湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

家の明かりの心模様

2019-07-18 22:06:00 | ポエム
家は昔かたぎの大工さんが建てた
玄関から入ると
まっすぐに
玄関の同じ間淵で広がるホール
 
大工さんは言った
田舎の家は、このホールの広さが大事なのだと
 
たしかに
広がりのある空間
 
しかし
私には
もうひと部屋作れそうなほど
 
ここを遊ばせておくのはもったいないと思った
 
ついこの間まで
東日本大震災のあとの
水や保存する食料や
あれやこれやの備蓄のものを
すのこで作った木のラックに入れて
L字型になったホールから
廊下に続く場所に置いていた
 
それでもまだ
案外重宝な広さなもので
多少の荷物や
ゴルフバックが占領する時もあったり
両親がいたときには
奥の部屋から居間に続く道として
手すりをつけて歩いていた
 
 
子供が小さな頃は
小さな車に乗せてここをぐるぐるしたり
追いかけっこしてみたり
臨時のボーリング屋さんに
なったりしたものだ
 
だんだんと静けさを取り戻したここは
時折私が
ペタっと座り込んでは
夏なぞは家の中で
一番風通しが良いことに
そこから外の緑を見たりしていた
 
 
ものが
だんだんと少なくなり
 
人もだんだん少なくなり
 
 
二階へ続く階段の下のものは
各押し入れに入れられて
その震災用の備蓄のものは
階段下へと移動となっていった
 
 
ガランとしたホールが
家を建てた当初には
大好きな叔母からもらった
布でできたストックの花を
常滑焼の花瓶に入れて
そこに置いただけで
とても満たされていたっけ
 
 
しかし
それも年月とともに移り変わっていく
 
 
習い始めた花を飾ったこともある
 
 
だけれど
昔から
一番置きたかったものは
陶器でできたランプシェードだった
 
 
古い旅館などの
エントランスや
廊下にそっと置かれていたりして
なぜか気持ちを落ち着かせる明かり
 
 
今日
探していたものが
人のツテで手に入ったんだ
 
笠間焼だけれど
少し斬新なデザインのランプシェード
 
 
蛍光灯の明かりじゃなく
丸電球の暖かさは
柔らかく優しい
 
 
何もかも
身軽になる方がいいと
断捨離もすすめてきて
まだまだやらなきゃいけないことが
たくさんあるにはあるけど
 
 
今は
この明かりを見ていたい
 
 
そうね
板の間に
体育座りでもして
何を考えようか
 
 
懐かしいこと
手のぬくもりのこと
心にこの明かりが映って
しみていくように
自分まで優しくなっていきそうよ
 
 
今夜は誰かに寄り添って
優しく肩を抱かれている夢を
見られるような気がしてくるから不思議
 
 
柔らかな
優しみのある明かり