教室のこと・速読のこと・受講生のスコア・SEG講習生のスコア等々について書いています。
クリエイト速読スクールブログ
小さな四角形かもしれない
2022-07-12「20回の訓練と向き合い、日々記録と睨めっこする」のYさんについて。
大学4年生で、公認会計士受験生です。
受講40回目アンケートと一緒の送信文から。
「松田さん/おまたせしております。/文演を受けはじめた当初は、受講後は書くのがはやくなるのかなと思っていましたが、むしろ逆ですね。またまたあっという間に時間が経っていました。ただ、時間の使い方が変わりました。書きたいこと、書くべきことに時間を使えています。/要約課題。歴代最高点は取れると思っていませんが、誰よりも時間をかけたものを出すつもりでいます。/引き続きよろしくお願いいたします」
まず、Yさんの体験レッスンスコアと入会時アンケートコピーです。
「Yさんの体験レッスンの主なスコア22/6/18」たてサッケイド26 数字ランダム19・22 数字BP14-6(1分)・26-4(2分)漢数字一行〇→345、三→182、一→150 たて一行ユニット31・38 スピードチェック24・28 ロジカルテストAタイプ26/26(3分)・25/25(3分)イメージ記憶24/40(2分)35/40(1分30秒)初速1,286字/分・理解度A-
「Yさんの体験レッスン(入会時)アンケート22/6/20」・「体験感想」情報の処理速度に課題を感じており、どのように訓練すればよいか、この歳になってからでは諦めるしかないのか、と悩んでいた所、このスクールの存在を知りました。自分が求めていたものはここに隠れていたのかと宝物を見つけた気分になり、体験レッスンを終えた日は興奮で眠れませんでした。これからが非常に楽しみです。・「入会を決めた理由」・日々の思考の質を上げるため。・情報処理のスピードを上げるため。
以下は、Yさんの受講40回目アンケートと最新スコアです。
「Yさんの受講40回目アンケート22/8/5」
マイナス・(未記入)
プラス・【訓練メモ】 目の動かし方。たてサッケイドシートを例にとる。上から下に、ポイント間を目でなぞるように見てはいけない。目をテレポートさせる意識が必要。パッパッパッパ。目玉を狙った場所にピンポイントではめていく感覚。カチカチカチカチ。慣れてくるとストロボのようにシートが点滅しはじめる。このとき、目が通ったはずの軌跡上にあるものは、認識できるように努力する。ただし、対象を正確に認識できないスピードを維持することが前提。
たて一行ユニット。広く見るコツ。2×2のブロックを包むように、ブロックがもう1周あるとイメージする(ちょうど4×4の形になる)。まるで16個の文章があるかのように取り組むと、だんだんと2×2が簡単になってくる。
イメージ記憶。どこまでイメージができたら次の問題に進むのか。この基準が明確でないこと点に難しさがある。序盤の訓練と同じようにメトロノームを頭の中で鳴らし、強制的に一問あたりの所要時間をコントロールする手法が有効。定性的な分析に終始しがちな訓練だが、テンポを強烈に意識することで、数字の戦いにもっていくことができる。
【10回の振り返り】 特に印象に残った回を2つ振り返りたい。
第36回。講師の方がセット間に30回アンケートの『訓練メモ』を読みあげてくださった。つい1週間前に自分自身が書いた内容だったため、当然新しい情報は含まれていない。それにも関わらず、新しい気づきが次々と溢れる回になり、続く数回で序盤の記録が一新された。この出来事は「分かる」と「出来る」の間にある大きな壁を直視させてくれた。訓練において、「分かる」とは対象の情報を脳内に保持していること、「出来る」とは対象の情報が表す事柄や状態を自ら体感すること、と整理している。「分かる」は外側からやってくるが、「出来る」は自分の内側から生み出される。前者が食べ物で、後者が血肉である。姿勢を正し、心を落ちつけ、目を動かし、視野を広くし、頭を回転させる。誰もが「分かる」これらの基礎を、「出来る」ようになるまで悪戦苦闘する場所が教室なのだ。自分で書いたメモだろうと他人から受けたアドバイスだろうと「分かる」だけでは意味がない。食べ物の前で踊るだけで咀嚼する努力を怠り、数回の訓練を無駄にしたことをここに反省したい。
第38回。カウント呼吸を徐々に使いこなせるようになり、外の騒音や周囲の動作をシャットアウトする集中力が身についてきた。そんな集中力バリアが、隣の方の風圧に突き破られたのがこの回であった。隣を観察しながら90分を過ごし、普段よりも数段高い景色を眺めることができた。やがて高く感じられたその景色が、日常の景色に混ざりはじめるから、こうした時間は本当に貴重である。環境というのは、努力や気合いではどうにもできないほどの差を生み出す。心底恐ろしいものだなと思う。
