ISOとは強制された品質監理でなく、自社で作った品質マニュアルに沿って品質監理をするのだから何ら困難は無くて、取得出来れば何度審査を受けようが不合格になる事は先ず有り得ない。
「ISOを取得するのは品質のよい建物を創る為」
と普通ならば思えるし、その為に厳しい施工基準を創るのならば建設業のレベルアップになるのだが、ISOにはこのように創れとの《品質精度》の決まりがない。
品質管理としてとにかく《システムマニュアル》を整備・維持するのが重要なのである。
だから品質管理システムの名目のために、建設現場で机に向かって書類作りが増大している。
精度が悪かろうが手順が違おうが、現場巡察に出て監督する時間を短く
してまで書類を作って、建物は職人さんに任せていても、品質管理を
認証されることに必至になっているのだ。
簡単に言えば、創る精度の技術基準ではなくて、契約条件とか下請け業者の選定方法とか記録を何時チェックしたのか、記録保存を細分化して綴じる方法まで文書で決めている。
例えば、ISOに於いては現場事務所に施工体系図を表示せねばならないと言い、元請から矢印付きで一次下請け、更に孫受け(二次三次請負)の協力業者を線で結んである表が掲示されている。
行政から三次以下の下請けを制限せよの通達の中で、実際に建設業は多層請負であり、四次下請け以下の会社から来る職人さんもかなり多いし、現場は職人さんが何次目の会社になるのかを黙認しながら仕事をさせている。
請負体制をありのままに表示すると都合が悪い部分はISO文書といえども、最初から記入しない。
認定機関が審査するのは認証申請会社が作った文書だけであるから、四次下請けを省略した文書であっても問題はなく(バレる事)もなくて品質認証は合格のままである。
又、建設現場事務所へと何度も転用している書類ロッカーの鉄扉を、室内から中の物が分かるように透明ガラス扉に取り替えるのは許せるが、ISOファイル(背幅5㌢の大型ファイル)の背表紙にはファイル見出しを書いて順番をつけて順序よく並べる事まで義務付けして、品質の良い建物が出来る手順にはほど遠い部分に非常にこだわっているのである。
日本にはJISという立派な製品の基準があり、建設仕様書も数年毎に刷新発行され建設業者で取り組んで来た品質の確保があるではないか。
日本国土で建設するものに国際品質保証のシステムを求めて、良い建物として機能保証するための認定書ではないのに、ISO認定取得に向けて文書を創り、現場の監理がおろそかになって鉄筋の太さや本数を間違えた所長さんの会社でさえISO認証を即刻、取り消しにはなっていない。
顧客のニーズに対応と言うけれども、一体だれがその品質保証とやらの恩恵に預かっているのだろうか?
ISOを取得するのは、認定機関から審査合格すればよいだけであって、国際品質といいながらも日本で認可されても必ずしも世界でそのまま認めてもらえるとは限らない。
自分の会社専用の品質管理マニュアルを作ったものを認定機関が審査するのだから、建設会社によって骨子は同じとしても申請文書内容は全く違うのだから、ISOの取得の内容濃度もバラツキがあるまま認定されており、建物機能の品質は誰も判断出来かねるのだ。
つまり、ISOを必死に現場でやっていても、コンクリートのヒビから雨水の侵入を防ぐ事すら考える必要もなくて
《続く》・・・
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