メンサの部下が業務報告の最後に
小さな声で最近白髪が目立って
きたと申し訳なさそうに教えて
くれた。
疎な白髪を気にするより年相応に
変化してきたとしみじみ…。
三十代、四十代は自己制御と言う
べきか、それとも自己暗示とでも
言うのが適切な表現なのかは定か
ではないが経理.管理の仕事が己の
宿命のように思いこみ、その範疇の
generalistを目指すことが最も
望ましい選択であるかのように
当然のように考えていた。
実はその選択は狭義な考えで自分の
可能性を自ら制御をかけていたこと
には気づいていなかった。
コンパスで小さな円を描くように。
もっともっと大きな円が描けるのに
それに気付くには時間がかかった。
五十代では自由度が高まり、仕事
の創造ができるようになった。
武道の乱取りのように自分から
仕掛けることが出来る環境は
経理マン時代には味わえなかった。
老いることは決っして悪い事ばかり
ではない。
白髪は歩んできた苦難のストーリー
を物語るのか。
車窓から見る積雪のように…