変異種、やはり強い感染力 「これまでより56%」 英大学
英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)は、英国で確認された新型コロナウイルスの変異種について、従来種よりも56%強い感染力があると分析結果を公表した。
英政府の科学者チームは初期の分析で71%と指摘しており、強い感染力が改めて裏付けられた。 ニコラス・デービス教授が率いる研究チームの査読前の論文が23日付で公開された。
変異種によって重症化するリスクが高いかどうかは「明確なエビデンス(証拠)が得られなかった」と述べた。 研究チームは論文で、変異種が非常に強い感染力を持っているため、飲食店の営業停止などの措置だけでは感染拡大を抑えられないと指摘。
「新型コロナによる感染例は大幅に増加し、2021年には入院や死亡の数が20年を上回る水準に達する可能性がある」と警告した。
変異種感染の5人 英から羽田と関空に帰国 18~21日に 厚労省発表
厚生労働省は25日、英国で感染が急拡大する変異した新型コロナウイルスと遺伝子配列が一致するウイルスが国内で初めて確認されたと発表した。
18~21日に英国から帰国した5人で、いずれも国内空港の検疫所を通じて把握された。 【図解でおさらい】緊急性の高い13症状 関係者によると、変異ウイルスが確認されたのは、18日から21日にかけて羽田空港と関西国際空港に到着した入国者の男女5人。いずれも英国に滞在歴があった。
国立感染症研究所の病原体ゲノム解析研究センターが解析した結果、変異ウイルスと同じ遺伝子のものが確認された。5人のうち4人は無症状で、60代の男性1人は倦怠(けんたい)感があるという。
英国では9月に変異ウイルスが確認されて以降、感染が急拡大。
英政府は12月20日、感染者が急増しているロンドンなどで事実上のロックダウン(都市封鎖)を始めた。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、従来のウイルスに比べ、最大で感染力が7割増していると推定。
一方で、重症化率や致死率が上昇したり、ワクチンが効かなくなったりする証拠は見つかっていないとされる。 変異ウイルスへの警戒から、英国からの入国規制を強化する国が相次いでいる。
日本政府も24日以降、日本在住のビジネス関係者が英国へ短期出張した後の「14日間隔離」免除を一時的に停止するなど、英国を対象とする水際対策を強化していた。