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旅の友・ポップス編 (310) 『ラストダンスは私に』

2017-12-16 13:13:03 | 旅の友・ポップス編

『ラストダンスは私に』 ダニエル・ダリュー
”Garde-moi La Derniere Danse” Danielle Darrieux 【YOUTUBEより】


原曲は1960年にドク・ ポーマス作詞、モルト・シューマン作曲による”Save The Last Dance For Me”です。
同年にドリフターズ(リード・ヴォーカルはベン・E・キング)が唄って全米No.1のミリオンヒットとなりました。
日本ではこれを『今宵の思い出に』という邦題でリリースしたのですが残念ながら全く売れませんでした。
その間に、アンドレ・ミシェル・サルヴェがフランス語の歌詞を付け『ラストダンスは私に』というタイトルでダリダが
唄ったことでシャンソンとして知られることになりました。
その後、ドリフターズも邦題を『ラストダンスは私に』に切り替えたのですが【今週のベストテン】にランクインせず
1964年2月に二週間だけ19位となったのが精一杯でした。

今回、ダリダでアップしようかと思ったのですが、あえてダニエル・ダリューにすることにしました。
ダニエル・ダリューといえば1930~50年代に活躍した女優で、その気高い容姿から「フランスの名花」と称されました。


旅の友・ポップス編 (309) 『ポインシアナ』

2017-12-15 13:17:16 | 旅の友・ポップス編

『ポインシアナ』 ペペ・ハラミジョとラテン・アメリカン・リズム
”Poinciana” Pepe Jaramillo & His Latin American Rhythm 【YOUTUBEより】


この曲は1936年にナット・シモンが作曲、マヌエル・リソが作詞したキューバ産のラテン・ナンバーです。
1940年代にアメリカに渡り、バディ・バーニアが”The Song of Tree”(樹木の歌)という英詩をつけビング・クロスビーが
唄ったことによってスタンダード・ナンバーとなり、数多くのレコードが競い合ってリリースされています。
ヴォーカルでは、フランク・シナトラ、ナット・キング・コール、フォー・フレッシュメン、カテリーナ・ヴァレンテなど、また
インストゥルメンタルとしては、グレン・ミラー、デヴィッド・ローズ、パーシー・フェイス、ザビア・クガー、ウェルナー・ミュラー
などがありますが、私の好みと偏見でペペ・ハラミジョを貼り付けました。
ちなみに”Poinciana”とは鮮朱赤色の五弁花を咲かせるマダガスカル原産の熱帯の樹木のことです。

旅の友・ポップス編 (308) 『若者のすべて』

2017-12-14 13:44:22 | 旅の友・ポップス編

『若者のすべて』 ニーノ・ロータ楽団
”Rocco Ei Suoi Fratelli” Nino Rota Orchestre 【YOUTUBEより】


1960年制作、ルキノ・ヴィスコンティ監督による同名のイタリア映画の主題歌です。
映画はイタリアンリアリズムの先駆者の一人であるヴィスコンティ作品で、成功を夢見てミラノにやって来たイタリア
南部の貧しい家族が都会での残酷な現実を思い知るさまと、戦後の復興を遂げる過程で繁栄都市と地方の格差をも
正面から取り上げながら、家族の崩壊を格調高い構成で描き切った力作です。
この作品はイタリアン・リアリズムの集大成的大作ともいわれ、ヴィスコンティの特徴でもある唯美的で背徳的、そして
退廃的な風潮が顕著に表れたいわゆるデカダンス作品でもあります。

主題歌の『若者のすべて』はニーノ・ロータの作曲で、ロッコとナディアの運命を暗示した二曲がメインテーマとして
構成された交響詩となっており、ヴィスコンティ作品の中でも数少ない映画のための主題歌です。
日本では【今週のベストテン】において1960年12月の最終週に初登場し翌年1月第4週までベストテン入りを果たして
います。(最高7位)

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ルキノ・ヴィスコンティは、貴族出身の公爵でありまた共産党員でもあったことから「赤い公爵」と呼ばれたこともあり
その映画製作スタイルも他の映画作家と一線を画す特異な存在となっています。
まず、映画の自由を束縛していたファシスト政権下において、1942年に最初のイタリアン・リアリズム作品といわれる
『妄執』(Ossessione)を発表、原作は『郵便配達は二度ベルを鳴らす』なのですが映画化権の許諾を得ておらず、また
そこに描かれたイタリア庶民の困窮さが反ファシズム的な内容でもあることから即座に上映禁止となっています。
1948年にはイタリア共産党の資金援助を得て、シチリア島の漁民一家の辛苦の日々をドキュメンタリータッチで描いた
イタリアン・リアリズムの代表的作品『揺れる大地』を発表しています。
1954年にはメロドラマ風に描いた『夏の嵐』においてロマンチシズムとリアリズムの融合を試み、1963年にはヴィスコンティ
自身をモデルに重ねた『山猫』で貴族の愛憎と没落を重厚かつ耽美的に描いています。
彼の作風としては単なるペシミズムに陥らず現状否定を基点とし、常に家族の悲劇・人間の崩壊をテーマとしています。


旅の友・ポップス編 (307) 『風のささやき』

2017-12-13 12:31:24 | 旅の友・ポップス編

『風のささやき』 ポール・モーリア楽団
”Moulins De Mon Coeur” Paul Mauriat et son Grand Orchestre 【YOUTUBEより】


1968年制作、ノーマン・ジェイソン監督によるアメリカ映画『華麗なる賭け』の主題歌です。
映画は銀行強盗の元締めと美人保険調査員との駆け引きを描いたコメディタッチのアクション作品で、監督の
ノーマン・ジェイソンが主題歌をフランスのミシェル・ルグランに依頼しています。
主題歌の『風のささやき』 ( The Windmills of Your Mind ) はノエル・ハリスンが唄ったのですが、この曲は映画音楽と
いうよりも、インストゥルメンタルで聞きたい楽曲です。
ミシェル・ルグラン自身の演奏、ヘンリー・マンシーニ楽団、パーシー・フェイス楽団などがリリースされていますが
中でもポール・モーリア楽団が秀逸ですね。

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旅の友・ポップス編 (306) 『トム・ドゥーリィー』

2017-12-12 14:58:37 | 旅の友・ポップス編

『トム・ドゥーリー』 キングストン・トリオ
”Tom Dooly” The Kingston Trio 【YOUTUBEより】


原曲は、ノースカロライナ州で恋人を殺して絞首刑になった実在のトム・ドゥーラを唄った古いフォークソングで
作者はトーマス・C・ランドです。
これを1958年にキングストン・トリオのリーダーのデイヴ・ガードがアレンジし、アルバム「ザ・キングストン・トリオ」
の中に収録、その後『トム・ドゥーリィー』はシングル・カットしてリリースされ全米No.1 に輝きました。
日本でも【今週のベストテン】において1959年の年間ベストテンの第3位になる大ヒットとなっています。
歌詞の表現はあまり勧められたものではありませんが、心に刻まれるメロディーでした。
また、この曲にインスパイアされて、1959年にはテッド・ポスト監督によるアメリカ映画『拳銃に泣くトム・ドーリイ』が
制作されていますが、映画としてはそれほど話題にもなりませんでした。

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