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粘り強く悩むことを厭わなくなった

 第76期文演(21/3/27~21/5/29)アンケートからです。

  ラストは、司法修習生のYさん

 
2021-03-31複数の読み方を選択できるようになるのは大きな財産」のYさんです。



    Yさんの文演アンケート



Q.1 当講座をどんな目的で受講しましたか?
A.1 
文章の読み書きを、根本からたたき直すために受講した。


  高校生のころ、国語の授業が苦手だった。生き生きと議論をする同級生を横目に見ながら、自分の意見がどうにも的外れであることを逐一確認するのが苦しくて、私はこの問題に向き合わないまま高校生活を終えてしまった。だが、然るべき時期に正しい文章の読み書きを学んでこなかったという思いは、大学に入ってからもくすぶったままだった。予備試験や司法試験を経て多少は改善したと思いつつも、文章の読み書きに自信が持てない状態に変わりはなかった。

  大学の先輩が文演を勧めてくれたのは、そんな時期だった。大人になってから文章の読み書きを本格的に学べる場所は決して多くない。長年の課題に向き合い克服する最後のチャンスだと思った。「あなたにいま一番必要なのは文演だ」という先輩の言葉にも背中を押され、受講を決めた。


Q.2 「文演」を受講して文章への印象で変わったことがありますか?
A.2 
文章を読む際の解像度が上がった。仕事で大量の文書を読んでいると、日本語が気になって読みながらガツン、ガツンとつかえてしまうものがある一方で、そのような引っかかりがなく、一読しただけで身体に浸透するようにスッと理解できるものがあることに気付かされる。中身の情報以前に文章の読みやすさで、読み手に相当な快不快の差が生じてしまうことを痛感している。


  この実感は書き手としての自分にも跳ね返ってくるもので、書き手の力量は当人が考える以上に文章から透けてしまうのだと思うと、他人から見られる場所に文章を出すことが少しだけ怖くなった。ただ、同時に、「この人は話をするに値する人だ」と読み手に思ってもらえるような文章を書きたいと切実に思った。今は、たった一本の短い文章であっても、読み手に届くものになったと納得できるまで、粘り強く悩むことを厭わなくなった。

  読みやすくしかも人を惹きつける文章に出会ったとき、以前にもまして、書き手に対し尊敬の念を抱くようにもなった。情報を正確に伝えるために、書き手がどれほど細やかに注意深く書きこんでいるかを、私は文演に来るまで意識したことがなかった。一見自分にも書けそうなさりげない一文は、実は高い技術と時に才能の結晶で、未熟な書き手たる今の自分とは遠く隔たった場所にあるのだと実感できるようになった。


Q.3 宿題の「要約」はどうでしたか?
A.3-1「授業前」
最初のころに作った要約は早々にお蔵入りになった。書き手が伝えたいことに貫徹できず、自分が興味をひかれた箇所を選び出してしまうなど、随分自分勝手な読み方をしていたことに気付いたからだ。そう気付けたのも、要約課題で満点を取るために、原文をしつこいくらい何度も一文一文慎重に読み直したからで、逆に言えば、普段はここまで丁寧に文章を読みこむ努力をしていないのだと反省した。

  要約と原文の往復を繰り返して、最終的には原文にぺったり沿うような忠実な要約になったと、僭越ながら思っていた。文演最終回を終えた今となっては、当時こだわっていたものが、原文への形式的な忠実さに過ぎなかったことがよく分かる。


A.3-2「授業後」
私の要約に対する評価は、「ほとんど言うところはないけれど、ずるい要約」だった。低評価ではないがどう考えても高評価でもないこの講評に、私は頭を抱えた。先生には見えていて私には見えない文章の傷が、どうにも分からなかった。それ以上に打撃を受けたのは、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●その場で直ぐになるほどと頷けなかったこと。文演最終回にして自分の読み書きがなにも改善していない可能性を突き付けられてしまい、どうしようもなく落ち込んだ。だが、文演は読み書きをたたき直す最後のチャンス。かつてのように目を瞑って逃げ出すわけにはいかなかった。翌日、文演を勧めてくれた件の先輩のもとへ、要約を携えて駆け込んだ。

  先輩との2時間ほどの議論を終えて思うのは、私の要約がずるいのは、「時間制限のあるなかで80点をとる要約」だったからであろうということ。それは国語が苦手だった私が、大学受験を乗り切るため、苦肉の策で身に付けた技術だった。減点こそされないものの、文章の本質に迫る読み込みはできていない、或いはしていない。この点を先生は厳しくお咎めになったのだろうと思っている。求められていた「時間無制限で100点をとる」要約にはほど遠いことが、今となってはよく分かる。

  最終回で先生から受けた数々のご指摘は、上記の「ずるい」と同様で、いずれも私の文章の読み書きの深刻な欠点を示唆するものだった。最終回で抱えてしまったたくさんのわだかまりが全て解消したとき、目の前が急速に冴えわたっていき、急に身体が軽くなったように感じた。間違いなく大きな一歩を踏み出したと思った。「最終回を終えて外に出たときには、ちがう景色が広がっているはず」という先生のお言葉は、確かにその通りであった。



Q.4 全体的な感想をお聞かせください。
A. 
いまこの時期に、文演を受講することができて本当に良かった。もっと早くに受けていればという思いは勿論あるが、他方で、長年文章の読み書きについて悩んでいたからこそ、人前で的外れな発言をする怖さも恥ずかしさもかなぐり捨てて、必死に取り組むことができたのだと思っている。


  ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●それでいて安定感があると感じた。自分にも良い文章の良さが分かったことに安堵する一方で、減点されないように小さくちぢこまった文章を書いていた私には、この伸びやかさが、切実にうらやましく思えた。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●思いと、前述した、「この人は話をするに値する人だ」と読み手に思ってもらえる文章を書きたいという思いは、今後、書き手として向上するための大きな原動力になるだろう。

  文演を受講し終えて、これまでそつなく80点の文章を書く技術しか知らなかった私は、100点の文章を書く技術こそまだ無いものの、そこに至るために自分に欠けているものを理解できるようになった。今後も読み書きについて悩み、研鑽を重ねていく必要があることは変わらないが、文演にやってきた当初とは、悩みの水準が一段階変わったと思っている。大きな成長の機会をくださった文演と松田先生に、心より御礼を申し上げます。


 Yさんのアンケートを紀念して、●●●の伏字部分をそのまま開示と思ったんですが、これからの文演の生徒さんのために堪えました。

 SEG「文章表現スキルアップ」でもそうでしたが、Yさんが通っていた高校の女子たちは、群を抜いた読解力と表現力を身につけていました。Yさんの文演中の発言も込みで「高校生のころ、国語の授業が苦手だった」とは、いまだ理解不能です。

 ただ、多くの生徒さんが取り組んだこの要約の宿題に関しては文スキでもまったく同じものでした)、こちらに一日の長というか過去の集積がありましたので、思いつく限りのことをYさんに話しました。何を言ってもへこたれないし、曲解しないし、拗ねないとわかっていましたから。

 コロナ禍のため、第76期文演はプリントなどを朗読する生徒さんをYさんひとりにお願いしていました。最前列角の教卓そばで読んでもらっていました。イヤな顔ひとつせず、淡々とこなしてくれました。感謝ばかりです。



 Yさんから文演アンケートをいただいて、速読で教室にみえたときに感想は伝えています。それだけでよいかと思います。

 受講66回でロジカルテストGタイプ到達は、歴代最速です

 クリエイトでの歴代最速は、なかなかのはずです 







        ※クリエイト速読スクールHP 

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