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そのための歳月に耐えようとはせず

 きょうの毎日新聞朝刊から。

 社会面に「次の朝刊小説」の案内が載っていました。

 久しぶりに全文掲載します。

 

次の朝刊小説、宮本輝「三十光年の星たち」 
                 赤井稚佳・画--来月1日から

 朝刊で好評連載中の林真理子さんの「下流の宴(うたげ)」は31日に終了します。1月1日からは、宮本輝さんの「三十光年の星たち」が始まります。

 宮本さんは1947年、神戸市生まれ。77年に「泥の河」でデビュー。78年に「蛍川」で芥川賞、87年には「優駿」で吉川英治文学賞を受賞。豊かな物語性と深みのある文章、鋭い観察力に基づいた人間描写で人気の作家です。今回で新聞連載は10作目、毎日新聞では3作目となります。今年刊行された「骸骨(がいこつ)ビルの庭」は、司馬遼太郎賞の受賞が決まっています。

 「三十光年の星たち」は、京都の小路が主な舞台。30歳の青年と、彼に金を貸している75歳の老人が車に乗って旅に出かける場面から始まります。30年という年月を振り返りながら、人々を成長させてきた歳月の持つ意味を改めて問い直します。二人が出会う人々、そして彼ら自身は、どのような歳月を生きてきたのでしょうか。

 挿絵は京都市在住のイラストレーター赤井稚佳さん(53年生まれ)。キュートで洗練されたタッチの作品をお楽しみください。

 ◇歳月が育む人々の物語--作者

 歳月によって育(はぐく)まれ、鍛えられ、磨かれていくものの凄(すご)さについて、いまほど、思考せず、軽んじ、なおざりにしている時代はないと私は思っている。

 何かの技量を身につけるにしても、ひとつの会社をおこしてそれを盤石なものに育てあげるにしても、家庭を築くにしても、自分が抱いた決意を現実に形として成すにしても、現代の人々の多くは、そのための歳月に耐えようとはせず、促成栽培の結果だけを追うことに汲汲(きゅうきゅう)としているのではあるまいか。

 私は新しく書き始める小説を「三十光年の星たち」と題して、この歳月と向き合った市井の人々の物語を生み出したい。

 どんな人々がどんな歳月に耐えたか。それによって何を得たか。いま私のなかでは、さまざまな情景が広がっている。



 
 
  好きな作家だからでしょうか、スッと入ってきます。

  宮本輝は、以前もこのブログに取り上げたことがあります。

 こちらの世代にとって、中上健次、村上龍、宮本輝、村上春樹は特別です。


 さあ、これからSEG。
 若者たちには、あれこれトライしていただきましょう   

 




               
          
   
※クリエイト速読スクールHP

 

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