観ていた私の第一の感想は、
「よく2時間に全部詰め込んだな~。すごいなー」でした。
いろいろな要素が多少のはしょりはあるものの、ほぼすべて描かれており、
小説ファンとしても、これなら満足なんじゃないでしょうか?
たまにまったく別物になってたり、換骨奪胎みたいな映画もありますからね。
セリフもほぼ原作通り。
読んだ覚えのあるセリフがばんばん出てきます。
野田が出身地を問われ、「この顔、よう見てや。僕は神戸」などというあたり、
大阪チックで好きなシーンだったのですが、映像で観られてうれしかったです。
「モモに何かあったら、俺も生きてはいけない」という幸田のセリフはなかったですけど。
残念。
原作通りに忠実に撮れば面白くなる、というものじゃないので、
それがよかった、というわけではないのですが、
雰囲気や物語を大事にしてしかも面白く撮ってもらったというのがよかったかな、と。
登場人物たちも、それぞれハマってました。
小説の中の彼らが生きて動いているのを観られて嬉しいなぁという感じですね。
この黄金強奪計画の首謀者である北川。
犯罪者の顔と、妻子をかわいがる父親の顔。
ふたつを使い分けているというのではなく、本当に無理なくこの人の中では
両方の顔が共存してるんですね。
一見普通に見えちゃうその異質さが、浅野さんの演技によく出てたと思います。
原作では、北川の見かけによらない細やかな配慮みたいなものに、
幸田が言及する部分があります。
映画では、たこやき屋があるか尋ねた幸田に、一度は出て行った北川が、
わざわざ戻って「駅前に○○ってのがあったな」と声をかけるシーンに、
その辺の雰囲気が現れていたかな、と思いました。
トラック運転手の部屋のわりには、たくさんの音楽CDが並んでいて、
良さげなオーディオセットもあって、彼は不思議な魅力を持つ人物ですよね。
幸田みたいな男をかわいがるかと思えば、野田のような男ともつきあう。
利用できるから、野田と仲良くなった部分もあるかもしれませんが、
それだけじゃなくて、人の懐にするっと入っていく人なんですね。
幸田とは正反対で、すごく人を好きになる人のような気がします。
そのわりに、「最近不安やわ……」という奥さんを、
乱暴に犯すというバイオレンスを感じさせる一面もあるわけで。
それで黙っちゃう奥さんも、北川の二面性には気づいているだろうな。
薄幸そうなのがまたそそる奥さんでした。
スタッフロールみてたら、
ヘアメイク(浅野忠信)っていう項目があって、どなたかの名前がありました。
専属か?!あの角刈りに?!
弟のハルキもすごくよかったです。
友人は、もっと若くてとんがってる感じの子がよかったそうですが、
溝畑くんでよかったと思うなー。
印象がソフトすぎるかな?とも思いましたが、
北川との対比で、あのくらい柔らかそうな子がいいんじゃないかと。
幸田を慕うハルキなのですが、原作ではそういう関係にもなっているような
描写がちょこっとあります。
映画ではどうするのかな、と思っていましたが、
アパートの下で幸田の帰りを待っていたハルキ。
「……寝かせてくれよォ」といって首を振る幸田をじっと見上げるハルキの
目付きが、すべてを物語っていたなーと思います。
映像が持つメッセージ性って強力だなぁ。
野田はあの小物っぷりがイイ!
