【誕生日】
☆ジュールズ・ダッシン Jules Dassin (1911.12.18~2008.3.31)
マッカーシズムの赤狩りでアメリカを追われ逆にヨーロッパで本領を発揮して大成した映画監督です。
ウクライナの オデッサからのユダヤ人移民の子としてコネチカット州ミドルトンに生まれハーレムで育ちました。1934年から
2年間ヨーロッパで演劇を学び、帰国後はユダヤ人劇団の俳優兼任演出家となり、1940年にRKO社に入って助監督などをつとめ
ました。1941年にはMGMに移り数本の短編などを監督していましたが、1944年のファンタジー・コメディ『幽霊は臆病者』で
初の長編作品を監督し、続いて1947年に刑務所を舞台にした社会派映画『真昼の暴動』で注目を集めました。1948年の『裸の町』
においてはセミ・ドキュメンタリー方式で犯人を追う刑事の生き様をリアリズムで描き歪んだ現実を鮮烈に浮かび上がらせました。
しかし、1950年にレッドパージによって共産主義者のレッテルを張られたためハリウッドから追放されヨーロッパに渡りました。
数年間は仕事にありつけなかったのですが、1955年のフランスで『男の争い』を監督、 低予算・スターキャストなしでなおかつ
オリジナル小説の映画化というありがたくない仕事でしたが、持ち前のセミ・ドキュメンタリー様式のリアリズムで宝石強盗の
主人公の生き様を描き、特に会話や音楽のない沈黙に近い状態で撮影された30分間の強盗シーンはカンヌ映画祭で絶賛されました。
その後も1957年にギリシャのニコス・カザンツァキ原作の『宿命』、1959年にはコルシカ島の古い因習の「掟遊び」を題材にした
『掟』において息苦しいほどの濃い人間関係の対立を描き切りました。その後ギリシャに渡ってメリナ・メルクーリと意気投合し、
1960年にはギリシャの港町を舞台にした人間謳歌『日曜はダメよ』において陽気に生き生きと輝く娼婦イリアの生命の躍動を描き、
1962年の『死んでもいい』では義理の息子を愛した王妃をテーマにしたギリシャ悲劇の古典『フェードラ』を現代に置き換えた
重厚な恋愛悲劇を監督しました。
ヨーロッパからハリウッドに渡って失敗・凋落した映画監督は掃いて捨てるほどいますが、逆にジュールズ・ダッシンはアメリカ
からヨーロッパに渡って成功した数少ない監督でした。
【主要監督作品】
1944年『幽霊は臆病者』The Canterville Ghost
1947年『真昼の暴動』Brute Force
1948年『裸の町』 The Naked City
1950年『街の野獣』 Night and the City
1955年『男の争い』 Du rififi chez les hommes
1957年『宿命』 Celui qui doit mourir
1959年『掟』 La Legge
1960年『日曜はダメよ』 Pote tin Kyriaki
1962年『死んでもいい』 Phaedra
1964年『トプカピ』 Topkapi
1966年『夏の夜の10時30分』 10:30 P.M. Summer
☆ジョージ・スティーヴンス George Stevens (1904.12.18~1975.3.08)
重厚なリリシズムの中にセンチメンタルな人間洞察を織り込む独特の演出で開花したアメリカの映画監督です。
カリフォルニア州オークランドで生まれ、舞台人の両親の影響で5歳から舞台に立ちました。1923年にハリウッドに入り、製作者の
ハル・ローチのスタジオでローレル&ハーディのドタバタ短編映画を作り、1935年の『乙女よ嘆くな』を監督して注目を集めました。
その後はB級のミュージカルに甘んじていましたが、1948年の『ママの想い出』で移民家族を温かく見つめた庶民絵図でリアリスト
としての評価を得ました。1951年には『陽のあたる場所』で出世欲に飢え上流社会憧れた青年の悲劇を描いて自身のリリシズム
を加味した作風を確立しました。
1953年の股旅型の西部劇『シェーン』ではワイオミングの壮大な山々を背景に登場人物の心情を詩情豊かに描き、続いて1955年の
『ジャイアンツ』で保守色の強いテキサスの大牧場主夫妻を主人公として愛と葛藤、資本主義のひずみともいえる文明の粗野と残酷、
さらには人種問題をも取り上げた一大叙事詩を描き切りました。
しかし、1959年の『アンネの日記』では原作に忠実を建前としたためあまりにも生真面目すぎて自身の特徴を生かしきれず、また
1965年のキリストの生涯を綴った一大長編『偉大な生涯の物語』もダラダラとした平凡な作品に終り、1970年に監督業を卒業して
しまいました。
【主要監督作品】
1935年『乙女よ嘆くな』 Alice Adams
1936年『有頂天時代』 Swing Time
1937年『踊る騎士』A Damsel in Distress
1939年『ガンガ・ディン』Gunga Din
1941年『愛のアルバム』Penny Serenade
1942年『女性No.1』Woman of the Year
1948年『ママの想い出』I Remember Mama
1951年『陽のあたる場所』A Place in the Sun
1953年『シェーン』Shane
1956年『ジャイアンツ』Giant
1959年『アンネの日記』The Diary of Anne Frank
1965年『偉大な生涯の物語』The Greatest Story Ever Told
【ご命日】
★ロベール・ブレッソン Robert Bresson (1901.9.25~1999.12.18)
独自の厳格なスタイルで映画史に傑作を残した孤高のフランス人映画監督。
主な監督作品として『田舎司祭の日記』『抵抗』『スリ』『ジャンヌ・ダルク裁判』などがある。
★ジルベール・ベコー Gilbert Bécaud (1927.10.24~2001.12.18)
水玉模様のネクタイを愛用し、精力的なパフォーマンスから「ムッシュ10万ボルト」と称されたフランスの歌手。
主な歌唱曲として『ぼくの手』『君踊る時』『メケ・メケ』『雨の降る日』『そして今は』などがある。