エネコ・ツアーで復帰を果したコンタドールですが、優勝の最有力候補と目されたブエルタ・ア・エスパーニャでは私には本調子にはほど遠い状態にしか見えませんでした。
特に第8ステージのコリャーダ・デラ・ガリーナの山頂ゴールのシーンが今でも忘れられません。これまでのコンタドールならライバルたちにあれだけ差を付けたらそのままトップでゴールは当たり前でした。
ゴール前3km地点でアタックを決めた瞬間に誰もがコンタドールの勝利を疑わなかったはずです。ところがゴール寸前のところでホアキン・ロドリゲスとアレハンドロ・バルベルデに猛追を許すと、あっさりと抜かれてしまうではありませんか・・?あんなコンタドールの姿を見たのは初めてですし、想像さえしたことさえありません。
この時はまだ前半戦で調子が上がっていないのかなでは済まされないような強い衝撃を受けました。コンタドールは本当に大丈夫なのかと、本気で心配になりました。
第11ステージの個人TTでもクリス・フルームには20秒以上のタイム差を付けたものの、伏兵フレデリック・ケシアコフ(アスタナ)にステージ優勝を攫われてしまうのです。ロドリゲスも健闘を見せ、わずか1秒差でマイヨ・ホロを死守。続く第12ステージで1秒差の逆転を試みたものの、ここでもロドリゲスに軍配が上がってしまいました。
そして第14ステージのプエルト・デ・アンカレスの頂上ゴール。コンタドールは前半からこのステージでマイヨ・ホロの行方が見えると語っていたように、サクソバンクはチームとしてこのステージを取りに来ました。ここでもゴール前3kmでコンタドールがアタック。ところが残り700mでロドリゲスに追いつかれると、ラスト200mでは突き放されてしまいます。ここでも2着に甘んじたコンタドールは徐々にタイム差を広げられて行きます。
そして3連続の頂上ゴールを終えて28秒という差をコンタドールは負うことになりました。ここまではホアキン・ロドリゲスの強さばかりが目立っていましたので、第20ステージのボラ・デル・ムンドの頂上ゴールでコンタドールの逆転は難しいと見ていました。
ところが、第17ステージで形勢は一転することになりました。ASOのカテゴライズでは山岳に入っていないステージでコンタドールが動いたのです。ゴールまで51kmも残した2級山岳ラホス峠で何と総合2位のコンタドールがアタック!!レース後に「計算通りではなく、本能的にアタックした」とコンタドールはコメントしているようですが、これにはサクソバンクの戦略があったと私は確信しています。
理由はサクソバンクはパウリーニョとエルナンデスというコンタドールの山岳でのアシストを二人も逃げに載せていたからです。いかにマイカの調子がいいとはいえ、何の作戦もなくこの二人を逃がしどちらかでステージを狙うなどということは、ビャルネ・リースの性格からは考えられないことだからということもそのひとつです。
ところがカチューシャもモビスターもこの逃げを容認してしまいます。おそらくサクソバンクは総合優勝は諦めたと見たのでしょうか?ロドリゲスがいつも最後に重要な優勝や賞をさらわれてしまうのは、力の差というより、こうした判断が甘いせいではないかと考えています。
逆にビャルネ・リースは今のコンタドールとロドリゲスの登りでの力を比較すると明らかにロドリゲスの方に歩があり、第20ステージでの逆転は難しいと考え、休養日明けで気の緩むこのステージで仕掛けたと私は考えています。
TTでの独走力では明らかにコンタドールに歩がある訳で、勝負はここしかないというピンポイントの作戦がものの見事に嵌りました。強力なアタックでメイン集団を飛び立ったコンタドールは、先に逃げていたパウリーニョとエルナンデスに合流し、ロドリゲスを引き離しにかかります。さらにアスタナのパオロ・ティラロンゴがチームメイトのような働きを見せ、結局、バルベルデに6秒、そしてロドリゲスには何と2分38秒という大差を付けて歓喜のゴール!!
厳しい登りではあれだけ強かったロドリゲスが、スピード勝負に持ち込まれたステージで大惨敗。グランツールは力だけでは勝てないことをビャルネ・リースは見事に証明して見せました。
個人的にはコンタドールの調子はまだまだだと見ていますので、この勝利はチーム力の勝利だと思います。サクソバンクに移籍してからの彼の獲得した勝利はすべて剥奪されていますので、記録上はこれが初勝利ということになります。
2位バルベルデとの約2分差は、コンタドールに大きなアクシデントさえなければまず安泰なタイム差でしょう。ただ、こうした感動的な大逆転激の後には必ずと言っていいくらいドーピング問題が浮上して来ますので、記録上は兎も角、この勝利と感動は記憶に残したいと思っているところです。記憶の中の勝利と感動は誰にも奪うことはできないのですから!
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僕はコンタドールファンでもないんですが、あの17ステージには感動しました。
あの感動はサイクルロードレースファン全員の心に残ると思います。コンタもそれに水を差すようなことは絶対にしていないでしょう。そう信じています。
なぜホワキンが逃げを容認したんでしょう?
謎です。
バルベルデが第4ステージの落者した時に待たなかったのを根に持っていてホワキンに仕返しをなにかしたのではないかとにらんでします。
あくまで想像ですか。。。。