桐谷くん、いいですわー。
調子がよくって女好き。でっかいことをやってみたい。
でも幸田や北川とは決して相容れない世界の人ですよね。
小心。
もう黄金を手に入れたら、この人は外国に出さないと、
日本の中では平静に暮らしていられなくて気が狂うと思う。
不安で眠れないだろうし。
神戸っ子、といい張りたい浪速っ子だと思うけど、
ちょっとおしゃれに決めたいのよね。
唯一大阪弁をしゃべる役回りで、いい感じでした。
じいちゃん役の西田さん。さすがの重厚感。
元神父にしては、うす汚れた感がありすぎるような気もしましたが……。
俗な部分がなんか井筒監督の姿とダブったりして。
やっぱりもうちょっと、枯れた感じが欲しかったな。
なんであんな簡単に、モモを売ったかな。
自分らの計画にも支障がでるのわかってたろうに。
犬は犬でしかない、ってことなのかな。
そのモモ、ですが。
チャンミン、よかったわ~。
でもあれだねー、このメンツに混じって演技指導受けてたら
泣くわな。
まわりがすごいもん。
彼は役者が本業じゃないですけど、
本当にいい経験になったんじゃないかと思います。
もっと切れ長の目の役者がいい、っていいましたけど、
もうチャンミンが、いいです。
モモは、この仕事にかかわることで解放されて、
すごく楽しそうだったり、子どもみたいな表情を見せるシーンが
あって、そこはチャンミンの地の部分というか、
彼の無邪気な感じがうまく出ていて、よかったな、と思いました。
(別に地がどうなのか、本当には知りませんが。
東方神起でみてる限りは、そんな気がしたよ)
もと、北のスパイで、兄を殺した男。
そういう場面でのモモは非情で、手負いの獣のようで、
でも仲間といる時のモモは、冗談も言ってみたり、
若者らしく笑ってみたり、このギャップがとてもよかった。
スパイがあんな日本語片言でどーすんだってのはありますけど、
どーいったスパイなのかわかんないですし、
爆弾魔なんであれでいいんでしょうか。
ちゃんとモモ子になってるところもちょこっとだけありました。
女にしてはデカすぎて余計注目を集めてしまう気がしますが……。
そして幸田。
後半の彼を観ることだけでも
この映画を観る価値があると思います。
あれ?日本語変ですか?
もう妻夫木さん、すごいです。
私はずーっと口あいて観てたような気がする。
すごすぎる。
この映画観てんのに、(ああ、悪人観てないのは失敗だった)とか思ったもん。
いつの間にこんなに進化したんだ。
ウォーターボーイズだったのに。
目がくりくりした優しそうな美青年と思っていたら、
そんな甘いもんじゃなかったです。
幸田……よかったなぁ。
「人のいない土地へ行きたい」
そう願いつつ生きている幸田の虚無感とか、
なぜかモモに感じる愛情とか、とてもよかったです。
あ、なんか内容に関して書く前に記事がいっぱいになってしまった。
次回につづきます~。
観てきましたよ~。
「黄金を抱いて翔べ」
私は原作ファンなので、すべてをわかった上での映画鑑賞でした。
そんなわけで、ふつうに観に行かれた方とは、
受け止め方がちょっと違うかもしれないです。
だって「話は面白い」の大前提で観てるからなー。
浪速の町に集まった6人の男たち。
狙うは大銀行の地下に眠る、金塊だ。
総額4億円の夢の塊を盗み出す。
準備は万端、仕上げをご覧じろと行きたいところだが、
周囲から横やりが入っては、血が流れる。
男たちは黄金を抱いて翔び立つことができるのか?!
ってな犯罪小説が原作の映画なんですけれども、
面白かったです。
以下、ネタバレありの感想を書きますので、未見の方は気をつけてください。
筋立ては全部わかったうえで観ていた私の第一の感想は、
「よく2時間に全部詰め込んだな~。すごいなー」でした。
いろいろな要素が多少のはしょりはあるものの、ほぼすべて描かれており、
小説ファンとしても、これなら満足なんじゃないでしょうか?
たまにまったく別物になってたり、換骨奪胎みたいな映画もありますからね。
セリフもほぼ原作通り。
読んだ覚えのあるセリフがばんばん出てきます。
野田が出身地を問われ、「この顔、よう見てや。僕は神戸」などというあたり、
大阪チックで好きなシーンだったのですが、映像で観られてうれしかったです。
「モモに何かあったら、俺も生きてはいけない」という幸田のセリフはなかったですけど。
残念。
原作通りに忠実に撮れば面白くなる、というものじゃないので、
それがよかった、というわけではないのですが、
雰囲気や物語を大事にしてしかも面白く撮ってもらったというのがよかったかな、と。
登場人物たちも、それぞれハマってました。
小説の中の彼らが生きて動いているのを観られて嬉しいなぁという感じですね。
この黄金強奪計画の首謀者である北川。
犯罪者の顔と、妻子をかわいがる父親の顔。
ふたつを使い分けているというのではなく、本当に無理なくこの人の中では
両方の顔が共存してるんですね。
一見普通に見えちゃうその異質さが、浅野さんの演技によく出てたと思います。
原作では、北川の見かけによらない細やかな配慮みたいなものに、
幸田が言及する部分があります。
映画では、たこやき屋があるか尋ねた幸田に、一度は出て行った北川が、
わざわざ戻って「駅前に○○ってのがあったな」と声をかけるシーンに、
その辺の雰囲気が現れていたかな、と思いました。
トラック運転手の部屋のわりには、たくさんの音楽CDが並んでいて、
良さげなオーディオセットもあって、彼は不思議な魅力を持つ人物ですよね。
幸田みたいな男をかわいがるかと思えば、野田のような男ともつきあう。
利用できるから、野田と仲良くなった部分もあるかもしれませんが、
それだけじゃなくて、人の懐にするっと入っていく人なんですね。
幸田とは正反対で、すごく人を好きになる人のような気がします。
そのわりに、「最近不安やわ……」という奥さんを、
乱暴に犯すというバイオレンスを感じさせる一面もあるわけで。
それで黙っちゃう奥さんも、北川の二面性には気づいているだろうな。
薄幸そうなのがまたそそる奥さんでした。
スタッフロールみてたら、
ヘアメイク(浅野忠信)っていう項目があって、どなたかの名前がありました。
専属か?!あの角刈りに?!
