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クリエイト速読スクールブログ
小説新潮11月号・特集「星新一」
2007年講談社ノンフィクション賞を受賞した最相葉月の『星新一 一〇〇一話をつくった人』が面白かったので、買いもとめてみました。
吉行淳之介との対談や、小松左京と筒井康隆との鼎談などが再録されていたり、「あの日の星新一」と題して北杜夫や山藤章二の小文がありました。
やはり、こちらの目を引いたのは、最相葉月のものでした。
2つあり、ひとつは新井素子との対談で、もうひとつは星新一の2人の娘さんについて書かれたエッセイでした。
対談「文学」より大きいひと(司会進行森下一仁)より。
最相 実際に星さんにお会いになった印象はいかがでしたか?
新井 お宅に伺って最初にお目にかかった時は、まず「写真と同じ顔をしてるなぁ」と(笑)。新潮文庫のカバーそでに顔写真が載っているんですが、結構ハンサムで特徴的な顔ですよね。で、「あ、同じだ」と。そのあとの記憶は真っ白にとんでしまって、気がついたら自分の家に帰る途中でした(笑)。余談ですが、前日に星さんのお宅に行くと話したら、父が星さんの大学の同級生だと言うんです。慌てて父が星さんの家に電話して、「すいませんが覚えていますか、大学で同級だった新井ですけど、明日うちの娘がお宅に伺うそうで」って(笑)。そんな話をいきなり聞かされて星さんも驚いたと思うんですが、こっちも驚きました。
最相 評伝を書いていて非常に印象的だったのですが、星さんは新人賞で自分が選んだ人を生涯一所懸命支えるというか、がんばってるかどうか常に気にかけていたようです。自分が選んだことで人生を狂わせるようなことがあったら大変だと。(略)
新井さんのムックが出たときも、なぜ新井素子を選んだかというと、商品としてこの子は売れると踏んだからだと書かれていました。そういう基準で新人を選んだというのはシビアなことですが、慧眼であったと思います。
森下 新井さんは星さんから、小説を書くうえでアドバイスを受けたことはありますか。
新井 全然ないです。それは多分しちゃいけないことなんだと思います。「こんな本を読みなさい」くらいは言えると思うんですよ。あとはおいしい食事をごちそうになったときに「こういうものを今のうちからちゃんと食べておきなさい」などと言われたことはありました。でも、こういうふうに書いたほうがいいとか、こんな切り口はどうか、などと言われたらその瞬間に私は星新一の亜流になっちゃう。星さんと私は書くものが違いすぎるから、アドバイスのしようがなかったのかもしれないんですけど。
最相 たしかに初期の頃はそうだったようなんですけど、晩年は後輩の作家に「時事風俗は書かないほうがいい」などとおっしゃったようですね。
森下 星さんは作品を世の中に残すということを非常に気に留められて、時代・風俗に属するようなことはあまり書かない、改訂のたびに必ず細かい部分を書き換えるなどと決めていらっしゃいましたよね。時代を超えて多くの読者に読まれたいという気持ちはいつからお持ちだったのでしょうか。
最相 それは最初から戦略的にあったんだろうと思います。そのくらい深く考えた末に人生を賭けて作家になられたんだと思います。(略)
晩年にいたっては文庫の改版があるたびに、伊豆の別荘に文庫を持っていって、たとえば「UFO」は「宇宙船」に書き換えられたり、「ダイヤルを回す」は普通に「電話をかける」に直されたり、時代を超えて残るものにしようとなさっていました。それはやはり、子供から大人まで、国境も越えて外国の方まで、大勢のいろんな読者を意識されていたからだと思います。
特別エッセイユリカとマリナから。
父親が普通のサラリーマンとは違う仕事をしていることは二人ともわかっていたが、作品はほとんど読んだことがなく、執筆で苦しむ姿を見ることもなければ愚痴を聞いたこともなかったため、作家の仕事がどれほど大変であるかは想像したこともなかった。(略)
ただ、二人が今も父親に深く感謝していることがある。それは、わからないことを訊ねると、たとえ仕事中であってもその手をとめ、必ず辞書や事典で調べてから答えてくれたことだ。調べてわかるような質問ではない場合も、いい加減な受け答えは絶対にしなかった。(略)
マリナは、全日本学生サーフィン選手権で四連覇するほど快活な娘だった。「成人式の着物なんかいらないから、ハワイに滞在してサーフィンをやらせてほしい」と両親に頼み、ハワイに留学してしまう。(略)
マリナは目下、父親の作品の英訳に取り組んでいる。初めて読んでみて、アメリカの子供たちに読んでもらいたい作品がたくさんあるという。時代や国境を超えて作品が読まれ続けてほしいと願った星新一の夢は今、たしかに次の世代に受け継がれようとしている。
小さな文字がびっしりの生原稿の写真などもあります。
雑誌を、書店で手にしてみてください。
雑誌広告によると、いま、全国の書店で星新一のブックフェアが開催されているそうです(伝聞調なのは、ジュンク堂でもリブロでも新栄堂でもその気配がなかったためです)。
のような経緯ですので、大人でも十分楽しめる作家です。 真
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『タイムリーに読んでいればよかった』と、
毎度のことながら後悔してしまいます。