髪の毛を伸ばしている
だから
ほんの少し
いつもより
パーマを効かせてちょーだいって頼んだもの
後ろで縛るゴムに
寸足らずな短い毛が
他の髪と絡んで
シュッと並びやすいようにって
鏡の前
ちょっと斜めに構えて
手ぐしで髪をすいてみる
もっと鏡に寄ってみながら
アゴの線から耳
うなじが見えるか見えないかあたり
両手で
両方のそこから
一気に斜め後ろに引き上げてみる
隠れていた白い肌が
恥ずかしそうに
息遣いを始めるみたい
できたゎ
一括りに結える
そう思ったとたん
ないゎ、ない
結おうと思って置いておいたゴムがない
片手で結った髪を持ちながら
ウロウロとし始める
しまいには
違う部屋にまで探し始める
片手を解けばいいものを
違うの、ちがうの
この手を外せば
この角度
この感じ
全てが台無しになってしまいそうで
そのままで
見つけたゴムを口に咥えて
また両方で髪を撫で付ける
崩さないように
ほどけないように
ゴムを指に引っかけてのばして
結えてる髪に滑り込ませる
それはゴムの間を
三度ほど行ったり来たりを繰り返し
飾り気もなく
ポニーテールは出来上がった
鏡の前
前髪を整えながら
左右に首を振ってみる
『うん、大丈夫』
今度は
綺麗なゴムの輪っかを用意をしょう
おんなは
いくつになっても
ポニーテールを作る時
ちょっと胸が弾むのね
しばらく
忘れていたほどに
短い髪の時期が長かったから
今度からは
ゴムを口に咥えたまま
頭を左右にふって
髪を揺らしたあとに
手ぐしで髪を撫で付けて
あっという間に
ポニーテールが出来上がるようになるよ、きっと
それと引き換えに
この胸のワクワクしたものが
薄まっていくのでしょうけどね
夕方が迫るほど
夏って感じが来たみたい