弟のハルキもすごくよかったです。
友人は、もっと若くてとんがってる感じの子がよかったそうですが、
溝畑くんでよかったと思うなー。
印象がソフトすぎるかな?とも思いましたが、
北川との対比で、あのくらい柔らかそうな子がいいんじゃないかと。
幸田を慕うハルキなのですが、原作ではそういう関係にもなっているような
描写がちょこっとあります。
映画ではどうするのかな、と思っていましたが、
アパートの下で幸田の帰りを待っていたハルキ。
「……寝かせてくれよォ」といって首を振る幸田をじっと見上げるハルキの
目付きが、すべてを物語っていたなーと思います。
映像が持つメッセージ性って強力だなぁ。
野田はあの小物っぷりがイイ!
桐谷くん、いいですわー。
調子がよくって女好き。でっかいことをやってみたい。
でも幸田や北川とは決して相容れない世界の人ですよね。
小心。
もう黄金を手に入れたら、この人は外国に出さないと、
日本の中では平静に暮らしていられなくて気が狂うと思う。
不安で眠れないだろうし。
神戸っ子、といい張りたい浪速っ子だと思うけど、
ちょっとおしゃれに決めたいのよね。
唯一大阪弁をしゃべる役回りで、いい感じでした。
じいちゃん役の西田さん。さすがの重厚感。
元神父にしては、うす汚れた感がありすぎるような気もしましたが……。
俗な部分がなんか井筒監督の姿とダブったりして。
やっぱりもうちょっと、枯れた感じが欲しかったな。
なんであんな簡単に、モモを売ったかな。
自分らの計画にも支障がでるのわかってたろうに。
犬は犬でしかない、ってことなのかな。
そのモモ、ですが。
チャンミン、よかったわ~。
でもあれだねー、このメンツに混じって演技指導受けてたら
泣くわな。
まわりがすごいもん。
彼は役者が本業じゃないですけど、
本当にいい経験になったんじゃないかと思います。
もっと切れ長の目の役者がいい、っていいましたけど、
もうチャンミンが、いいです。
モモは、この仕事にかかわることで解放されて、
すごく楽しそうだったり、子どもみたいな表情を見せるシーンが
あって、そこはチャンミンの地の部分というか、
彼の無邪気な感じがうまく出ていて、よかったな、と思いました。
(別に地がどうなのか、本当には知りませんが。
東方神起でみてる限りは、そんな気がしたよ)
もと、北のスパイで、兄を殺した男。
そういう場面でのモモは非情で、手負いの獣のようで、
でも仲間といる時のモモは、冗談も言ってみたり、
若者らしく笑ってみたり、このギャップがとてもよかった。
スパイがあんな日本語片言でどーすんだってのはありますけど、
どーいったスパイなのかわかんないですし、
爆弾魔なんであれでいいんでしょうか。
ちゃんとモモ子になってるところもちょこっとだけありました。
女にしてはデカすぎて余計注目を集めてしまう気がしますが……。
そして幸田。
後半の彼を観ることだけでも
この映画を観る価値があると思います。
あれ?日本語変ですか?
もう妻夫木さん、すごいです。
私はずーっと口あいて観てたような気がする。
すごすぎる。
この映画観てんのに、(ああ、悪人観てないのは失敗だった)とか思ったもん。
いつの間にこんなに進化したんだ。
ウォーターボーイズだったのに。
目がくりくりした優しそうな美青年と思っていたら、
そんな甘いもんじゃなかったです。
幸田……よかったなぁ。
「人のいない土地へ行きたい」
そう願いつつ生きている幸田の虚無感とか、
なぜかモモに感じる愛情とか、とてもよかったです。
あ、なんか内容に関して書く前に記事がいっぱいになってしまった。
次回につづきます~。
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