「離脱」企業続出…Tポイントに何が起こったか
「ポイントカードはお持ちですか?」。コンビニやスーパー、ドラッグストアなどのレジで必ずと言っていいほど耳にするこのセリフを世に広めたとされるのが、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(=CCC、本社・東京)運営の「T(ポイント)カード」だ。いくつもの業種にまたがって共通のポイントを貯めたり利用したりできるのが特徴で、1社のみのポイントにはなかった利便性をアピールし、加盟企業数と利用者数を急伸させた。それが今、曲がり角を迎えているという。なぜなのか。マーケティング戦略に詳しい青山烈士さんが解説する
三越伊勢丹グループ、ドトールコーヒー、ヤフーの通販サイト……。業界を代表する有名企業が次々とTポイントから離脱したり、離脱を表明したりしています。Tポイント陣営の代表格とされるファミリマートのように、利用者がTポイント以外のポイントも選べる「マルチポイント」にシフトする企業も現れるなど、関係者の間では「盤石に見えたTポイント経済圏が崩れるのではないか」と話題になっています。
今年1月には、CCCが裁判所の令状なしに顧客の個人情報を捜査機関に提供していたと発表しました。CCCは「法令で認められる場合を除き、個人情報を同意なしで第三者に必要な範囲を超えて提供しない」などと個人情報保護方針を改定しましたが、批判はやまず、「加盟企業の離脱が加速するのではないか」との臆測も広がりました。
Tポイントは、レンタルサービスのTSUTAYAなどを運営するCCCが、2003年に始めたポイントサービスです。買い物の際などに支払った料金に応じて利用者にポイントが与えられ、次回以降の支払いなどに充てることができます。家電販売大手などが導入する「その企業・グループ内のみ」のポイントに比べ、Tポイントは、企業やグループの枠を超え、幅広い業種の提携先企業で共通のポイントを貯めたり、利用したりできる点が画期的でした。
CCCが公表しているデータによると、Tポイントを導入しているのは179社94万1898店舗(2018年7月)。直近1年間にTポイントを利用した会員の数は約6788万人(18年9月末時点、同一ユーザーを名寄せした人数)に達します。これらを見る限り、Tポイントは今の時点で、最も成功を収めた共通ポイントカードと言えると思います。