全音音階、というものがあります。
音階、というと、<ドレミファソラシド>のことだと思われる方が
多いと思いますが、
それだけではないんですね。
全音音階とは、半音を含まない音階で、
<ド・レ・ミ・ファ♯・ソ♯・ラ♯・ド>と、6つの音で構成されます。
(最後のドは、1オクターブ上のドですよ~)
この音階が使われると、ちょっと不思議な雰囲気になるのです。
例えば、オペラ『蝶々夫人』の中のアリア「ある晴れた日に」
♪彼は丘を登ってくるの!♪と歌われるところに、
全音音階が使われています。
周りのみんなが、ピンカートンは戻ってこないから、
さっさと再婚をした方がいいと勧める中、
蝶々さんだけが、ピンカートンの帰りを信じて疑いません。
最近、勉強をしていたフォーレの歌曲にも、
全音音階が使われています。
『夢の国』という曲なのですが、
ステキな曲なんですね~。
この曲の、一番最後の部分に、全音音階が使われています。
♪夢の国に行ってみたいと思わないかい?
手に手を取り合って!
でも、そこはなんて遠いんだろう!
人の足では、たどり着けないかもしれない!
愛だけが、そこへの道を教えてくれるんだ!♪
その最後の部分、「愛だけが道を教えてくれる」の部分が
全音音階なんですね。
効果的に使われているような気がします。
ところがですねぇ・・・。
これが歌うのがとっても大変なのですよ。
なんて表現したらいいのでしょう・・・。
歌は、自分で音程を作り上げなければならない楽器なのですが、
全音音階の微妙な音程が、とっても難しいのですよ。
8つ目でオクターブ上にいける音階と
一つ少ない音階では、
2階へ上がるのに、15段ある階段を
5段くらいで上がらなければならないような感覚です。
でも、ステキな歌をステキに歌わなければならないので、
声楽家はみな、必死に練習を重ねています。
2階まで、5段しかない階段で、優雅に上れるようになったら、
ようやくお披露目が出来ます~!