【負荷(距離のイメージ)】 羽生善治さんの著書『直感力』p.27から、カーネギーメロン大学の金出武雄教授との対談内容を引用する。
「論理的思考の蓄積が、思考スピードを速め、直感を導いてくれる。計算機の言葉でいえば、毎回決まったファンクションが実行されているうちにハードウェア化するようなものだ。それまでは毎回発火していた脳のニューロンが、その発火の仕方がいつも同じなので、そこに結合が生まれ、一種の学習がおこなわれたということではないか」
論理的思考の繰り返しが、一部のニューロンを結合させ、超人的なスピードでの思考を可能にするという解釈である。この解釈の真偽は別にして、ここから訓練に活かせるイメージが作れる。クリエイトの訓練は「結合」を集中的に作り出すものだと捉えられる。ほどよい距離にある二つの物体が、お互いに引き寄せ合うことで結合が生まれる。負荷をかける感覚は、二つの磁石がくっつきもせず離れもしない、微妙な距離を保つようなものだ。この距離設定が上手い人ほど、記録が止まることなく伸びていく。ロジカルテストの答えが直感的に分かるという趣旨のブログを見て、意味が分からずに読み飛ばしたことがあるが、膨大な量の論理的思考が根っこにあるのだろうと今なら解釈ができる。
【負荷(重さのイメージ)】 筋力トレーニングとクリエイトの訓練は、どちらも回数を重ねるほど苦しくなっていくという共通点がある。これは、どちらも、能力の上昇に比例して必要な負荷の重さが増えるからである。しかし、この負荷の増やし方に違いがある。前者は金属のプレートを付け足していけばよいが、後者は頭の訓練であるため、負荷が可視化されない。重りを付け足すのにも、その度に工夫が求められる。
この工夫、適切な負荷の増やし方は、自分の立ち位置によって変わる(だから自分と受講回数の近い生徒のブログが参考になるのだろう)。数回前と同じ負荷のかけ方で訓練を受け、記録が伸びないと思いつめてはいないだろうか。ちゃんと重りを重くしてのぞんでいるだろうか。伸び悩んだときこそ、自分の成長に気づかなくてはならない。そして負荷を調整しなければならない。
【設計の妙】 訓練ごとの具体的な負荷のかけ方は、ブログが非常に参考になる。しかし、自分で発見したものと、見聞きしただけのノウハウでは、その価値に雲泥の差があり、できれば前者を増やしたいものである。ではこの工夫やコツ、ヒントはどうすれば自分で発見できるのか。繰り返し問うことだと思う。うまくいかなかった事柄を問うのは当然である。しかし自分の中に答えがないからうまくいかなかったわけで、有益な反省をするのは難しい。センスのある問いが求められる。そこでおすすめしたいのが上手くいった事柄を問うことである。なぜ出来なかったのかを問う(怒る、嘆く、悲しむ)人は多いが、なぜ出来たのかを問う人は少ない。おそらく達成感や満足感が邪魔をするのだろう。ブログに掲載されているアンケート内でもその傾向がみられる。クリエイトは訓練種目が多いため、うまくいった訓練からエッセンスを抽出できれば、他に活かすことができる。訓練後のよかった点に注目したコメントは、メンタルケア、モチベーション維持に寄与するだけでなく、記録向上のガソリンになりうる。一番可愛がってやらなきゃいけないのは、90分の戦いを終え、くたくたになった最後に待ち受ける、小さな四角形かもしれない。
「Yさんの受講40回目の主なスコア22/8/5」よこサッケイド50 数字ランダム840・900 数字BP288-8(2分)漢数字一行〇→23,490、三→19,440、六→2,000 漢字二行口→1,683、夏→2,424 たて一行ユニット630・660 スピードチェック25/40(37秒)・32/40(34秒) ロジカルテストDタイプ24/29(3分)・25/28(3分)スピードボード6×623/25(3分)・27/30(3分)イメージ記憶23/40(45秒)31/40(30秒)倍速読書『オーラの発表会』5,600字/分・理解度A「取り組み方をかえるたびに新しい刺激があり、面白く続けています。なんとか後半で記録を伸ばすことができ、満足できる40回目でした。引き続きよろしくお願いします」※漢数字一行・スピードチェックは前々回、スピードボードは前回のスコアです。
「隣を観察しながら90分を過ごし、」の「隣」は、受講295回目の大学院生Kさんでした(4月から院生)。
次の平日朝トレには、Yさんも、Kさんも、そして500回超のUさんも参加します。
初級朝トレ受講済みの十代のみなさん、です。
こんな機会はイマだけです。 真
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