マイスペース

半径1m以内の出来事を独りごちております。

父とノコギリと私

2016年05月21日 | 半径1mの話
今朝、4時に起きてしまったのでお洗濯が終わったら寝ようっと、そう心に決めて最後のシーツを干しておりましたらば

物置から出てきた父が、

ノコギリが見当たらんが、地震の時どこかへ入り込んでしまったんだろうな、探すよりも新しく買った方が良かろうな?と申します。

私に探してくれろと言っているのは、お見通しでございます。

ノコギリは、父の探していた場所の反対側に置いてありました。

おまえは、すごいな!
父ちゃんがあれだけ探しても見つけられんかったものを、いとも簡単に探し出すとは!

いつものように、大仰にお褒めの言葉を頂戴いたしまして

で、

ノコギリなんか何に使うの? と聞いてしまったのが運のツキでございました。

梅の木を剪定しようと思ってな。

そう言って、やおら震える手でギコギコやり始めたのであります。

89歳の父がギコギコやっているのに、まさかお昼寝(朝寝)をする訳にもいかず、私がやらせて頂きましたとも。

自宅にいた時は、箸より重いものを持たずに生活出来ていたと言うのに、ナンテコッタな成り行きでございます。

私のノコギリ使い(の下手さ)が気になるのか、父が見るに見かねて実技指導してくれるのですが

何せ、右手が震えるため、震える右手でやっても震えない左手でやっても、ちっとも上手くいきません。

結局、私が半分位まで切れ目を入れるのを待って、あまりの進捗の遅さに痺れを切らせた父が力づくで折るという、何とも麗しい親子に依る共同作業がなされたのでございました。


切り落とした大量の枝木は、ゴミの日に出せるよう父ちゃんが縛るからな、と申します。

もちろん、私がやらせて頂きましたとも。


ほんでもって

物置の中に、お習字のセットと練習用の半紙がたくさん置いてあったので

いったい全体、誰のお習字道具だろうと不思議に思い、父に尋ねましたらば

しばらく俺がやっておった、との返事に

お父さん、書痙なのによく筆が持てたね、と申しましたらば

それは、おまえ、酒を飲めば震えは止まるものだよ、ですと。





昨日、ようやくティファールのフライパンを買ってこれました。
それまで、耐え難きを耐えしのび難きをしのび、こんな鉄くずのようなフライパンを使ってお料理をしていた私を褒めて進ぜようと思います。