南極の棚氷に大きな亀裂、巨大氷山が分離へ
成長する二つの亀裂、いつ交わるかは不明
南極のブラント棚氷付近で海氷の上に立つコウテイペンギンたち。(PHOTOGRAPH BY STUART HOLROYD, ALAMY STOCK PHOTO)
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南極のブラント棚氷から、巨大な氷の塊が分離しそうな状況だ。東京23区を三つ合わせたほどの広さがある氷山が、いつ誕生しても不思議ではないという。
この棚氷には大きな亀裂が2つあり、ここ数年間でどちらも少しずつ伸びている。最終的に2つの割れ目がつながれば、面積約1700平方キロメートル、高さ約150メートルという氷山が海に浮かぶことになる。やがて氷山は解けて世界の海水量が増えることになる。(参考記事:「南極で海氷拡大、主因は棚氷の融解?」)
棚氷の分離は驚くべきことではない。南極大陸から舌のように海にせり出すブラント棚氷は、かねてから注意深く観測されてきた。英国の南極研究所が研究活動の拠点、ハリー研究基地をそこに置いているからだ。だが、いつ氷山が分離するのかは、誰にもわからない。(参考記事:「巨大氷山が分離、ナショジオの地図で見る南極の変化」)
これまでも棚氷が分離し、巨大氷山が誕生した例はある。特に大きかったのは、2017年のラーセンC棚氷の分離だ。その面積は約5800平方キロで、今回できるであろう氷山の3倍以上の面積だ。(参考記事:「南極に出現した真四角な氷山、どうやってできた?」)