トナカイ・サロンオペラ『魔笛』の稽古でした。
休憩時間に、パパゲーナ役の前田さんとお喋りをしました。
実は、生まれて初めてソリストとして全幕通して出演したのが、
魔笛のパパゲーナでした。
今使っている楽譜は、その時のもので、
その時に使った台本が、楽譜の間に貼られています。
その後、パパゲーナを演じたことはなくて、
夜の女王のアンダーをやった後、童子を演じて、
最近ではパミーナしか歌っていないのですけれども、
パパゲーナを演じた時に、演出家に、
老婆の格好をしていても、可愛いおばあちゃんだと思わせる必要がある、と
言われた話を思い出しました。
見た目は老婆で、腰も曲がっているし、醜いのだけれど、
ちょっとした仕草が可愛いので、パパゲーノは興味を持って、
彼女に話しかけます。
自分が鳥のような格好をしているパパゲーノは、
外見だけで人を判断しない人間であり、
老婆に対しても、気楽に話しかけるのです。
パミーナの絵姿を見ただけで恋に落ちたタミーノは、
老婆には話しかけもしません。
助けに来たパパゲーノには恋をしないのに、
王子の話を聞いただけで舞い上がってしまうパミーナも同じです。
タミーノもパミーナも、
数々の試練を乗り越えることによって、たくさんの経験をして、
中身が成長していくのです。
今回のサロンオペラは抜粋なので、
試練のシーンも、簡素なものになってしまいますが、
オペラを通してパミーナが成長していく様子が表現できるように
頑張りたいと思います。
魔笛は、本当によく出来たオペラだと思います。
ところで、パミーナという名前は、
神に仕える者、という言葉の女性形で、
タミーノという名前は、
神に仕える者、という言葉の男性形だそうです。