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誤解多き公務員試験の実態

 クリエイト速読スクールの講師、大西隆さんより「公務員試験に関して」の原稿が届きました。

 

   予備校を選ぶ際には、公務員試験の実態を正確に理解することが重要だと前回指摘しました。今回は、その理由を試験の実態と照らし合わせて紹介していきたいと思います。

  公務員試験は筆記試験さえ通れば内定は確保できる、そんな甘い認識が世間ではあるようです。実際に、以前は国家Ⅰ種をはじめとして多くの試験は筆記で高得点を取ることが内定への近道でした。以前なら、通用する認識だったのです。しかし、その考えは最近の公務員試験では全く通用しないと断言できます。筆記試験でいくら高得点を取得しても、面接で落とされるケースが多いことを知るべきです。有名な国家Ⅰ種法律職を例に採ってみましょう。択一と論文試験、人事院による面接を合格すると最終合格者となりますが、これはあくまで各官庁への面接を受けられる切符にしかならないのです。この最終合格者の3分の1しか内定は貰えないのが現状であり、筆記試験上位合格者も面接で、いとも簡単に落とされてしまいます。また、今年の東京都庁Ⅰ類B(新卒対象)の筆記試験倍率はたったの2.7倍であり、面接倍率は3倍となり面接重視ということを明確に打ち出してきました。他の道府県庁、特別区や政令指定都市も面接重視の試験に変更していることから、公務員試験は面接重視の試験に変わっているとお分かりになると思われます。

  昨今の面接重視の背景には、公務員試験とは就職試験であることも要因と考えられます。筆記試験さえ通れば内定では、資格試験となんら変わりがないではありませんか。就職試験なのですから、幅広い教養と専門知識はもちろんのこと、その人の考え方や価値観、精神力や醸し出す雰囲気など総合的に判断して、内定者を決められることは少し考えれば気付くことです。公務員試験とはそのように受験生の顔を見て内定が決まるものであり、英語検定1級合格、簿記1級合格という資格試験とは、全く次元の違う話であることを認識するべきです。どうも、資格試験と就職試験を明確に区別しない人が多いので、公務員試験の実態を間違って捉える方が多いように感じられます。

  公務員試験とは筆記試験で合格点を取ることは最低条件だが、本当の関門は面接試験にあるということを認識できたかと思われます。30科目以上の試験科目をあくまで合格ライン確実に持っていき、そのうえで公務員としての素質を養成することに力を入れたカリキュラムを提供する予備校こそが、公務員試験の実態に沿ったところなのです。私は喜治塾というところに通っていましたが、この実態に沿って授業をしていました。こういう前提知識を持った上で、各予備校のパンフレットを見ると、実態を正確に知る以前とは全く違った印象を受けるはずです。

  では、公務員試験の実態を知った上で、各予備校のパンフレットを見てみてください。面接対策、筆記試験と論文試験にはどのようなスタンスで対策をしているのか、この二点に集中してみて読んでください。読んでみると、かなり突っ込みどころ満載であり、酷い予備校になると受験生を意図的にだましているのではないかと悪意さえ読みとれます(実際にこういう予備校は存在します)。私が実際に説明会などで得た知識と、実際に各予備校に通学していた知人の話から構成されていますので、噂話などは一切ありません。あ、推理がお好きな方は予備校AとBを当ててみてください。

  Aのパンフレットを読んでみると、著名な講師陣による講義が展開され、面接カード(エントリーシートのようなもの)は添削し、模擬面接を行い官庁訪問対策も完璧です、と一見するとさすが大手だ、と妙な安心感を与える文面になっています。何故か、それは読み手側が正確に試験の実態を知らないからです。

  それでは、少々このパンフレットに突っ込みを入れてみましょう。「著名な講師陣による~」というこの謳い文句ですが、すべての受験生がこの講師による講義を受けられる保障は全くないのです。それどころか、試験の実態を全く知らない大学院生に講義を担当させ、合格に直結しない枝葉の知識ばかりやる講義も多々あるようです。これでは、受験生が可哀想だと思いますが、どうもこの予備校はそういうことに思いを馳せることは全くないようです。

 「面接カードを添削します」、一見すると無料でやってくれそうですが、ところが時期によっては有料になるそうです。無料でやるのが筋というものでしょうが、私の感覚とAの経営感覚ではかなり距離があるようです。

 「模擬面接を行い」、残念ながらすべての希望者が模擬面接を受けられないのです。抽選会で通った人しか(たったの半分)模擬面接を受けられず、あとの受験生は他の予備校に行ってくださいと完全放置するそうです。内定するために一番重要な面接試験の対策を放棄するのは、受験生の立場に立脚してサービスを提供する姿勢に欠けていると思えます。

  Bのパンフレットも、Aと同じようなものです。こちらは合格者数を最もアピールしていますが、筆記試験だけの合格者も含まれているようなので、内定者数と間違えないようにパンフレットを読む必要があります。

  いかがでしたか。パンフレットを読むにしても、二つか三つくらい重要な知識を仕入れておけば、相手側の隠す不都合なことも推測できるようになるのです。では、次回はこの面接対策について紹介していきます。       大西 隆

                                            

                    ※クリエイト速読スクールHP

本日11月3日(土)は文化の日のため、 教室はお休みです

 どうぞ、よろしくお願いいたします

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
予備校。 (古い生徒3。)
2009-12-16 23:31:22
 あ、どうも。こんばんは。かなりしびれる内容ですね。
パンフレットの読み方ひとつで、その先の道が
大きく変わってしまうとは、何とも恐ろしい話です。

 普段のほほんと生活している自分には、
ちょっと縁遠いです。やはり、厳しい世界に身を
置いている方のお話には迫力があります。

 おやすみなさい。
 
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